■ハインライン先生の人生論ノート(名言集)

トップメニュー>ハインライン「無料の昼食なんてない」
 
2003年11月1日更新
 ハインラインは、数多くのジュヴナイル物はもちろん、大人向けの作品の中にも、読者に向けて強烈なメッセージを盛り込んでいます。

 「月は無慈悲な夜の女王」に登場する老教授デ・ラ・パスは、実力以上のことを知ってるようなふりは絶対にせず、かつての教え子と一緒に金を出し合ってでも学び続けようとしてきた人です。主人公マニーは教授を「無器用にゆっくりとではあったが、自分の心を拡げることが嬉しかったのだ」p.44と評しています。私も教授のように学び続けることを喜びとしていきたいものです。

 このほか、「月は無慈悲な夜の女王」では「余計なことはするな」p.11、「カードはいつも切れ」p.11、「無料の昼食はない(タンスターフル)」p.254、「人は支払った分だけを受け取るものだ」など、短いけれども意味深いメッセージが盛り込まれています。

 特に「余計なことはするな」は、一見、ハインラインらしくない言葉ですが、多忙すぎると本当に大事なことがおろそかになってしまう、と勝手に解釈して自分の仕事上の心得にしています。
 「銀河市民」でも、主人公ソービーがやるべき雑用に追いまくられ、本当にやるべき仕事、本当にやりたい仕事がまったくできないと嘆いているとき、老弁護士ガーシュは、「きみ、それはだれもがそうさ。そこで、自分をだめにしてしまわない秘訣はだな、ときどきでいいから、なにはともあれ、自分のやりたいことをやることさ。」と諭します。これはまさに自分自身の毎日にそっくり当てはまる気がします。

 「ダブルスター」では、誘拐された大統領候補ボンホートの替え玉となった主人公ロレンゾ・スマイスが、記者たちの前で即興の演説をぶつはめになる。そこである記者から、「その演説を、この前の2月にも聞いたような気がしますが」とつっこまれるのですが、「次の2月にも聞くだろうよ。1月にも、3月にも、どんな月にも。真理はなんどくり返しても、それで過ぎるということはない」と答えます。いろいろ話題が豊富である必要はないんだ。大事なことだけ、それを繰り返すしか能がない人間で構わないんだ、と救われた気持ちになりました。

 まだまだほかにもありますよ。

月は無慈悲な夜の女王
「女のうちどれぐらいが詫びたりするだろう」p.64、「彼女らはおまえ(高選択性・論理的・複合評価性監督機のこと)がやれるよりもずっと少ないデータでも、結論を出せるんだ」p.94、「人間というものは、わかっている危険に立ち向かうことができる。だが、不可解なものには慄え上がるのだな」p.114、「人数が4人いれば、そのうち1人はスパイだということが多い」p.116、「スパイを扱う方法は、そいつを自由にさせておき、信用のおける同士でそいつを包囲し、そいつの雇用主を喜ばせる無害な情報を与えておくことだよ」p.161、「革命とは金が必要なんだよ」p.162、「魚は水に気付いていない」(中国の諺とのこと)p.183、「民衆は愛させるより憎ませる方が容易なものだ」p.184、「人生とは賭けなければならぬものだ」p.195、「言いたいことを言わせないほど人間を欲求不満にさせるものはない」P.205、「6人以上の人間がいれば、どんなことであろうと意見は一致しない。3人のほうがいい・・・そして、ひとりでできる仕事には一人がもっとも良いものさ」p.319、「戦争における最高のことは敵国民の意志をくつがえし戦わずして屈服させることだ」p.431、「人間の中には、禁止されないものなら何であろうと強制的なものにする深い本能があるようだ」、「明らかなものを信用せず、伝統的なものは疑うのです」p.470、「わたしは黄金律(すべての人にしてほしいと思うことは人にもそうしろ)を唯一の法律とすれば満足なのです」p.473、「できるなら、きみの敵をきみの友人とする余地を残しておくことだ」p.518、「おまえが理解できない問題にぶつかったときには、どこでもいいおまえのわかるところだけをやるんだ。それからもう一度考えてみるんだぞ」p.566

