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2004年2月28日更新
別の角度からの研究として、太田ら5)は、皮膚表層の健全な角層の形成にミネラル成分が関与していること6)に着目。深層水から過剰塩化ナトリウムを電気透析法で除去。ケイ酸とカルシウムによる角化促進効果を確認している。
また別の研究として、久保ら7)は、富山湾の深層水から単離した珪藻Navicula directaの水抽出液に抗アレルギー活性の指標とされている Hyaluronidase阻害特性を測定。市販の抗アレルギー剤のクロモグリク酸ナトリウムより4倍も高く、熱や広い範囲のpHに対して安定であるという。深層水自体に抗アレルギーの効用があるという意味ではない。
1) 宮地良樹編 (1996)「アトピー性皮膚炎治療-最新のトピックス」より、椿俊和ほか「アトピー性皮膚炎と海水浴」209-218、先端医学社
2) 野村伊知郎ほか (1995)「海洋深層水によるアトピー性皮膚炎の治療」、アレルギーの臨床、Vol.16(6)、p.37-40
3) 高木邦明ほか (2000)「海洋深層水のマクロファージに及ぼす影響」、海洋深層水研究、Vol.1(1)、p.13-18
4) 高木邦明ほか (2001)「マウスマクロファージ活性化を指標とした海水中のエンドトキシン様物質の分析」、海洋深層水研究、Vol.2(1)、p.15-21
5) 太田裕紀子ほか (2002)「富山海洋深層水の正常ヒト表皮細胞に及ぼす影響」、海洋深層水研究、Vol.3(1)、p.15-19
6) Mauro. T.et al.「Acute barrier perturbation abolishes the Ca2+ and K+ gradients in murine epidermis」、J. Invest. Dermatol、Vol.111、1198-1201
7) 久保義博ほか(2002)「海洋深層水由来珪藻抽出物のHyaluronidase阻害特性」、海洋深層水研究、Vol.2(2)、p.71-76
1) 稲葉栄生ほか(2001)「駿河湾300m層の流動と水温の変動」、海洋深層水研究、Vol.2(1)、p.1-8
2) 木下淳司ほか(2002)「小田原沖海洋深層水の栄養塩類特性について」、海洋深層水研究、Vol.3(1)、p.7-13
赤穂化成(株)は、自社製品「天海の水」について、以下の論文で深層水のミネラル比が人の体液と似ていること、逆浸透膜装置と加熱濃縮装置を使って塩化ナトリウム以外のミネラルはほとんど保存することが可能となったと報告している。
1) 中川光司ほか(2000)「海洋深層水のミネラル供給源としての利用」、海洋深層水研究、Vol.1(1)、p.1-4
その後、深層水が有光層(水深30m前後)に留まるようにする方法がいろいろ試みられるようになってきたが、やはり難しいか・・・。
(社)マリノフォーラム21では、相模湾三浦海丘付近の水深1,000mの海域にスパー型没水方式の浮体を1点係留。そこから長さ175mの海洋深層水汲み上げ用ライザー管(内径1,000mm)を垂らして深層水を組み上げる海洋肥沃化装置「拓海」による実験を開始している。ただ、相模湾はそもそも漁場として比較的豊かな方のように思われるが、そんな場所で効果が評価できるのか、いろいろ心配。
=>東亜建設工業
1) 瀬戸雅文ほか(2000)「深層水湧昇利用に向けた内部波エネルギー調査」、海洋深層水研究、Vol.1(1)、p.23-26
2) 乃万俊文ほか(2001)「連続成層下における深層水の湧昇技術」、海洋深層水研究、Vol.1(1)、p.49-55
3) 高月邦夫ほか(2002)「海洋深層水の新しい放水方式の検討」、海洋深層水研究、Vol.3(1)、p.31-40
ちなみに、昔、太陽光を光ファイバーで300m以深に導入して、海底を緑化しようという研究があった。第一に集光器の面積以上の光を海底に導入することはできないし、曇れば極端に光量が減る。別手段で発電して海底で照明を点すほうが合理的と判明。さらに、深層水だけでは植物プランクトンは増殖せず、表層水と混ぜるなどしなければいけないことが判明しているようだ。