■分析・実験機器−ガスクロ/シンチレーションカウンタ

たぶん間違っている用語メモ
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2005年6月6日更新

ガスクロマトグラフ」(GC)と「ガスクロマトグラフ質量分析計」(GC-MS又はGC/MS)と「GC-IRMS」と「GC/FPD又はGC-FPD
 キャリアー(移動相)にガスを使い、カラム内の充填材との親和力の差を利用して分離するのが「ガスクロマトグラフ」(GC、カスクロと読む)。
 それに質量分析計が付いたのが「ガスクロマトグラフ質量分析計」(GC-MS又はGC/MS、ガスマス又はGCマスと読む)。気化しやすい低分子量の有機化合物の分離・分析が得意。
 ガスクロがIR-MSに付いたものを「GC/C-IRMS」(GC-IRマスと読む)

 分離された試料の検出には、試料をイオン化して電気的に検出する方法が多く用いら れている。
電子捕獲型検出器(ECD):ハロゲン化合物などの有機化合物が電子を捕獲することを利用。ECDは高感度だが、放射性同位元素63Niを用いているため、取扱いに関する資格、設置場所、定期的な検査などの制限があり取扱が煩雑。あのジェームズ・ラブロックが発明したもの。
 2005年6月1日より放射線障害防止法の改正が施行されてECDガスクロが許可制ではなく届出制となる。

水素炎イオン化検出器(FID):水素炎中で有機化合物の炭素がイオン化するのを利用して有機物の検出を行う。感度では質量分析計に敵わないが、FIDはGCの検出器として@最も安定で、Aダイナミックレンジが広く(10^5以上)、B扱い易く、Cコストパフォーマンスに優れる検出器で、D有機化合物に対して万能(ハロゲン化合物などは低感度だが)。水素ガスを使う必要がある(NPD,FPDと同様)。TCDは感度が低く、かつ安定に時間がかかる。以上の点から、FIDへの評価は高い。(by natsumikanさん)

水素炎検出器/炎光光度検出器FPD):DMSなどの分析に用いられる。FPD付きガスクロマトグラフを「GC/FPD又はGC-FPD」という。水素ガスを使う必要がある。

高感度窒素・リン検出器(NPD):別名、アルカリ熱イオン化検出器(FTD)。有機窒素化合物(1つの分子に炭素Cと窒素Nがある化合物、例えばHCN)やリン化合物(例えばPH3)に高い感度を示す。リン化合物に対してはFPDの方が選択性が高いため、NPDは主に窒素化合物の検出に使用される。水素ガスを使う必要がある。

表面電離型検出器(SID):分子を固体表面と接触させ、固体表面との電子の授受を生じさせること(表面電離)によりイオン化を行う。第三級アミン化合物など特定の化合物のみ検出するという選択性があり、薬物動態の研究などに利用されている。

熱伝導度検出器(TCD):サンプル成分を含まないキャリアガスとサンプルを含むキャリアガスの熱伝導度を比較することにより検出する。キャリアガス以外の全ての化合物を検出することができる汎用検出器。TCDでは、サンプルが破壊されないため、FIDなどの検出器と直列につなぐことが可能。

=>ガスクロマトグラフィーについて(有限会社エル・エイソフト)
=>科学技術振興事業団
=>西川計測株式会社

高速液体クロマトグラフ」(HPLC)と「液体クロマトグラフ質量分析計」(LC-MS)
 キャリアー(移動相)に液体を使い、カラム内の充填材との親和力の差を利用して分離する装置を「液体クロマトグラフ」(LC)という。特に高速のものを「高速液体クロマトグラフ」(HPLC:High Perfomance Liquid Chromatography)という。LCに質量分析計が付いたものを「液体クロマトグラフ質量分析計」(LC-MS)という。

液体シンチレーション・カウンタ」(LSC)
 試料をベンゼンなどの液体にしてβ線比例計数管などで測定するもの。放射線(α線、β線など)、ラドン、C14同位体比などの測定に用いる。C14同位体比測定の精度はAMSより劣る。
 植物プランクトンの基礎生産量を測定する方法の一つとして、放射性同位体であるC-14をトレーサーに用いて溶存CO2の形で加えて自然光のもとで12〜24時間放置し、有機炭素に変換されたC-14の比率を液体シンチレーション・カウンタで計測する方法が世界的に普及している。
 ちなみに、放射性物質の規制の厳しい日本では、C14の代わりに安定同位体であるC-13を使って高価なIR-MSで計測する方法がよく使われている。

C14法とC13法

C-14法」と「C-13法
 基礎生産力は、ある一定量の海水に含まれる植物プランクトンに炭素同位体トレーサーを添加し、12時間、あるいは24時間培養し、この培養時間内に植物プランクトン体内に取り込まれるトレーサー量を陸上において測定することで得られる。この炭素同位体トレーサーとして放射性炭素(C-14)を使用する方法を「C-14法」という。
 取り込まれたC-14は、安価な「液体シンチレーション計測器」(1000万円以下)で計測可能であり、かつ、少ない試料で精度良く計測できる利点がある。過去、日本では「放射線管理区域」ではない船上甲板上、あるいは海中でのC-14の使用は前例がなかったが、数年前よりアイソバンというコンテナ実験室を「みらい」等の船舶に搭載し、係留式現場培養装置でC-14を使用することが可能となった。

基礎生産力

 C-14のかわりに炭素安定同位体(C-13)をトレーサーとして基礎生産力を測定する方法を「C-13法」という。しかしC-13法はC-14法に比べて、植物プランクトンに取り込まれたC-13の測定には、高価な「質量分析計」(約5000万円)が必要であり、その分析方法、精度管理の上でも熟練度を要する。また、この方法により測定されるC-13はC-14に比べて精度が低いため多くの試料が必要である。

 日本以外ではC-14法による基礎生産力測定が通常である。厳密にいえば植物プランクトンはC-13とC-14を取り込みかたに「好き嫌い」がある(同位体分別効果という)。そのためC-13を用いる場合はその「同位体分別効果」を補正しなけれならない。従って補正した「基礎生産力」について国際的に必ずしも問題なく認められていない。
 過去においてこの培養実験は陸上、あるいは海洋観測船上の「放射線管理区域」において人工光の下で行われた。しかし近年では、水温、太陽光を調節した甲板上の水槽内で、あるいは植物プランクトン、C-14を含む海水を入れた「培養実験を行う透明な筒」を実際の海洋に投入し、24時間漂流させたりするなど自然光の下で基礎生産力を測定するようになってきた。


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