潜空服とは
人間が水中にもぐって活動するには、潜水服が必要です。
潜水服は、金属製のヘルメットと、ごわごわしたスーツでできていて、どこか懐かしい形と質感を持っています。ジュールベルヌのSF小説に出てきそうな気がします。
人間は、いつも海に潜ることを考えます。が、魚にとってはみれば、人間が空気中から水中に来ることであります。だったら、魚だって空気中に行ってもいいはずです。
魚たちが、空気中に出てきて、活動しようとするなら、人間に潜水服が必要なように、潜空服が必要となります。
そこで、魚たちの注文を受けて潜空服を作り続ける「潜空服職人ものがたり」が生まれたのです。
私は、この物語のなかの潜空服職人であり、この物語のなかで作られたいろいろな魚たちの潜空服を皆さんの前に実態としてお見せできる、「物語のなかの実在」潜空服職人なのです。
潜空服は、魚の種類、大きさに合わせたオーダーメイドの服です。
そのかたちの印象はできるかぎり潜水服に近づけています。なぜなら、魚たちは人間の着る潜水服にあごがれているからです。魚たちの注文に応じて潜空服職人の僕が製作しております。
* ここにご紹介しますのは、「潜空服職人ものがたり」のなかで、11番目のお客さんとなった「巨大ミジンコ坂田君のための潜空服」です。
彼との出会いは、こうです。
先日行った川の少し上流にあるという大きな池から、便りが届いた。ミジンコ君たちからの頼りだ。ミジンコのサイズの潜空服は小さすぎて作れるものではないが、巨大なミジンコ坂田君の潜水服とポンプのセットを作ってほしいと言うのだ。びっくyりさせられたのは、私の手のひらほどもある彼の大きさである。
(潜空服職人ものがたり より)
取り扱い説明書
必ず下記の順番にしたがってご使用ください。
1.巨大ミジンコ坂田君の体調に合わせてご使用ください。
2.取水口は完全に水中に入れてポンプを動かしてください。
3.ポンプ内、逆止弁内、ホース内に気泡がない事を確認してください。
4.潜空服は水中で着せてください。
5.水中で安全な作動が確認されてから、空気中に上げてください。
6.ポンプの動作は1分間に15回が目安です。
7.常に坂田君の体調に留意し、危険と判断した場合、
直ちに使用を中止し、場合によっては潜空病の危険がありますので、
専門医の指示にしたがってください。
なお、この潜空服は巨大ミジンコ坂田君のために設計・製作されています。
他のミジンコ君や魚たちは絶対に使用しないでください。
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