■固体地球−地球内部の地震波構造

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2007年6月12日更新

=「地球内部観測ネットワーク」へのショートカット


地殻」と「マントル」と「モホロビチッチ不連続面
 地球表面を覆う流動性のない固体部分のことを「地殻」という。厚さ数kmの「海洋性地殻」(上は玄武岩(basalt)、下はハンレイ岩(gabbro))と厚さ数十kmの「大陸性地殻」(上部は安山岩(andesite)、花崗岩(granite)が、下部は玄武岩が多い)がある。
 地殻の下にあって、固体でありながら流動性を持つ部分を「マントル」という。核を覆うマントの意味。カンラン岩カンラン石(Olivine; Mg2SiO4)、輝石、ザクロ石の混合物、超塩基性岩)と推定されている。
 地殻とマントルの境界を「モホロビチッチ不連続面」という。「モホロビッチ」ではないのでご注意。

リソスフェア」と「アセノスフェア」と「低速度層」と「G(Gutenberg)不連続面」と「L(Lehmann)不連続面」と「テクトスフェア
 地殻及びマントル上方の比較的堅い部分を合わせて「リソスフェア」(岩石圏)と呼び、それより下方の比較的柔らかい部分を「アセノスフェア」(岩流圏)と呼ぶ。
 モホ面から数十km下方に地震波の速さが異常に小さい層(厚さ100km程度)があり、これを「低速度層」(低音速層)という。その上限を「G(Gutenberg)不連続面」、下限を「L(Lehmann)不連続面」(通常、「220km不連続面」という)という。
 G不連続面が、リソスフェアとアセノスフェアの境界である。海洋底では深さ68kmあたりにある。一方、L不連続面は、海洋底では深さ166kmあたりにある。
 リソスフェアでは地震波の横波(S波)の音速に4%程度の、低速度層では2%程度の異方性があり、それより下では異方性は見られない。
 最近、大陸の下には「大陸テクトスフェア」の存在が知られるようになった。

地殻」と「プレート
 よく混同するが、プレートはリソスフェア、すなわち、地殻に加えて、マントル上方の比較的堅い部分を含んでいる。

プレート」と「リソスフェア
 同義であるが、「リソスフェア」(岩石圏)は、「層」という視点から、地殻及びマントル上方の比較的堅い部分を言う。
 それに対し、「プレート」は、同じ部分ではあるが、「面」的な視点で、地球表面をいくつかに分割したそれぞれが、板のように一体的に動くものを言う。

410km不連続面」と「660km不連続面」と「920km不連続面
 地表から410km、660kmの深さに地震波の縦波(P波)の音速が急増する不連続面があり、「410km不連続面」、「660km不連続面」という。沈み込んだプレートが660km不連続面の上に滞留する現象が見られる。660kmより上方を「上部マントル」、下方を「下部マントル」と呼ぶ。オリビン=かんらん石(Mg2SiO4)は410kmでスピネル構造に、660kmでペロブスカイト構造(MgSiO3)に相転移する。
 さらに、最近、地表から920kmの深さにもP波の不連続面が発見され、「920km不連続面」という。場所によって深さが900km〜1080kmの違いがある。
 410〜660kmの間を「マントル遷移層」と呼ばれているが、最近では410〜920kmの間が「マントル遷移層」であるとする説も。



メージャーライト:Majorite, ザクロ石が高温高圧下で輝石成分を固溶しシリカに富んだ組成になったもの。最初にこれを実験室で合成した研究者メージャーにちなむ。////pyroxene(輝石)- and garnet(ザクロ石)-rich compositions ('piclogite(ピクロジャイト)')
リングウッダイト:ringwoodite, スピネル構造を持つ。リングウッドにちなむ。////olivine(かんらん石)-rich 'pyrolite(パイロライト)' composition
パイロライト:玄武岩とカンラン岩をコンドライトの比率(1:4か1:3か?)になるように混ぜ合わせたもの。
ウォズレアイト:Wadsleyite変形スピネル構造を持つ
ハルツバージャイト:harzburgite、マントルからMORB成分がぬけ出てしまった残り。斜方輝石とカンラン石からなるもの(体積で90パーセント以上)
Terraの寺子屋(小出良幸)
地球内部の岩石鉱物(大石栄治、地学雑誌、2005)
特集−中高生のための高圧科学入門−高圧実験と地球科学(鈴木昭夫、日本高圧力学会、2007)

コア(核又は中心核)」と「コア−マントル境界」(CMB)と「D"層
 マントルの底(地表から2891km)から地球の中心(地表から6379km)までの層を「コア(核又は中心核)」という。融けた鉄を主成分とする液体(金属)の「外核」(ダイナモ効果により地球磁場を作る)と固体の「内核」からなる。
 コアとマントルの境界を「コア−マントル境界」(CMB)という。CMB直上、マントル最深部(地表から2700〜2900km)に地震波速度が水平方向に非常に不均質な層があり、これを「D"層」(ディー・ダブルプライム、120〜130万気圧)という。D"層は下部マントルを構成するペロブスカイト(MhSiO3)とマグネシオウスタイト(MgO)がポスト・ペロブスカイトに相転移したものであることが分かっているが、沈み込みプレートからのデラミネーション成分(相対的に重い成分が剥離して落下)の存在も予想される。

地球内部の圧力
位置地表からの距離圧力
上部マントルの底660km23.5 GPa
コア−マントル境界2,891km150 GPa(150万気圧)
内核5,150 km320 GPa
地球の中心6,371 km364 GPa
1 GPaは約1万気圧で、マリアナ海溝の水圧の約10倍


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