リッド
オリジナルSFストーリー「城壁の街」コンセプトボード
 N-con2007出品作品のリメイクと、その世界観。
 「海面が急激に上昇した世界なら…」という事を自分なりに考えて、世界を構築しまし た。なので、今回は「読み物」作品として作成。
 見易さを考えた結果、テンプレートに、浴玩「世界の艦船」の解説書のデザインを使わ せていただきました。
 物語の雰囲気としては、(一昔前の)NHKのBSアニメのような感じで考えてます。

 現在構想中で、まだまとめられていないフネも多数ありますが、現状で送信します。
(審査員コメント)
・アルゴノートは耐圧球を上下に連結して降下速度の増大に配慮されており、母船カラコール号の揚収設備もよく考えられている。
・海上都市がコンテナ行商船というのも、大変よい発想と思う。街中の様子も魅力的。
・メガフロート”マリーナイツ”は前作に比べて防波堤が追加されて、より合理的になった。(西村)
・オーバルは、この形状ではかえって水中で直進しにくい。流体中で動くメカについて勉強するとよい。専門的知識が増えて自由な発想ができなくなるかといえば、むしろ得ることの方が大きいと私は思う(宮武)。
・作者はこれまでもプレゼンを工夫してきたが、今後さらにプレゼンの仕方、見せ方を工夫されたい。(宮武・長谷川)
・作者に贈る言葉として、社会人一年生の今の時期は空回りすることもあるが、うまく乗り切ってほしい。自分が変わっていくことを楽しめ。変わっていく中で、守る部分もあるが、それは自分で思っていたのとは違う所にあるかもしれない。(宮武)

(来場者コメント)
・もう少しイラストが大きければ見やすい。
・1万mの深海へ安全に早く行ける様な技術を早く開発して欲しい。
・ぜひ小説/アニメにして下さい。
・よくできた設定です。アニメにして見てみたいです。
・アニメ化いつ?
・NHK BSで放送してほしいです。
・TV化が楽しみ。
・マンガ化、あるいはアニメ化されたらぜひ見てみたいと思います。
・「亡国のイージス」版のように発展するとよい。
・夢があってとてもいいと思う。
・ラピュタに出てきそうで、とても幻想的で良いと思う。
・三重丸。

<ストーリー>
 西暦2210年。

 第四次世界大戦(2177〜2189)により、2つの国が実質的に消滅。世界は疲弊しきっていた。
 かつて、世界のリーダーを自負していた大国は戦争によって内部分裂し小国化。共和国や連邦の形態をとり、完全にかつての威信は失われていた。

 さらに、この戦争が南極をも巻き込んだことをきっかけに、南極の火山が活性化。温暖化によって融解し始めていた氷床や氷河が大量に海上へ崩落・流出した。
 これによって海面が急激に上昇。2000年代初頭と比べ、2190年の1年間に海面は110mも上昇。戦争と急激な海面上昇のダブルパンチによって、ピーク時には70億を超えていた世界人口も15億人にまで落ち込んでしまった。

 戦後、新国際連合(新国連)が設立され、本部を置く事になったメガフロート都市国家であるマリーナイツは、各国と協力しPKO活動を行っていた。
 しかし、海面上昇によって変化した海底地形や水没した構造物による船舶事故が多発。又、海底資源や状況の調査は戦後全く進んでいなかった。

 このため、マリーナイツと新国連によってWESTEC「世界地球科学技術研究開発機構」が設立され、世界規模の調査が開始された。
 大型潜水艦を中心とした調査隊には、各国から選抜された者が官民問わず搭乗し、調査に協力することになる。

 この物語は、就航した海洋調査潜水艦「Arca」号とその乗員たちの海洋探検の物語である。

●海洋調査潜水艦≪Arca≫ -アルカ-
船名は、ラテン語で「方舟」を意味する。
WESTEC(世界地球科学技術研究開発機構)に所属する大型海洋調査潜水艦。
調査船なので、船体の割に武装は少なく、前部魚雷発射管と艦橋前のVLSのみ。各発射管からは、同規格の観測機器を射出する事も可能。
艦内に多数の格納庫や揚陸艦のようなバウドアを持ち、海中への各種機材・調査艇の放出・回収を行なえる。
艦内下部のスペースの大部分が調査研究室として占めている。
反対に、居住区は艦内上部に集められており、大型の脱出ポッドへの移乗がスムーズに行なえるよう考慮されている。

