第1部:U結社編
・怪潜あらわる
ブラジル航路不定期船「さんとす丸」のデッキで海を眺める水早賢次、日下五郎、海野千太の3人。潜望鏡の接近に気付いた途端、さんとす丸は爆沈。
翌朝、海上自衛隊の潜水艦「うずしお」(SS-707、速水洋平艦長(一佐)、南郷副長(三佐)*1)が3人を救助する。賢次の父(水早耕造)と千太の父(海野千吉)は、速水艦長が戦時中に乗り組んでいた潜水艦イ-51の水雷長と炊事係、五郎の父は太平洋に墜落した自衛隊パイロットだった。
そこに正体不明の潜望鏡が接近。識別信号にも応答しない。707は急速潜航し、相手のスクリュー音を捉える。速水艦長は、数隻もの商船が破片になっているのは怪潜のせいと雷撃準備を命じるが、実戦経験のない南郷副長は証拠不足と反対する。
一方、怪潜の艦長は、後方に迫り来る707に対し、なぜか戦闘を避け、モーターを止めて安全深度を越える海底120mに着底する。怪潜を見失った707は浮上して怪潜が動くのを待つが、怪潜は約4ノットの潮流に乗って離脱し、大島の南方20海里に浮上。そこで三崎漁港所属の漁船「第三加来丸」に目撃される。怪潜を写真に収めた加来丸は、怪潜から機銃掃射を受け、SOSの発信後、出火する。
その頃、707では、健次がトイレ掃除、五郎が洗濯、千太が皿洗いをやり終えてデッキで一息付いていた。漁船からのSOSを受信し、現場に駆けつけた707は、漁船の爆沈を目撃、3名の生存者と2名の犠牲者を収容する。健次らは浮輪が707の船尾に流れ着いているのを発見。それにはカメラが雨ガッパに包まれてくくりつけられていた。
その時、707のソナーに潜水艦の反応が現れ、急速潜航する。魚雷発射する直前、相手からの信号で「おやしお」(SS-511、美奈月艦長、実在の自衛隊初の新造艦)であることが判明。「おやしお」が追っていた怪潜がいつのまにか707に入れ替わっていたのだった。
707は「おやしお」に加来丸の死傷者5人を移し、給油艦「ぶんご」(4001)から給油を受けるため、硫黄島の北方30海里の地点に向かう。健次らが拾ったカメラのフィルムが現像され、怪潜が大戦末期にドーバー海峡で消息を絶ったはずの独ナチ海軍のUC140であることが判明。
・シュミット・ウルフ
会合まで40分となった時、「ぶんご」は怪潜から雷撃され、からくも回避する。付近にいたカナダ海軍フリゲート(F04)がリンボーと爆雷を投下するが、怪潜のマウス・キッドを浴びて戦闘不能となる。怪潜も爆雷で船尾の潜航舵を損傷し、魚雷でフリゲートにとどめを刺したうえで修理のため浮上する。「ぶんご」は沈没するフリゲートの乗員を救出するため、現場(硫黄島の北北東40海里)に引き返す。
その頃、現場の煙が見える距離まで近付いた707は燃料が尽き、電池航行に切り替えて潜航する。潜望鏡でUC140を確認、魚雷発射を準備するが、電池も切れてしまって浮上、砲撃を開始する。UC140のシュミット・ウルフ艦長は応戦せず、707の射程外に逃れるように命令。戦時中、親友だった速水艦長(当時中尉)のイ-51と大西洋でコンビを組み、窮地を救われたことがあるからだ。
しかし、707からの激しい砲撃に、ウルフ艦長は誘導ロケットV・8の発射を命ずる。707がまったく動けないことに気付いたウルフ艦長はV・8の誘導をやめさせ、707の砲の死角となる艦首真正面に移動する。そして707に5分後に雷撃するので乗員を退艦させるよう発光信号を送る。
予告時間が迫ったが、707の乗員は誰も無傷の艦を捨てて退艦しようとしない。3000mに接近した両艦は互いに魚雷を発射。UC140の魚雷は707の艦首でスリップして横にそれて爆発。一方、UC140も707の2度にわたる魚雷を紙一重で避ける。そこに「ぶんご」と救援に駆けつけてきた護衛艦「うらなみ」(105)から激しい砲撃が襲い、UC104の司令塔が被弾。UC140の副長は意識を取り戻さないウルフ艦長を司令塔に残したまま潜航を命じる。そのUC140に「うらなみ」ヘッジ・ホッグと爆雷を投射するが、相手を見失う。
