●このサイトを作ったいきさつ

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2007年2月10日更新

●DOSからWindowsへ
 インターネットが普及する前、「パソコン通信」というものがあった。まだMS-DOSが主流だった時代だ。そのパソコン通信の最大手に@nifty(旧 Nifty Serve)があり、私はひょんな経緯からそこのNECノートPCフォーラムのシスオペだった時期があった。

 そこの電子会議室の発言者の中に、スクリーンリーダー(画面上の文字を音声で読みあげるソフト)に頼ってPCを操作している視覚障がい者や、口に咥えた棒(「マウススティック」。”マウス”は”口”の意)でPCを操作(いわゆる「一本足打法」)している肢体不自由者がおられた。
 ネット上ではそんな障がいを抱えていることを気づかせないほどで、体の障碍にかかわらず広くコミュニケーションができる、そんなパソコン通信って素晴らしいなって思ったものだった。

 スクリーンリーダーは、当時は DOS 用の VDMアクセス・テクノロジー)が定番だった。DOS自体がキーボード操作主体であり、シングルタスクでもあったので、スクリーンリーダー+キーボード操作、若しくはマウススティックによる一本足打法に適してもいた。ところが、その後DOSからマウス操作を中心とするマルチタスクのWindowsにいやおうなく移行していくことになる。

Windowsの問題点
 Windowsでは画面上にアイコン、プルダウンメニュー、リンク、ボタン、タブ、テキストボックスなどが配置され、それらをマウスやスライドパッドでクリックする。視覚障がい者にとって、このマウス操作はとても大変である(特殊な方法を使えば不可能ではないが)。
 肢体不自由者にとっても、マウスは鬼門である。スライドパッドをマウススティックで操作できるか? できそうに見えて実は大変難しい。

 マウスの代わりに、視覚障がい者はAltキーやCtrlキーを使ったショートカットキーやTabキーなどを使ってWindowsを操作する。肢体不自由者も同様だが、Ctrlキーやシフトキーなどの同時押しを一本足打法で行うには、コントロールパネルのユーザー補助のうち固定キー機能を用いる必要がある。

 一方、当時、キーボード中心のDOSに慣れ親しんでいた私は、Windows上でももっぱらキーボードのみで操作していた。というのはノートPCではマウス(の代わりのスライドパッド)が使いにくいし、マウス操作のたびにタッチタイピングのホームポジションがずれてしまうからである。
 実は障がいのない者にとって、Windowsのキーボード操作は、タッチタイピング以外にも別のメリットがある。それはツールバーなどのアイコンを非表示にできて、ノートPCの狭い画面でも表示行数が増えることである。
 そんな利点と、祖父母が視覚障がい者だったこともあり、PCのキーボード操作術をまとめてみようと思った。これが本ページをオープンしたきっかけでもある。

 その後、マウス頼みのマッキントッシュばかりの職場に転職したため、タッチタイピングどころではなくなり、本ページは長らく更新できないままとなっていた。

ところが・・・
 そんなところ、最近、視覚障がい者の就労を実際に支援することとなり、現在のパソコン環境はこれまで感じていた以上にさまざまな問題を抱えていることが分かった。本人と2人で格闘してきた結果、以下のような対策を発見し講じてきたが、パソコンに不具合を生じなくするだけで丸10日を費やし、なおかつその後半年以上にわたって改善中である。

・スクリーンリーダーに対応していないソフトの使用中止(サイボウズ、Outlook Express等)。
・Exel、Word、PDFがウェブブラウザ内で開く場合のスクリーンリーダーの不具合解消。
・エディタとメールソフトをスクリーンリーダー対応のものに変更。
・Windows XPのフォルダ・ウィンドウをショートカットメニューのない従来型に変更。
・日本語変換ソフトを誤変換の少ないATOKに変更。
・音声をヘッドホンだけでなくスピーカーでも聞けるようにした。
・キーボードを本人が使い慣れたものと互換性のあるものに変更。
・通勤時間と昼休み時間を混雑を避ける時間帯に変更。
・労働時間を短縮。
・ウェブ(イントラ)の1ページ当たりのリンク数と文字数を削減(改善中)。
・ウェブのディレクトリ構成の合理化と長いローマ字ファイル名を簡素化(改善中)。

 以上のような経験を踏まえて、その具体的な内容について、2人で取り組んできた成果を今後の視覚障がい者支援に役立てていただきたく、これまでの内容を大幅に拡充するとともに、この「パソコンのバリアフリーを考える」そのものを、より閲覧しやすいページ構成に変更した。


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