銀河市民
「金持ちから盗むのは危険だし、貧乏人から盗むのは恥ずかしいことだ」、「借りは返さなければならぬ」、「父ちゃんは言葉をごまかしたりする人ではなかった」、「サインする前によく読みなさい。そしてよく考えるんだ」、「なまけすぎと商売熱心すぎは自由商人をだめにしてしまうんだ」、「物事の正邪というものはその社会の文化に左右されるのよ」など

ダブル・スター
「ウィスキーには水以外のものを混ぜるな」、「匿名の手紙はいつだって無視すること」、「名前を名乗らない、知らない人とは話をするな」、「人間は、なんとかして、自分自身を愛するか、でなかったら、自殺するしかない」、「すべてを理解することは、すべてを許すことだ」(「栄光の星のもとに」でも登場。「スターファイター」では「すべてを理解するのはすべてを許すこと、という考えにぼくは賛成しない」とある)、「真理はなんどくり返しても、それで過ぎるということはない」など

ルナ・ゲートの彼方
「基礎に戻らなければならんときがきたら、なさねばならぬことをして、涙を流さないことだ」、「出血多量よりも、心配で死ぬ人間の方が多いのよ」、「わたしにできることは何もなかった。だからわたしは昼寝をしたよ」、「すべての論理は類語反復だ。論理を通してわかることは、すでに自分の知っていることだけだ」、「人生とは多くのことが、なりゆきで決まっていくものさ。大事なのは、それを最大限に生かすことだ」、「政治とは、きらいな人間とうまくやっていく技術だ」、「できることはわかっている。それは戦いの三分の二に勝ったことだ」、「青年は、大人でもなく、子供でもない。周辺文化につきものの、矛盾した、解決不可能な、悲劇的な問題を抱えている。彼らには所属するところがない。社会的にも、頼りない二級市民だ」

宇宙に旅立つ時
「自分が正しくて将軍がまちがっているとき、相手に考えを変えさせる方法はひとつしかない。口をつぐんで、議論しないことだ。事実それ自体に証言させ、相手に前言をひるがえす必然的理由を考え出すための時間をあたえるのさ」、「グループが大きければ大きいほど友達を見つける機会は多くなるし、いやなやつを避ける方法も多くなる」、「”無益”な理論的研究のほうが、”実際的”研究よりすねにずっと実際的なんだ」、「私は利己心というしっかりした核を持つへそ曲がりの連中が好きだ」、「気楽な生活のこつは、自分の無意識が本当に望んでいることを突き止め、できるだけ安上がりの条件でそれを無意識に与えてやることだ=無意識がおのれの行動の自由を求めてきみに感情的破綻をもたらす前にな」、「きみは自分の心を徹底的に調べ、それと知り合いになり、それが本当に欲していることはなにかを突き止め、なぜそれが手に入らないかをそれに教えてやり、可能な範囲でそれと取り引きをおこなうことができる」、「どういうわけか、物事は文章に書くと決着がつく」、「人間は勘定を払い、体を清潔に保ち、他人を尊重し、約束を守る。しかし、それは別に面目をほどこすようなことではない。彼がそれだけの労力を払うのは、あくまで自分自身に借りを作らないためだ。天国への切符は高くつくんだ」、「船長は正しいほうがよい。船長と意見が合わない場合でも、船長が正しいことを祈ったほうがいい・・・なぜなら、彼がまちがっていたら、いくら自分が正しくても船を救うことにならないからだ」

ガニメデの少年
そういう種類の幸運というのは、用意を整えているものだけにやってくるものなんだ」、「どうしようもない事態というものも時にはあるものなのだ」、「奇跡じゃないよ。かれらは、生き残るタイプなんだ」、「新しい植民地は、いつも新しい希望なんだよ」、「植民地の生活には、一つ良い点がある−少年から男を選り分けてくれることだ」

スターマン・ジョーンズ
向かい風はいつまでも吹くもんじゃないぜ

夏への扉
「なんどひとに騙されようとも、なんど痛い目を見ようとも、結局は人間を信用しなければなにもできないではないか。」(「栄光の星のもとに」でも、「人は、いつか誰かを信じなければならないのだ! 人間はひとりではやっていけない」とある)、「未来は、いずれにしろ過去に優る