707は「ぶんご」から給油を受けた後、現場海域でUC140のものと思われる油と救命胴衣の浮上を確認。さらに気を失ったまま漂流するウルフを発見して収容し、背中に刺さった破片を抜く手術を海中で行う。
麻酔がまだ醒めないはずだったウルフ艦長は、隠し持ったメスで南郷副長を脅すが、怯まない南郷と格闘となって刺す。そして通りすがりの健次を人質にして、ゴムボートや無電機を要求する。4時間後には無電機の電波を頼りに健次を探せばよいと言う。速水から目的を問われたウルフは「世界を一つにまとめたい・・・。今の地球にはそれが一番必要なことだと思わんかね」と言い残して707を離れる。
・海底基地
ウルフは謎の岩礁に近付いたところで健次を殴って気を失わせ、岩礁に到着後、健次を乗せたゴムボートを出発させてから自分はハッチから海底基地内に入る。
一方、沈没を装ったUC140は、潜航したまま70海里離れた海底基地に向かう。アンテナを左右に広げて海底トンネルを抜けて基地内に入る。副長は修繕を急ぐよう命ずるが、すでに新造艦(*3)が7隻完成していた。そこにウルフ艦長が現れ、驚く副長。
ゴムボートで意識を取り戻した健次は、フカに襲われて海中に放り出される。4時間経って無電機の電波を追跡し始めた707は、健次の電波が途絶えた海域に急行する。それからさらに6時間後、霧の中、健次は謎の岩礁で意識を取り戻すが、その岩礁に707が座礁する(青島の東南130海里)。
その衝撃で浸水が生じた海底基地では、ウルフが自分を見捨てた副長を当然の措置と許したうえ、7号艦(U-7)の艦長を命じ、U-6を伴って出動させる。自らはU結社の総指揮官と称する。
・707沈没す
座礁した707は岩礁の爆破を試みるが離礁しない。そこにU-6のロケット弾が襲い、そのショックで707は離礁する。直ちに潜航する707の潜望鏡に健次はしがみつく。何も見えない潜望鏡に707は再浮上すると、そこに健次を発見し収容する。
なおも襲ってくるロケット弾に対し、707は潜航を諦めて砲撃で応戦するが、U-6はさらに連射ロケットを発射。山田野一水の撃った砲弾が相手に命中するも山田野は戦死する。
そこにU-7の魚雷が707の船首に命中。707はSOSを発信し、さらに迫り来る4本の魚雷を避けるため、707は浸水にもかかわらずあえて潜航する。707は船尾から7本の魚雷を2射に分けて発射し、U-7を撃沈する。直ちに水深30mでハッチから個人脱出するため船内に注水しようとするが、急に沈降して脱出不可能となる。
乗員らは書いた遺書を空きビンに詰めて船尾発射管から射出。健次らは「海の底からうまそうな臭いがするわい・・・」と歌ってみんなを勇気付ける。
SOSを受信した自衛隊は哨戒攻撃機や護衛艦「あやなみ」(103)が現場に急行。一方、U結社も2隻を失い、ウルフの乗るU-1がU-2とU-3を率いて出動する。浮上したU-3を哨戒機が発見して撃沈。「あやなみ」が多数の空きビンが浮いているのを発見。そこにU-2がソナー・ブラインドでソナーを撹乱しつつ接近し、マウス・キッドと機雷の応酬でU-2は撃沈、「あやなみ」も戦闘不能となる。
・707の捜索
自衛隊は沈没した707の捜索のため、主力万能哨戒機P2V-7「ネプチューン」、S2F-1「トラッカー」、自衛艦、さらに航空自衛隊、米海軍も動員して大掛かりな捜索を開始。遺書の発見海域からなんと北西30海里で、哨戒機が707の標識液を発見。現場に到着した自衛艦が707の発信音波をキャッチ。
