(初出:2002/9/26)

〜 鯨肉PCB汚染に見る日ハムとの相似形 〜
 (2002年)8月8日の報道で、北西太平洋で調査捕鯨により捕獲されたミンククジラの脂皮から国の基準値を越えるPCBが検出されていたことが判明しました。実施主体の鯨研によれば「さらし加工にすれば安全」とのこと・・。ちなみに5頭の抜き取り検査のうちの4頭が基準値を上回っていたとのことですから、メチャメチャ高い確率です。鯨類が有機塩素を蓄積しやすいことは前々から知られていたことで、今さら驚くには値しませんが、汚染が広く行き渡っていることが図らずも明らかになったわけです。となれば、市場からさらし鯨以外の鯨肉が一掃されることになるのかもしれませんが、ブンカだゲージツだと吠えてる人たちにはアブナイと言われよーがレパートリーが減ること自体きっと我慢ならんのでしょうね。。加工業者とは"信頼関係"で成り立っており、"誓約書"も交わしているそうですが……一連の狂牛病騒動を目にしていると何とも白々しく聞こえます。(信頼と口にしつつ)市場での抜き打ち調査も"検討"しているといいますが、ネット販売まで行われているご時世に、市場に出回っている全ての鯨肉が《安全》だという保証がどこまで得られるものでしょう? 農水省と畜産・食品メーカーとの間に"信頼関係"がまるでなかったわけではありますまい。むしろツーカーの間柄だったからこそ見えないところで補填金流用のような不正が行われたわけですし。
もうゴールデンイーグルスになっちゃったね。。
 今回、内部文書がマスコミにスッパ抜かれるまで汚染の実態を一切公表しなかったことについては、「厚労省の研究途上だから」と理事の弁。研究班の調査結果が出るまで(クジラをネズミに食わせて繁殖でもさせるつもりなんでしょうか・・)、高濃度の汚染物質を含む食品が、学校給食を含む食卓に上っていた可能性が高いことを、ずっと伏せておくつもりだったわけです。「後で公表するつもりだった」というのはお決まりの弁解文句ですね。その間ずっと国民をリスクに晒し続けてきたことを、"後で"どうやって説明するつもりだったのやら。。クジラと日本人とは特別な歴史的関係にあるのだから、たとえ汚染されていようが健康被害は起こらないという結果が出ることでも期待してたんでしょうか? 要するに公表する気なんてなかったんでしょ? 隠してたんだよね。端的に言うと「毒入りだけど薄めれば大丈夫。薄めるぐらいで平気なら、わざわざそれを言う必要もない」ってことですね。これまで後手後手で健康被害の"実績"をいくつも作り上げてきた医薬品・食品行政の"体質"をズバリ体現してますね。。情報公開の流れへの逆行、業者とのツーカーの"信頼関係"、国の税金も投入する"調査"事業といっても委託先はいわゆる役人の天下り先となる公益法人──税金はいわば不採算の"調査"捕獲を補填する形で投じられ、市場での「販売実績」を持つ特定の業者の懐に。国・マスコミ・著名人の応援団が広告費を肩代わりして付加価値までつけてくれるオマケつき。信用の地に堕ちた日ハム・食肉業界を果たして対岸の火事と眺めていられる立場なのでしょうか?
 彼らの場合、「捕鯨が世論に支持されているのだから」と高を括ってたのでしょうが・・。確かに鯨肉の消費者=捕鯨支持者なわけですが、それはとりもなおさず支持者に対する裏切りを意味します。悲しいかな、今や行政やメーカーの言うことを鵜呑みにしていては自分と家族の健康を守れない時代になってしまいました。たとえ自給自足が無理でも、自ら情報を集め、感覚を磨くことが要求されています。「頭が良くなる〜♪」とムードに流されることなく、リスクを減らすために頭を"使い"ましょうね。どうするのがイチバンいいかはあえて言いませんけど……。
 それとも、皆さんは日本のブンカのためなら喜んで身を投げ出しますか──?

補足1:
東電編も書く予定でしたが端折ります。要は、食品会社にしろ電力会社にしろ、企業がヒトの生命と健康に直結する事柄に関してすら背信行為を働けるのであれば、禁止前に各捕鯨会社の規制違反が常態化していたことはまったく頷ける話だということですね。

補足2:
クジラとPCBをはじめとする汚染物質の問題を取り上げる予定でしたが、余裕がなくて掲載できずゴメンナサイm(_ _)m 野生動物の中でもクジラが特にアブナイということを、その深刻さの度合いに釣り合う形で幅広く一般市民に伝えられる資料を作ることが望ましいんですが……。