■極限環境生物−微生物の種類

たぶん間違っている用語メモ
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2005年12月2日更新

DNA」と「核酸」と「塩基」と「遺伝子」と「染色体」と「ゲノム
 遺伝を機能(情報伝達)面から見た場合、ある遺伝情報(あるタンパク質の生成に関する情報)を持ち、かつ、それを子孫に伝達する機能を持った塩基配列の1つの単位を「遺伝子」と呼ぶ。ある生物の遺伝子の完全な1セットを「ゲノム」という。
 遺伝を物質(化学反応)面から見た場合、遺伝情報を伝達する物質(分子)を「DNA」(デオキシリボ核酸)と呼ぶ。DNAは、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4つの構成要素が2重ラセン状に配列したもので、この4つの構成要素を「塩基」と呼ぶ。DNAは、RNAとともに「核酸」と呼ぶ。
 遺伝を細胞の解剖学的に見た場合、伝達する細胞の中で遺伝子情報が蓄えられている部分を「染色体」と呼ぶ。染色体はDNAとタンパク質からなる。

リボソーム/リボゾーム」と「mRNA/メッセンジャーRNA
 ユーカリア(真核生物)、バクテリア(真正細菌)、アーキア(古細菌)のいずれの細胞内にも存在する粒状のもの。タンパク質を合成し、大小2つの粒(サブユニット)で一対になっている。バクテリアとアーキアのリボソーム小サブユニットには16SrRNAという種類のものだけが含まれ、ユーカリアのリボソーム小サブユニットには18SrRNAという種類のものだけが含まれ、どちらも遺伝子系統樹の作成に用いられる。
 16SrRNAは触媒活性があり、タンパク質との複合体を作り、リボソームを作る。リボソームはDNA複製装置で、すべての生物に存在する基本となるものであり(「ハウスキーピング遺伝子」ともいう)、16SrRNAの他に23SrRNAと5SrRNAがある。このうち、16SrRNAが最も進化速度が遅いので進化系統樹の作成に適している。

16SrDNA」(16SリボゾームDNA)と「18SrDNA
 生物が共通的に有し、微生物の系統樹を作るときによく用いられる保存性の良い遺伝子の一つ。真核生物の系統樹には18SrDNAがよく用いられる。前述の16S/18SrRNAも同じ情報を持つ(完全に同じではない。発現しない16SrDNAも遺伝情報にはあるため)。なぜ16S/18SrRNAの代わりに16S/18SrDNAを解析するかというと、PCRというDNA増幅法が開発されたため。
 16S/18SrDNAが用いられる理由は、これが生命の根源となるDNAの複製をつかさどる遺伝情報だから。すなわち、16SrDNAは16SrRNAの遺伝子をコードしている。

 有性生殖をする大型生物は、そのバリエーションが急激に増えてしまい、遺伝子の差が曖昧になる。いわゆる、父方と母方の遺伝子が混じるから。従って、高等生物の場合、18SrDNAを調べても、だいたいのことしか解らなくなる。そこで、細胞共生したと思われる、微生物由来のミトコンドリアの16SrDNAを調べることになる。ミトコンドリアは細胞質に存在するので、母方の情報しか引き継がない(これがパラサイトイヴのもとネタ)。すると、多少は精度よく分類できることになる。(by 三輪さん、加藤ちさん)
=>遺伝子の系統樹からみた生物進化(湘南レクチャー講義、佐藤矩行講師)

単離」と「スクリーニング」と「遺伝子系統樹解析
 微生物群からある種類の微生物を分離することを「単離」という。単離するには、通常、培地の上に繁殖するコロニーから選ぶという作業を必要とする。つまり、培養して培地上でコロニーを作ることが困難なものは、どうしたらいいのか?
 圧力・温度・培地(栄養)などの培養条件は微生物それぞれによって違うため、ある条件で培養すればその条件に適さない微生物群をふるい落とすことになる。これを「スクリーニング」といい、狙った性質の微生物を探すには適しているが、微生物群そのものを理解することはできない。

 そこで16S rDNAに着目し、微生物群を培養することなく16S rDNAを抽出しそれぞれ増殖させて遺伝子解読を行えば、微生物群全体の構成が得られる。これを「遺伝子系統樹解析」という。
 全塩基配列を解読するゲノム解析によると、16S rDNAは1つの細菌に1つとは限らず、バクテリアの場合、いくつかのコピーを持つことが知られている。よく知られている大腸菌で7コピー、深海から分離した好圧菌(圧力大好き細菌、大気圧では生きられないものもある)では12コピーもある。古細菌(アーキア)ではシングルか2コピーである。
 環境の変化に対して、ひとつの16Sがだめでも、マルチにコピーがあれば生命は維持していくことができるという利点が考えられるが、深海底という一見安定な環境に適応している好圧菌の16Sがなぜ多コピーなのかは、よくわからない。深層海流大循環(一回り2千年)で、いろいろな環境を経験しているからとの説もある。アーキアの場合は、多くの場合種の競争の少ない特殊な環境下にのみ生きられるので、他の環境への適応は必要なく、少ないコピー数で充分やっていけると考えられている。バクテリアでも、マイコバクテリウム(肺炎を起こす菌、最初に全ゲノム解析がなされた。ゲノムサイズは、約50万塩基で小さい)は哺乳類の細胞の中でしか(寄生)生きられないものは1コピーしかない。
 これらのコピーは完全に同一ではないがほとんど同じ配列なので、遺伝子解析のうえではあまり困らない。もし仮に全く異なる16SrDNAを同一ゲノム内にあったとしても16SrDNA解析法では別の微生物と見なしてしまい、全解読してみないと分からない。
 例えば、アーキアのうち好塩菌(塩湖や塩田の表面を赤く染めるやつ、フラミンゴが赤いのは好塩菌を食べているから)は実際に同一ゲノム内に全く異なる16S rDNAを2個持っている。(by 加藤ちさん)


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