まもなく到着した潜水艦救難艦「ちはや」(ASR-401)が水中カメラで707の位置を確認し、レスキュー・チェンバーで乗員を次々と救出した。水深3000mの海底に沈む運命だった707は、水深50mあたりで6〜7ノットの潮流に運ばれ、水深70mの海底に運良く運ばれたのだった。
その10日後、第5護衛艦隊群基地艦隊司令部の船田司令から新造艦は1年後と言われてがっかりする速水だが、引き揚げ不可能と思われていた707が基地に曳航され、信じられない光景に健次らとともに驚く。
・海底基地の攻防
一方、707が乗り揚げた岩礁で調査中の「ちはや」から吊り下げた潜水器が巨大な海底洞窟から怪潜(U-5)が出てくるのを発見したが、マウス・キッドで撃沈される。護衛艦「てるづき」(162)が対潜ロケットMk108で応戦し、U-5を撃沈。
U結社では、新造艦が次々と撃沈され(U-3,5,6,7)、海底基地も発見されたことから、ウルフはシュナイダー博士を呼び、UX号を10日で完成させるよう迫る。一方、三浦半島の浦賀ドックでも707の修理・改造が急ピッチで進む。
「ちはや」沈没から10日後、「はやしお」(SS-521)、「わかしお」(SS-522)、「おやしお」(SS-511)と3隻の護衛艦が海底基地に向かう。U結社からは全艦(U-1〜19)が出動。
「はやしお」らは海底に潜んで敵潜隊をやり過ごし、前進を始めたところ、遅れてきたU-17に発見され、これを撃沈するものの、敵潜隊に気付かれる。護衛艦と潜隊の戦いが始まり、3隻の怪潜を撃沈するも、「おおなみ」ほか1隻がやられる。
岩礁の洞窟に迫った「はやしお」らだが、洞窟から放出されたソナー・ブラインドによる撹乱のため、攻撃は断念される。
・新707出動す
3日後、改装工事を終えた707(707一世改*2)が出港する。米海軍もスレッシャー号沈没と怪潜との関係に注目し、米空母プリンストンとスキップジャック級原潜(591、水中速力40ノット)を出動させる。
水中速力22ノットの高速で航行する707は、米哨戒機に怪潜と間違えられて誤爆され、緊急浮上し、ぎりぎりで爆弾を逃れる。空母と原潜は707をポンコツとバカにして追い越していく。
健次は艦内でプラモデルの潜水艦を完成。大きな騒音を出して叱られる。
米哨戒機は怪潜U-20を発見し撃沈するが、U-32のマウス・キッドにやられる。そこにやってきた米原潜591はサブロックでU-32を撃沈するが、海底に潜むU-28のマウス・キッドにやられ、緊急浮上して乗員が退艦する。プリンストンも魚雷を受けて大破する。
駆けつけた707は、6隻の怪潜(U-17、28、29、32、34、36)に取り囲まれる。健次はプラモ潜水艦を艦長に見せるが相手にされない。707は敵を振り切るために降下を続けて水深130mを越える。健次は無断でプラモ潜水艦を信号筒発射管から発射し、一方、蓄電池室に浸水して707のモーターが止まってしまう。
怪潜は上昇するプラモ潜水艦のスクリュー音を707と間違えて追いかけ、お陰で707は窮地を逃れ、バッテリー修理のために浮上する。
そこで沈没しつつある原潜591を発見。しかし、591からは放射能が漏出。原潜から脱出した船員のゴムボートを安全なところまで曳航するため、志願した南郷副長と轟一水だけが艦外に出て救出作業に当たる。
・UX号との死闘
数時間後、救助した乗員と南郷らを幸運にも沈没を免れた空母プリンストンに引き渡した707は、全速で海底洞窟に向かう。ハンバーグの料理中、千太が塩つぼを落っことし、その塩辛さに乗員たちは怒り始めるが、コック長が夏負けしないための親心だと3人をかばう。
