深海から生まれた高貴な香料 竜涎香(りゅうぜんこう)とは 出典:AMBERGRIS(Randy D. Ralph) |
昔、ローマ人やギリシャ人は、海岸に流れ着くもので貴重なもの、高価なもの、そして利用価値の高いものとして琥珀(こはく)と竜涎香を挙げていました。これらは黄色く、琥珀色している外観から共通点があるので何か同じ物から出来ていると考えambergrisと名付けていました。
また、マルコポーロの東方見聞録にも竜涎香の記載が見られます。
一方、中国では、深海にひそむ竜が安息の眠りの中で香り高い“よだれ(涎)”をたらすと考え、これをイメージして竜涎香と名付けていました。
日本でも、古代から竜涎香を知っていてお香の材料にしていました。それを西洋人の耳には、kunsurano fuu(原文のまま)、「クジラの糞」という言い方も聴いています。
竜涎香はマッコウクジラが餌にしている深海のダイオウイカなどのイカ類の未消化部位(カラストンビ)に腸からの分泌物が取り巻いたものが排出されたもの(糞)です。排出された当初はカラストンビが埋め込まれた大理石のように明るく蝋のようで灰色の塊ですが、太陽にあたり空気に触れると急速に酸化して硬くなります。ですから長く海面に漂っていたものほど良質になると言われています。
竜涎香の香りは1820年に 2人のフランス人の化学者、ジョゼフ-ビエナイム カレントとピアー-ジョゼフペレティアは、最初に竜涎香の主要な香りの成分を分離して人工的に香りを作り出すことに貢献しました。