84.L6 226470 特許広報
特評出願公告
昭31-3973
公告 昭 32.5.29 出願 昭 29.2.2 特願? 昭 29-1848
出願人 発明者 西村一松 東京都世田谷区(※以下省略)
代理人 弁理士 市川一男 外3名

深海作業用潜水艇

図面の略解
 第1図は本発明潜水艇の概示側面図、第2図水流ジェット機装置部の切断側面図、第3図は吸盤固着機装置部の同側面図、第4図は作業腕装置部の同平面図である。


発明の詳細なる説明
 本発明は深海に於て海洋の調査研究、或は沈船引揚等の作業に従事して迅速容易にその目的を達せんとする新潜水艇を提供せんとするものである。
 従来海中作業は概ね潜水夫個々の行動によってなされたもので長時聞の作業には耐えることが出来なかった。
 本発明は艇内より必要な作業をなし得るようにしたもので、そのため船首及び操舵筒に強力な硝子窓を備えて海中の視界を完からしめ、
(a)船首及船尾の適当の位置に水流ジェット機を備えて進航停止の各状態の下に船首或は船尾を上下、左右自在に動かし得られるようにし、
(b)船首防舷材端に吸盤固着機を設けてこれを対象物に強力に吸着せしめその間艇体の移動を防止し、また
(c)艇側に入手と同様のはたらきをなす作業腕を備えて艇内よりの作業を容易ならしめんとしたものである。

 いまこれを図面によって説明する。即ち図面に於てSは潜水艇、E操舵筒、Gは強力な硝子窓、Jは水流ジェット機、Qは吸盤固着機、Aは作業腕、Bは防舷材、Pはプロペラー、Hは水平舵、Vに縦舵を表わす。

 水流ジェット機は次ぎのように構成される。 1は潜水艇の外側板、2は外側板を貫通して外水を導入するパイプ、3は該パイプの中間に装備したタービンポンプ、4及5はタービンポンプと適宜の距離を置いてその前後に設けたキングストンバルブ、6はパイプの先端に取付け外水に開ロした噴射孔、7は噴射孔の方向を変換せしめる回転ハンドルである。  これを使用する際は先づキングストンバルブを開き、次いで噴射孔を所要の方向に廼しタービンポンプを回転して水流を噴射せしめるとその圧力によって艇首はこれと反対方同に動く。艇尾の場合についても同様である。これがないと対象物の適所に迅速正確に到達することが困難である。

 次ぎに吸盤固着機Qについて見れば、8はゴム質吸盤で対象物の表面に吸着せしめるも、9は吸盤を押圧する発条、10は排水管11を中央に設けた吸盤支持脚、12は支持脚取付部に設けたスプリング、13は排水管11に連通する排水銅管で艇内適所の排水槽に導く。14は排水銅管の他側に設けたスプリングバルブ、15は排水槽に通ずるバルブである。この吸盤固着機の吸盤を対象物に向けて押付けると、吸盤内の水は先づ艇外のスブリングバルブを押上げ排出され、次いで艇内に導いたパイプを開くときは艇外のバルブは閉じ残水は艇内に排出され吸盤ぼ強力に対象物に密着する。  仮に100rnの海深に於て吸盤直径6in?のものを使用すると、吸盤を押す水圧は約3780封度?となり艇体は重力と浮力とが均衡しているか艇は対象物に強力に接着安定し、如何なる作業もこれを容易になし得られる。水流による船尾の振れはプロペラーの回転によって縦舵、水平舵を以て調整する。尚吸盤及脚内からの排水を艇内に導かぬとその都度浮上してこれを出さねばならぬ。

 また作業腕Aに関しては、16は艇側壁に保持体17によって転動自在に保持された球体、18は球体の中央部を貫いたシリンダー、19は該シリングー内に嵌合されたピストン、20はピストンに固定し先端を艇外に突出させた中空の作業腕で、その中空部に貫挿する鉗子作動杆(てこ)21を軸方向に動かすことによって鉗子22を開閉して所要の仕事をする。なほ鉗子作動杆の進退はその一端に設けた螺?環24の回動によって行う。尚シリンダーの内側板に艇外水導入管を設け、三叉コック(図示せず)を介して外水をシリンダー内に、又はシリンダー内の水を艇内に導くことにより、ピストンと作業腕に及ぼす圧力差を以てピストンを出入せしめ、更に大小2段の径を有するピストン(図示せず)を持つシリンダーの大径部は外水と、また小径部はグリスを充填し球体とその保持部間に開口する様夫々導管を以て連通し、外水を以てビストンを介しグリスを押すことにより、球体の受ける外圧と内圧とを釣合はしめ常に球体を自由に転動し得るようにしてある。

 発明は前記のように、船首及び操舵筒に強力な硝子窓を備えた潜水艇に水流ジェット機と吸盤固着機と更らに作業腕とを装置したことにより、これら各装置が相寄り相助けてよく潜水艇としての深海作業機能を極度に発揮することが出来るので実に偉大な効果をもたらすものである。

特許請求の範囲
 本文に詳記したように、艇首或は艇尾を上下左右に動かす水流ジェット機と、水中の対象物に定着せしめる吸盤固着機と、人手代行の作業碗とを夫々艇外に突出せしめて艇側に装着し、これらを艇内より操作し得るようにしたことを特微とする深海作業用潜水艇。