海底洞窟からは新しいUX号(ウォータージェット式、宙返り可能)が発進し、多数のソーノ・ブイを展開し、707を待ち受ける。
洞窟まで10海里の距離に近付いた707は何かが2分毎に船底に当たることに気付く。4つ目の接触のあと、速水艦長は上昇を命じ、UX号からの魚雷をかわす。
UX号は近付いた707にホーミング・ロックを発射。707はモーターを止め、ホーミング兵器を撹乱するメタリックを放出しながら下降。ホーミング・ロックをかわし、そのまま着底するが、その時、2つのソーノ・ブイを押しつぶしたことに気付かない。
UX号は信号の途絶えたソーノ・ブイに向けてロケット弾(ワン・ハンド・ロックらしい)を一斉発射。707は発射音を聴いて直ちに離底し前進。その跡にロケット弾が炸裂。前進する707の真正面にUX号が横たわる。707は後進しつつ上昇。接触するもUX号を乗り越え、再び海底近くを前進全速。
707は距離をとったところで船尾魚雷を発射後、モーターを止めて方向転換。UX号はロケット弾を発射後、離底・移動して魚雷をかわす。707にロケット弾が襲い、その爆圧で海底の泥にめり込んでしまう。
その頭上にUX号が接近。千太が皿をひっくり返した音をキャッチし、爆雷深度を海底深度に合わせて次々と投下。707は最後の切り札のスキップ・ジャックをオート・シュートでUX号に命中させる。
洋上では「まきなみ」(112、久松艦長)、「たかなみ」、「うらなみ」の3護衛艦が海底基地に接近。6隻の怪潜との戦闘が始まる。放射能症が軽くて済んだ南郷三佐の乗る飛行艇がU-36を爆雷で撃沈するが、マウス・キッドに被弾して着水。「まきなみ」は爆雷でU-28を撃沈。南郷三佐らを容収する。
707は爆雷攻撃で緩んだ泥から離底しようとする時、潜望鏡に爆雷が引っかかっていることに気付く。その707にUX号が最後のロケット弾を一斉発射し、海底洞窟に逃げ込む。
707を襲うロケット弾の爆発によって潜望鏡の爆雷が落ちてデッキに乗る。そのまま離底し、前方3,000mに海底基地を発見した707は、魚雷を全弾発射して上昇。そこで爆雷がデッキから落下して海底で爆発し、大きな衝撃を受けるが無事浮上する。
707の魚雷は海底洞窟の奥の海底基地を襲い、弾薬庫や燃料タンクが誘爆。そこから巨大なUキャリアーが姿を現し、艦内でUX号を修理しつつ、北極点に向かう。
・速水艦長の危機
浮上した707は、大規模な破壊にもかかわらず死体のないことに気付く。爆雷のショックで意識不明となった速水艦長に代わって、三船二尉の指揮下でソナーと聴音機の修理を余儀なくされる。
その時、U-40の魚雷が襲う。意識不明だった速水艦長が回避と反撃を命じて再び意識を失う。怪潜は小さい707の目測を誤り、魚雷は艦底をすり抜ける。そこに707の砲弾が海面下の怪潜に命中して浮上。怪潜のロケット砲に対し、707の5インチ砲と機銃が応酬し、ついに砲弾が命中して怪潜を撃沈。水田一曹が死亡。
怪潜との戦いで「たかなみ」が中破したが「まきなみ」、「うらなみ」とも無傷。「まきなみ」から南郷三佐が707に移乗して副長に復帰。意識不明の速水艦長の治療のため、帰路に就く。
7隻の怪潜(U-77、79ほか)を引き連れて北極点に向かうUキャリアー。それとはぐれた6隻の怪潜(U-52、54、56、57、58、62)の艦長たちは、帰る巣をなくし、やけくそ艦隊となって各艦毎に一隻でも多く道連れを作り、最後を飾ることを誓い合う。
魚雷を撃ち尽くし、20時間以内に艦長を入院させなければならない707だが、はぐれ潜隊に遭遇。深度120mに潜んでやり過ごすが、U-52が引き返し、707の真下からマウス・キッドで狙う。怪潜を振り切ることができない南郷副長は降下して怪潜にぶつける。怪潜は海底にぶつかり、舵と推進器をやられて浮上不能となる。
