■ナミビアの海洋ダイヤモンド

by 普及・広報課 山田 稔

海人のビューポート
 
2005年2月22日オープン

 ロシアの潜水調査船ミールでタイタニック号へ潜航するのに$35500/人の費用が掛かりますが、潜水調査船で高価な物を回収している例としては、宝石サンゴ(日本、ハワイ)が知られています。

 これまで私の知る限りの高価な物としてはアフリカの海洋ダイヤモンドがあります。ナミビアの海洋ダイヤモンドの例をとれば、1カラット平均$276ですから単純計算で1回の潜航で約130カラットを採掘できればミール並の収入が得られることになります。


ナミビア産ダイヤモンド 0.98カラット


ナミビア産の海洋ダイヤモンド 6.07カット $650

ナミビア産スミソナイト $525

 アフリカはダイヤモンドの産出国が多くありますが、南アフリカの隣国であるナミビア(1990年独立)ではダイヤモンドの95%が海から採掘されています。ダイヤモンドの産出量は国の統制のもと決められますが、2001年は160万カラットが採掘されていて輸出総額の80%が海からのダイヤモンドによるものです。

 一方、カナダは世界中の鉱物の採掘分野に実績が高く、ナミビアの海からのダイヤモンドの採掘にもカナダの企業が参加して実績のあるROVや潜水調査船の技術が多く使われています。

 ナミビアの南アフリカ側を流れるOrange川には昔からダイヤモンドが多く採掘されていましたが、近年ではこのOrange川の河口域、さらに大陸棚までの旧河口域にダイヤモンドが埋蔵されていると調査結果で出ました。ダイヤモンドの鉱区は広範囲に設定されていて、年々採掘深度が深まっています。

 通常行われている海からのダイヤモンドの採掘は、"クローラー"と呼ばれる海底走行のROVで母船のコントロールルームのモニターを見ながら"クローラー"の操縦とダイヤモンドの採掘を行っています。

ナミビアでのクローラーロボットでの海洋ダイヤモンドの採掘

 1979年にもナミビア沖のダイヤモンド掘削無人機「NAMSSOL」(最高深度 150m)がサブシー社で製作されました。この他にも鉱区内の資源量調査に有人潜水船やROVも活躍しているようです。

 ちなみに世界最大のダイヤモンド産出国は、アフリカのボツワナ(すべてが陸上鉱区)で、2つの鉱山(ジュワネン鉱山、レトラカネ鉱山)を有し、年間産出高は2,500万カラット(2000年実績)に上ります。


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