「宇宙人ロック」
 望遠鏡で星を見るのが好きなケン太郎。ある夜、町外れの海岸に隕石が落下し、大きな穴があく。温度が下がった一ヶ月後、穴の中の調査が開始される。それを眺めるケン太郎に石ころが話しかける。それは火星の衛星フォボスからきた宇宙人ロックだった。ロックはケン太郎と友達になりたいという。

 その日の深夜、ケン太郎の部屋で石ころが膨らんで巨人ロボットの姿になる。本当のロックの姿は人間の目には見えないため、チョコレート会社の広告ロボットの身体を借りる必要があったのだった。ロックはケン太郎を背中に乗せて夜空を飛び、ロボットの身体を元の場所に返して、代わりにケン太郎の体の中に入る。

 そのおかげでケン太郎は空が飛んだり考えたことが何でもできるようになる。最初は怖がっていたケン太郎はだんだんと空を飛ぶコツを覚え、怪しんで追いかけてきたパトカーを持ち上げて煙突の上に載せる。悪ふざけするケン太郎にロックが怒って身体から抜け出すと、ケン太郎は空から落っこちる。地面にぶつかる直前にロックが戻り、ケン太郎は力をいつでも正しいことに使うことを誓う。ケン太郎は隕石孔に飛んでいって、そこでマジック・スキンをもらう。

 空飛ぶケン太郎を赤外線カメラに収めたサングラスの男(イワノフ)は、ポムポム島のライム博士と会いに行く。そこでロボット(ワン・ハンド)につかまえられ、銃の通じないライム博士に降参する。空飛ぶケン太郎のフィルムを見た博士はイワノフに百万円を支払って居場所を探すよう命じる。

 学校に急ぐケン太郎は、イワノフらに取り囲まれて逃げるが、博士のロボット「シャドー」に捕らえられて、ポムポム島に連れてこられる。そこでむりやり「ジャック」ほか様々なロボットと対決させられ、次々とやっつけるが、巨大な「クラブ・マン」と「ワン・ハンド」には翻弄されてしまう。巨大化することによって両ロボットをやっつけたケン太郎に「お前のようなロボットを作った人間に会わせてくれ」とライム博士は頼むが、ケン太郎は学校が終わってしまうと空を飛んで帰っていく。

 ケン太郎は、学校の友達に幅5mもある川を飛び越したら宿題をやってくれるかと持ちかけるが、川に落ちてしまう。いつのまにかロックがフォボス星に帰ってしまったのだ。そこに巨大ロボット「サンダー」とイワノフが現れ、からくも逃げる。夜の緑町と北町を荒らすサンダー。住民たちは避難し、警察隊が取り囲むが歯が立たない。ケン太郎はサンダーに日本アルプスで対決しようと呼びかける。

 一足先に飛び去ったサンダー。マジック・スキンを着たケン太郎は父に飛行機で日本アルプスに連れていってもらう。そこでサンダーと対決するが、ロックがいなくては歯が立たない。それを見た父は飛行機でサンダーに体当たりしようとするが、飛行機はバラバラにされてしまう。自衛隊のジェット機による攻撃も通じない。ケン太郎たちを追いつめるサンダー。そこに、ロック・チョコレートの広告ロボットが現れる。ロックが友達チコを連れてフォボス星から帰ってきたのだ。チコが操る広告ロボットと、ロックが戻ってきたケン太郎はサンダーをやっつける。

 ケン太郎たちは広告ロボットを会社に返し、代わりにチコの入る女性を探す。運動神経の鈍いお母さんはダメだったが、となりのミヨちゃんは見事に空を飛び回る。そこでケン太郎(ロック)とミヨちゃん(チコ)はポムポム島に向かう。

 ポムポム島では、イワノフが完成途中のロボット「スキップ」に命じて、自分に反対するライム博士を殺させてしまう。人間を殺すことが自分のやることだと思いこんでしまったスキップは、ミヨちゃん(チコ)を襲い、マジック・スキンを落としてしまったケン太郎(ロック)も苦戦する。地中に隠れたケン太郎を残して、ロックは別の巨大ロボットに乗り移り、スキップと対決するがバラバラにされてしまう。その瞬間、ロックはスキップに乗り移り、火に取り囲まれたケン太郎を救う。空に逃れていたミヨちゃん(チコ)とスキップ(ロック)とケン太郎は、朝日の昇る中、ポムポム島をあとにする。

「ばらの合唱(コーラス)」
 風間大助がサヨナラ・ホームラン。今シーズン29本目のホームランとなり、5対4で東京セントラルズが勝った。それをテレビで観戦し歓声を上げるナミ子。姉のエリ子に婚約者の大助からの電話が。大助は第2試合のナイターで約束の30本を達成するからと、姉妹を球場に招待する。9回裏、セントラルズが3対1と2点リードされた最後の攻撃。ツーアウトでランナーが1塁2塁で4番の風間が登場。「ここで打たないとお姉ちゃんと結婚させないわよ」というナミ子の声援に応えるように、大助はサヨナラ・ホームランを打つ。

 車での帰り道、大助は約束の30本を達成したことからエリ子に隠していた新居を見せる。2人は雨の日、大助が車でエリ子に泥をはねたことから知り合ったのだった。同じように雨が降り出す中、赤坂に食事に向かう3人の車に酔っぱらい運転の車が衝突。相手の運転手は死亡。軽い怪我ですんだナミ子と大助。しかしエリ子は失明してしまう。それを知らないエリ子。悩む風間はケガが回復してからも4試合ノーヒット、16三振と絶不調。