やっと日本にたどりついた707は、艦長を入院させる。そこで見慣れぬ潜水艦708と709(*4)を見掛ける。
・コクテイル号
東京を目指すリベリア船籍のマンモス・タンカー「コクテイル号」は、燃料が切れて浮上中のU-54に停船を命ぜられ、砲撃を受ける。しかし、元海軍の駆逐艦の名艦長だった船長は、相手の燃料切れを見抜き、船員を船尾に避難させ、体当たりを命ずる。怪潜はやむなくロケット弾を命中させる。船長は船員を海に飛び込ませ、自分一人がタンカーに残る。
オーストラリアのフリゲート「バンデッタ号」(D04)が急行し、怪潜に向けて砲撃を開始し、船尾に命中させるが、U-54からの反撃によって一番砲塔と舵をやられる。火に包まれたコクテイル号は衝突の直前に爆発。周り一面火の海となって退路を断たれたU-54はコクテイル号とともに海の藻屑となって消える。
・怪潜の乗員補足作戦
707の南郷副長は、艦隊基地付属病院に大至急で出頭するよう呼び出される。そこで船田司令より708の艦長を命ぜられ、弟の南郷次郎一尉が艦長の709とともに、速水艦長の指揮下で、U結社の秘密を探るため怪潜を撃沈して乗員を捕らえる作戦に就くことととなった。708と709が出港した翌日には、速水艦長も三船新副長とともに707で出撃する。
次郎の709は、エトロフ島の東方40海里でソナー・ブラインドに取り囲まれ、浮上を強いられる。そこではU-77が待ち受け、ロケット弾が襲うが、浮上直前に敵の計略に気付いた次郎は急潜航を命じ、間一髪でロケット弾をかわす。
ソナー・ブラインドの漂う海中で、U-77は超伝導電磁石を使ったマグネット・リードを繰り出して709を捕捉し、ケーブルをたぐってマウス・キッドを発射。被弾した709が圧壊する直前、次郎艦長が兄宛の通信筒を射出する。
硫黄島西北15海里にいる708は、709からの定時無電が来るはずの時刻から3時間が経ち、709が消息を絶った海域に急行する。そこには709の救命胴衣など多数の浮遊物と次郎からの通信筒が発見される。そこには「音波障害を起こして敵の位置が分からないうち突然攻撃された」と書かれてあった。
その708もソナー・ブラインドに取り囲まれる。海上で銀紙のようなものを見付け音波障害の原因を知った南郷艦長は、潮流の上流に向けてスキップ・ジャックを連射。うちひとつがU-77に命中。
708は浮上したU-77に速射砲と機関銃を浴びせ、そのロケットランチャーを破壊。生き残り乗員を捕まえるために接近するが、U-77は爆沈し、一人生き残った敵乗員も拳銃を乱射するためやむなく射殺。捕虜にすることができない。
そこにU-79が接近して魚雷を発射。708は急速潜航でかわす。その時、707からの魚雷がU-79を撃沈する。
浮上した707と708は709の南郷次郎らの死を悼むが、その前にカナダ海軍の「ブルー・シャーク号」(245、ブラッド艦長(少佐))が浮上する。
・冷凍作戦
海底基地の破壊跡を調査した結果、死体一つ発見されず、潜水艦の残骸も極めて少なかった。すなわち、U結社は健在だということだ。
その後、ベーリング海峡を抜けたチュクチ海では、米海軍の砕氷船「グレイシー号」(W292)のヘリが氷海で謎の水蒸気を発見。その中に巨大ななにものかを見付けるが撃墜され、グレイシー号も多数のロケット弾を浴びる。この事件を契機として、日・米・カナダがアラスカの合同基地を本拠地として北極を調査することとなったのだった。
707と708はブルー・シャーク号とともにアラスカに到着。そこで健次らはブラッド艦長の自宅に招待される。その頃、米原潜トレッド号(917)がUX号のワン・ハンド・ロックの攻撃を受けて行方不明になり、707が緊急出港。健次らは港に急ぎ、残っていたブルー・シャーク号に乗せてもらって707を追う。