全長:140m 全幅:50m 排水量:14650t(水中)
主機:スターリング型AIP機関 ウォータージェット推進
乗員:155名(研究者含む)

●深海潜水艇≪Argonaut≫ -アルゴノート-
カイダコの学名を持つ。
「Arca」の下部格納庫に搭載されている深海潜水艇。
バリアブル・バラスティング・システムによって、投下バラストを使用せず、潜航・浮上が可能。
4基の可変推進スラスタで運動性能を向上させている。
最大潜航深度9000mを可能としており、あらゆる任務・場所での調査が可能である。
海洋調査潜水艦「Arca」を母艦としている。

全長:6.4m 船体幅:2.8m 高さ:7.0m 重量:32t(空中) 乗員:4名
オプション装備多数。

●無人観測機≪Long・Bow≫ -ロング・ボウ-
「Arca」の前部格納庫に2隻搭載されている多目的自立航行観測機。
それぞれにAIが搭載されており、母船からの指示なしで独自行動する事が出来る。
ロボット艇だが、人が乗り込んでの操縦も可能。
場合によっては、小型魚雷・発光弾を射出する事が出来る。

全長:12.5m 船体幅:1.5m 重量:56.9t(空中) 最大潜航深度:1000m
巡航速度:22ノット

●海中基地「Sea Glider」- シーグライダー -
 元米海軍の原子力潜水艦。
 全長230mの巨大艦で、戦略ミサイル原潜を改造して作られた技術試験艦であったため、一隻しか存在しない。
 船腹の翼を使い、水中滑降を行なう事によって、長時間の無音航行を行えるように考案された。
 しかし、第四次大戦後、大規模な軍縮によって民間に払い下げられた所を見ると、あまり使える装備ではなかったようで、同じく払い下げられた中古空母を母艦にして、巨大な艦内を利用し、海中移動基地として使用されている。

2005年出展作品をリメイクしました。

●連結式海中輸送船
 第四次大戦中に開発された連結式潜水艦を民生利用した物。
 元々は、潜水艦の省力化と武装力の強化、それに加え多彩な任務への適応を要求した結果である。
 先頭牽引部、それに続く居住部、最後尾の補機部で構成されており、居住部と補機部の間に規格統一された汎用ユニット部を連結する事によって、様々な編成を可能とし、生産・量産性、メンテナンス性、汎用性を向上させており、潜水艦での市場開拓の数少ない成功例となっている。

 生産企業は、先頭牽引部の様々なバリエーションを生み出しており、その多くは、機関出力を上げる事によって、潜水艦での大量輸送を可能にさせている。

 高速、かつ効率の良い海洋輸送手段と評価され、世界的に主力の輸送手段の一つになっており、出力の大きな先頭牽引部の登場によって、貨物部の連結がキロ単位での輸送船がある。
 先頭牽引船のみでも航行が可能であり、高速・高機動航行を行なえる。

 ただし、世界的な普及率と比例して、この潜水艦を利用した大規模な海賊が横行している。

●海上都市国家 マリーナイツ
 元は、2129年に太平洋に浮かぶメガフロート都市群が同盟を結び、独立を宣言した同盟都市国家「シーガル」に所属する都市の1つ。

 半水没式浮力体を土台にした都市部と連絡橋で結ばれた同構造の空港島。それに加え、温暖化による水没を防ぐ為の巨大堤防で周囲を覆われた環礁島で構成されている。

 元々、海洋技術研究施設として建造されたため、造船所などの工場や、技術研究施設が多く、そこで働く従業員の家族のための施設が、それに付随する形で存在し、区画分けされている。
 又、その性質上、大規模な水素プラントと波力・風力発電施設を持ち、エネルギーの輸出まで行なっている。

 他のメガフロート都市と違い、天然の島と橋で連結されているため、工場やメガフロート上でで生産される食料に加え、天然の食料の自給率も高く、完全な自給自足が成り立っている。

 第四次大戦では中立都市を堅持。数多くの難民を受け入れ、メガフロートや堤防の増築、拡張、保守工事に従事させた事により、2200年現在の形態に成長した。