その昔 私はダイバーでした。水中の世界を極めようと思いつくままいろんなこともしてみました。 そんな中でやったのが水中で空気のリングを作るものです。有名な水中写真家 アル・ギデングスの写真に「エヤーリング」と言うのがあってつぶつぶの泡がドーナツ状になっているものでした。
昼休みにJAMSTECのプールで何回かやっているうちに完璧な泡のリングが出来るようになり、渦輪の研究者へ写真など送っていろいろな現象も確認できるようになりました。「バブルリング」と命名して写真や作り方を書いて送ったところ、記事は1982年の米国、イギリス、フランスの潜水雑誌で大きく取り上げられました。
しばらくしてデイズニーからも来ないかと手紙も来るほど大きな反応がありました。当時もイルカが真似した等の話題(サンフランシスコ)もありましたが 最近もイルカのバブルリングが何かと話題になっています。
私は、ヒトは水中の侵略者だが唯一先住民のイルカに教えた遊びがバブルリングである、と思っています。
イルカのバブルリングのホームページアドレスを紹介します。
=>シルバーリングの不思議(ともきゅーさんのDolphin Ringより)
これによると、イルカは別の方法でバブルリングを作ってきたようですが、ホントに昔からイルカがやっていたのでしょうか? 謎は深まります。
=>Dolphin Bubble Ring Sculpture Gallery of Photos
=>the RingMachine
=>バブルリング(イルカより)
=>イルカのバブルリング遊び(からしら萬朝報より)
=>バブルリング(リオさんの水中遊び<RIO'S FREEDIVING homepageより)【相互リンク】
=>バブルリング(綾里さんの李上庵より縁側>バックナンバー>バブルリングへ)【相互リンク】
見た瞬間にこれはやれる!もっと綺麗なリングを作れる!!と感じました。水の中でできることをいろいろ試していた頃なので敏感になっていた時期でもあります。これはスキンダイバー誌に掲載されていたので、世界中のダイバーが見ていた写真です。世界中のダイバー100万人に負けぬように!
それを見たJAMSETC潜水技術部(当時)のプロフェッショナルDeep Sea Diver(水深300mでのHe-O2を呼吸してのSATダイビング(飽和潜水)の第一人者)である山田稔さんが減圧時の余興で口での製造法を取得し、ついで機械での発生装置を発案、同潜水技術部のガスエンジニア高橋仁と、来る日も来る日も3mのプールの中で開発に及んだものです。(液体中で渦輪を作る装置;特許1513016)
鴨川シーワールドや海遊館などでのアトラクションデモの他、工業的な利用分野としての、 液体への気体の攪拌効果による、気液混合装置、湧昇流発生装置などとして用いら れましたが、現在稼動しているものはありません。
製作の要点は、ノズルでして、材質がシリコン或いは生ゴム、水中で逆流水の入らない構造の ノズルとON-OFF動作の機構にあります。基本的には水中開閉弁方式と外部開閉方式がありますがノズルの直近での開閉がベターとなります。
即ち強力な回転を与えることがバブルリングの成立条件となります。
*バルブの開時間は0.2sec〜0.5secあたりが渦輪の成立条件です
気体の供給圧力は水深圧+100〜150mmaq(ノズル部)更には目的の渦輪容積からなる一回分のバッファタンクがあれば有利です。尚、気体も空気,CO2、O2などが考えられ、そのガスの物性によっても多少の設定を変える必要があります(CO2は水中に溶解し、極端に減衰します)
生成間隔は、ガス量で決定されますが、短間隔では、前のリングを下側から追い抜く(すり抜け)ことが可能です。又、並列で発生させると成長に従い接近し、ついには1つのリングとなります。
我々は当時ディスプレイとして、リングが光り輝く装置も開発しました。
光の屈折で驚くほど気体の渦輪はミステリアスに輝きます。
古い資料ですが、過去作ったパンフレットやVTR(VHS)もどこかにあると思いますし、ノズルも水深3〜5m用のものも1〜2個ならあると思いますが、まことに恐縮ですがこれから作るとなると、金型や防水型電磁弁、作動用タイマー制御装置など(手動では困難)製造するに困難の状況です。
うまく出来るかどうか疑問ですが、別紙に手作り{案}を添付します。
(See attached file: 山田さん手作りバブルリング発生装置030925.doc)
日本炭酸瓦斯(株) 技術開発部 高橋 仁
=手作りバブルリング発生装置(案)(Wordファイル・ダウンロード)