米哨戒機が開氷面に浮上中のUX号を発見し銃撃するが、ワン・ハンド・ロックに撃墜される。現場海域に浮上した707が哨戒機の遺体を収容。そこに再びワン・ハンド・ロックが襲う。急速潜航した707の前方にUX号が待ち受ける。
UX号のワン・ハンド・ロックは、707の頭上の海氷に当たり、氷片が707に降り注ぐ。707が発射したホーミング魚雷をUX号は船体を氷山にこすりつけてかわす。さらに707の第2射がUX号の船尾に命中。損傷したまま逃走するUX号を707が追跡する。
追われるUX号は両舷の氷山に向けてワン・ハンド・ロックを発射。707に降り注いだ氷片が再び浮上し始め、707もスクリューなどが壊されないよう浮上を強いられる。速水はUX号の行動を読み、先回りする。そこで両者の魚雷とロケット弾が一斉発射され、707はセイルとスキップ・ジャックに被弾。UX号は船側に被弾する。
・最後の決戦
一方、ブルー・シャーク号の行く手の海底にはU-5がソーノ・シングルを設置し待ち受ける。U-5のホーミング魚雷が迫るが、ブルー・シャーク号はいちかばちか氷板を突き破って浮上し、魚雷をかわす。
ブルー・シャーク号が損傷したアンテナを修理中、U-5が浮上し、無断で艦を離れていた健次たちが人質となる。ブルー・シャーク号は船尾甲板を大きく開いて戦術ミサイルを準備するが人質のため攻撃できない。責任を感じた健次らは敵兵と格闘、機関銃を奪って反撃する。怪潜がブルー・シャーク号への砲撃を始めた時、708の魚雷が怪潜に命中し、怪潜は爆沈する。
708、ブルー・シャーク号ほか全潜水艦に、グレイシー号の攻撃された地点への集結命令が出る。
艦隊集結点では、0時ジャストに氷山に向けて魚雷、ミサイル、砲による一斉攻撃が行われ、普通の潜水艦の20倍以上はあるUキャリアーが巨体を現し、炎に包まれて北極海の底に消える。
一方、被弾した707は氷海に浮上し、同じく浮上してきたUX号に砲撃を開始するが、UX号は自分たちの基地がたたかれたことを知って観念し、降伏の発光信号を送る。
氷上に降り立ったウルフは、速水に自分の乗員の助命を頼み、この小さな地球の中で二つにも三つにも対立する勢力が分かれているこの世界を統一しようと思ったと言い残して、息絶える。
UX号も沈没し、U結社の遺産は何一つ残されることはなかった。
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*1:うずしお、SS-707(707一世)、速水艦長、南郷副長、建造後20年以上、あだ名はドンガメ、水上速力21ノット、水中速力10ノット。安全深度120m、5インチ砲を搭載。三船二尉(のちに副長)、山川三曹(備品調達係)、山田野一水(炊事係、砲手、死亡)、轟一水、水田一曹(死亡)
*2:707一世改。水中速力27ノット、安全深度120m、5インチ砲とスキップ・ジャックを搭載。船首にタツノオトシゴのマーク。
*3:怪潜(旧UC140):安全深度270m、水中速力30ノット、マウス・キッド、ランチャー(誘導弾V・8)搭載。
*4:708(船首にトビウオのマーク)、709(船首にサメのマーク)。ともに速射砲とスキップ・ジャックを搭載。
707二世(PSGに派遣、ライナー、サンダーロック、対空ロック、ホーク、SM、サウンド・ピック、ジュニア搭載)
・日本
717(南郷艦長、サンダー・ロック搭載)
727(怪物顔の船首、坊主頭の大岩艦長、ジュニア一世搭載)
737(黒潮艦長、コッド・フィッシュにやられる)
747(磯崎艦長、ジュニア、テア・ロック搭載、ブラック・ジャックにやられる)
実験艦<うしお>