山田 海人のビューポートへようこそ!
"楽しい水中の遊び"バブルリングは潜れる方なら誰でもできる面白い遊びです。
原理を理解すれば簡単にできるのが"バブルリング"です。ぜひ貴方も挑戦してみませんか?
- ●"バブルリング"の原理
- バブルリングは流体力学で「渦輪」「ボルテックス リング」とよばれています。海の中など液体の中で気体の泡の運動ですから非常に不安定で、液体は流れなど泡の運動を邪魔する動きは少ないほうが好条件です。ですから観ているダイバーのフィンの動きや口を離したレギからの泡など出さぬよう、また、マスクもやや小さめを使うなどの条件を整えてバブルリングを作ってみましょう。
バブルリングは
- 内側から外側へ高速で回転しています。
- 回転の力でリングの形状を保っています。
- 空気が膨張することでリングが大きく成長していきます。
- リングの回転や成長に水の動き(流れ)は強く影響します。
- リングの間隔が短いと前のリングの流れに影響されます。
- ●バブルリングのやさしい作り方
- 波や流れによる水の動きの少ない場所を選ぶ。
- 海底へ潜ってお腹を上にして水面に向いて安定した姿勢を保つ。
- 自分が潜った時の水の動きが納まるのを15秒ほど待つ。
- 水面と平行の向きになるようクチビルを向ける。(マスクを水平にして、更に頭を上に向く感じでしょうか)
- ほほが少しふくらむくらい口の中に空気をためる。
- クチビルの力を抜いて、水面に向けてポッと空気をはき出す。
- 空気をはき出したら、意識してクチビルを閉じる。(バブルリング以外の空気を出さないように速くクチビルを閉じる)
- 形のくずれた泡(失敗)の後は、水流がおさまるまで10秒ほど待つ。
- 再度、ほほをふくらませて、水面に向けてポッを空気をはき出す。
- クチビルを閉じる時は、空気の輪にスピンをかけるよう速く閉じる。
これが基本の流れです。これを繰り返して練習して下さい。
ポイントは海底で海面を見て、フラフラせず安定した姿勢をとる。ほほのふくらませた状態を小さくしたり、「ボッ」とか「パァ」とか変えて見て下さい、はき出す空気の量を少なくして自分なりのコツを掴んで下さい。
- ●少しできるようになったら
- コツが掴めてドーナツ状のチューブができてきたら、安定して作れるように次のステップに挑戦しましょう。
- ・追い越しバブルリングの作り方
- 一つきれいなバブルリングができたら、2秒以内に次のバブルリングを作ってみましょう。二つ目もきれいにできると、やがて後から作ったリングが最初のリングに吸い寄せられ、リングの中をくぐり抜ける様子が観察できます。
次はくぐり抜けたリングは下のリングを引き寄せ、下のリングが上のリングの中をくぐり抜けます。水深によってはこれが繰り返されます。
- ・バブルリングの柱を立てる
- 次は海面までバブルリングの柱を立ててみましょう。
形がくずれないように安定したリングを続けて10個ほど作ってみましょう。この時はリングとリングの間隔は狭くせず、前のリングに影響されない程度の離れた間隔が必要です。写真撮影では迫力満点です。
- ・バブルリングの合体を作る
- いろいろな事ができるようになったら、次はリング同士の合体に挑戦してみましょう。
これまでは、一人で作れましたが、これは二人で作ります。
二人で同時に海底へ潜って行きます。 そして肩を組んで姿勢を安定させます。二人で息を合わせてリングを作ります。
同時に左右にできたリングは成長するに伴い、影響しあってリングの近い箇所が細くなって切れ、一瞬に合体します。最初は波打っていたリングはやがて安定した一つのリングとなって海面に上っていきます。
- ●まとめ
- バブルリングは難しい技ではありません。
海面と平行にクチビルから空気を出す。クチビルを開くと中央部には水が落ちてくるような状態になるので黙っていてもドーナツチューブのような泡になるのです。クチビルの力を抜いて自然の形にできるか?どうかでしょうか、クチビルに力が入ってはできませんよ。ちょっとタコクチビル系の方が作りやすいかも知れません。次は吐息の量です。最初は少なめからやってみましょう。多い吐息の方が難しいので肺活量の1/20程度、つまり20個作るつもりの量からやってみましょう。
自分の吐いた泡がきれいなドーナツチューブとなってゆっくりと水面に向かって上って行きます。この美しいバブルリングをゆっくり堪能して下さい。雑誌はSKIN DIVER 1982 JUNE p 112の記事です。
参考:マリンダイビング 1982年 2月号 No 108
「ミステリアスな Air Ringを作って遊ぼう」P 96〜98
JAMSTECダイビングクラブ 山田 稔 高橋 仁