栄光の星のもとに
「人間には自由が必要だが、完全な自由を楽しめるほど強い人間はめったにいない」、「癒えざるものには耐えよ」

スターファイター
「運なんてものはないんだ。統計の世界に対抗するには、十分な準備をするかどうかだけだ」、「『本当はこうこうすべきだ』などという言葉は何だろうと、うさんくさいものだよ。つまりおまえは、動機を分析していないってことだよ」、「したくないことをやるように、自分をごまかすようなことは、決して口にするんじゃない」、「一個の牡蠣でたくさんのシチューを作らないことだ。(データが不十分なときは独断的にならないように)」」、「眠り、それは心配というもつれた糸をほぐす」、「疲れた生理の甘い回復剤、それはさわやかな眠り」、「生き抜くために大切なのは、不可能なことにくよくよせず、可能なことに全力を集中すること」、「悪い知らせは2杯目のコーヒーが済むまでは絶対に知らせるものじゃない」

もしこのまま続けば
「大衆を動かそうとする場合は、理性に訴えるよりも偏見に訴えるほうが早いものだ。それは必ずしも重要な問題についての偏見でなくともいいんだ」、「公然と表明された信心の大半は、鼻持ちならぬ己惚れだよ」、「神を権威として引用することのいいところは、証明したいものは何でも証明できるところにある」

天翔ける少女
仕事は利用できる材料を使ってするもの」、「レンチを使ってむりやり他人の髪を分けるような指揮官は、ある点で失格だ」、「鞭を惜しめば子供をそこなう」、「政治とは、われわれがものごとを・・・戦争によらずして・・・処理する方法の呼び名だ」、「われわれの生き方以外にも、ほかの生き方があるのだ」、「わたしは靴がないので泣いた --- 脚のない男に会うまでは」


 短いメッセージだけでなく、ひとつの教科書にもなりうるノウハウが含まれていることに驚かされます。

・追手からの逃れ方(銀河市民、もしこのまま続けば)
・物乞い業のコツ、実業家になる方法(銀河市民)
・違う文化と接する方法(銀河市民)
・懸賞に当たる方法(スターファイター)
・革命を成功させる方法、世論操作の方法(月は無慈悲な夜の女王、もしこのまま続けば)
・勇者になる方法(栄光への道)
・変装のコツ(太陽系帝国の危機/ダブル・スター)
・出産準備(自由未来)
・核シェルターで自給自足する方法(自由未来)
・農業、土壌改良(ガニメデの少年)
・月を売る方法(月を売った男)
・赤ん坊を世話する方法(ポディの宇宙旅行)
・サバイバルの方法(ルナ・ゲートの彼方に)
・原始政府を作る方法(ルナ・ゲートの彼方に)


 「愛に時間を」には、格言が山のように溢れています。

・どんなパンにも酵母は必要だ。厄介な連中をすっかり取り除いてしまった社会は下り坂になる。

・筋が通った千の意見も、渦中に飛び込んで発見するひとつの事実にはおよばない。

・多数決の原則は、残酷な強者が充分な自由を得て、その仲間を弾圧するってこと。

人間は他人の経験からほとんど何も学びはしない。

・信じることは学習の邪魔になる。

身をかわすことが出来るときには決して戦わない

・歴史を無視する世代に過去はない−そして、未来もない。

もし自分自身が好きでないなら、他人を好きになれるわけがない

人間はなんでもできるべきだ−おむつを取り替え、侵略をもくろみ、豚を解体し、船の操舵を指揮し、ビルを設計し、ソネットを作り、貸借を清算し、壁を築き、骨をつぎ、死にかけている者をなぐさめ、命令を受け、命令を与え、協力し、単独で行動し、方程式を解き、新しい問題を分析し、肥料をまき、コンピュータをプログラミングし、うまい食事を作り、能率的に戦い、勇敢に死んでいくこと。専門分化は昆虫のためにあるものだ。

・「われわれ(ぼく)(きみ)は、とにかくやらなければいけない・・・」という文句は、する必要のない何事かを示している。「それはいうまでもない」とは、赤信号だ。「もちろん」とは、自分でそれを調べるべきだということだ。これらのささいな決まり文句は、その同類とともに、正しく読まれた場合には、信頼できる水路標識となる。

子供たちの生活を容易にすることで、かれらにハンディキャップをおわせるな

人間の愚かさが持つ力を決して見くびるな。

・ひとつの分野での専門的知識は、他の分野について当てはまらない。だが専門家はしばしばそう考える。その知識の範囲が狭いほど、彼らはそう考えるようだ。


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