■ヤンガードリアス・イベントと彗星仮説

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2006年4月24日更新

(ヤンガードリアス事件)
 これについて、まず解明が進んだのは、約1万2千年前、氷期が終わって現在のような温暖な間氷期(完新世)に昇温していく途中に急激寒冷化した「ヤンガードリアス(ドライアス)事件」である。この事件は、北米大陸に発達していたローレンタイド氷床が急激に融解し、氷湖が決壊してセント・ローレンス川から大量の淡水が一気に北部北大西洋に流入したことによって引き起こされたと考えられている。
 北大西洋の北部では、北極海の海氷の周辺で大西洋水が冷却され、沈降することによって、海洋熱塩循環のコンベアベルトを駆動している。大量の淡水が流入して塩分躍層が発達し、海水が沈降しにくくなり、コンベアベルトの駆動力が失われたことによって急激な寒冷化を引き起こしたというものである。
 ただし、解明されたといっても、南極周辺の寒冷化が1000年ほど先行している点の説明はまだのようだ。

(古い文献では、海水生成時に排出される高塩分水(ブライン)がコンベアベルトの駆動力となるとしたものもあった)

 ●彗星仮説
 Evidence for an extraterrestrial impact 12,900 years ago that contributed to the megafaunal extinctions and the Younger Dryas cooling (pdf)
clovis comet impact
 ●過去4万年間の酸素同位体比/気温

黄:グリーンランドNorth GRIPのδ18O(NGRIP dating group, 2006
赤:グリーンランドGISP2の気温℃(Alley, R.B.. 2004
青:南極大陸EPICA Dome Cのδ18O(Stenni, B., et al. 2006年)


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