 ついに眼帯を取る日が来て、エリ子は視力が戻らないことを知る。絶望するエリ子。退院したエリ子は大助に会うのを拒む。球団社長から結婚を諦めろと言われた大助に、監督は「今エリちゃんと君に一番必要なことはまず自分を取り戻すことだ」、「お互いに努力しあってみて、それからだ」と話し、大助に山にこもることを勧める。

 魂の抜けたような姉に見かねて、ナミ子は雨の中を大助に会いにいくが、大助はいない。出会い頭のトラックに傘をひかれ、ずぶぬれになってさまよい歩いたナミ子は肺炎になる。やってきた大助に、ナミ子は熱にうなされながら、自分の目を姉にあげるから姉と結婚して欲しいと言う。
 大助はその言葉に促され、エリ子に「このことは初めから自分で決めることだったんだ」、「お互いに愛し合っていることが確かなんだから、迷うことなんかない」と決心を伝える。ナミ子は回復し、エリ子と大助にも幸せな日々が訪れる。

「死の町」
 ある雷雨の夜、勉強していた正木ミチ子の部屋に、母が「たすけて」と倒れ込む。死んでいる母に驚き、ミチ子は土砂降りの中に飛び出し、タクシーに危うくひかれそうになる。タクシーに乗っていた兄の鉄太郎に、ミチ子は泣きじゃくりながら母の死を伝える。急いで帰宅する2人。ところが、母は何気ない様子で2人を迎える。

 翌朝、ミチ子は髪のピンを母に留めてもらうが、いつもと違うことに気付く。その時、鏡に恐ろしい顔をした母が映り、大声を出すが、振り返るといつもの母と変わらない。学校に向かうミチ子は、目がどうかしたのかしらと思う。そこに署長の息子のトミオと出会い、不思議な体験を話すと、トミオの父とまるっきり同じだという。それに、トミオの父の手に変な星型のあざができたという。

 ミチ子とトミオが下校中、帰宅する鉄太郎と出会い、2人の話をするが本気にしてくれない。帰宅して夕食の時、ミチ子は母の手にも星型のあざを見付け、その夜、寝ている兄にその話をする。さすがに気になった兄は起きだし、居間に向かう。まだ起きていた母の手に星型のあざを見付け、尋ねるが、生まれたときから付いていたという。なぜ今まで気付かなかったのだろうといぶかる鉄太郎。

 翌日、鉄太郎が帰宅すると、我が家からなぜか市長が出てくるところを見る。市長は、南方で採れる命の実という珍しい植物をおみやげに持ってきたのだという。もらった鉄太郎は、一瞬、母の顔が歪むのを見て驚くが、母は二人ともどうかしているんじゃないと、とりあわない。

 鉄太郎は命の実を熱帯植物図鑑で調べるが載っていない。そこに帰ってきたミチ子。鉄太郎は命の実がかすかに呼吸していることに気付き、あとで調べようと紅茶の缶にしまう。

 その頃、トミオの家では、寝ていたトミオの部屋に父(署長)が入ってくる。歪んだ父の顔に驚くが、再び見るといつもの父と変わらない。父はトミオに命の実を渡す。本棚の上に置いたはずの命の実が、深夜、目覚めると、トミオの枕元にあるのに気付く。不思議に思って再び本棚の上に置くが、朝、目覚めると、また、枕元に。気味が悪くなったトミオは命の実を窓の外に投げ捨てる。それを拾った見知らぬ男が大きく膨らむ命の実に呑み込まれる。驚いて窓から飛び降りたトミオは倒れた男の手に星型のあざを見付ける。息を吹き返した男は何事もなかったように立ち去っていく。驚くべき事実を知って鉄太郎の元に向かうトミオ。それを窓から見下ろす父。

 トミオの話を聞いた鉄太郎は、しまっていた命の実を取り出す。それはすでに死んでいるようだった。それを三田植物研究所に持っていくが、研究所の植物園で倒れている先生(三田医師)を発見。鉄太郎は助けを呼ぶが、その時、目覚めた先生の手にも星型のあざが。命の実を見せ、人を呑み込んだことを話すが、先生は誰が見たってただの木に実だと笑い飛ばす。

 富士見新聞に飛び込んだ鉄太郎はそこでも同僚の手に星型のあざがあるのを見付け、友人である警視庁の鳳刑事に電話する。夜、富士見駅で鳳刑事を迎える鉄太郎。それを知った母は、ミチオの父の家に来て伝える。相談する2人を目撃するミチオ。

 翌朝、鉄太郎と鳳刑事に命の実から手を引くよう警告状が届く。2人は警察署に向かい署長(ミキオの父)に命の実の秘密を話し、否定する署長の手の星型のあざを確認した2人は署長を殴って脱出。

 鉄太郎は新聞社に、鳳刑事は東京の警視庁に向かうが信じてもらえない。諦めた2人は手に星型のあざを描いて町に戻り、仲間になったフリをする。しかし市長に気付かれ、逃走する2人は、沢山の命の実がある小屋から運び出されているのを発見する。周りの畑はすべて命の実が植えられ、本物の市長も捕らえられていた。ガソリンを畑にまいて命の実を焼き尽くすと、ニセの市長が遊星人となって空に昇ってゆき、ほかのみんなも星型が消えて元に戻ったのだった。

●「ルリ子」(1961、少女ブック)
 滝村は、夜遅く駅で誰かを待つ少女を見掛ける。少女、ルリ子は、夜遅く仕事から帰る母をいつも駅に迎えにきていたのだった。改札口を出てきた母は過労で倒れ、滝村は病院に入院させる。
 滝村は、ボロアパートに住むルリ子に、自分の家から学校や病院に通うよう勧める。滝村の家は豪邸で、グランドピアノや沢山の人形、そしてルリ子とそっくりの少女の写真があった。喜ぶルリ子は、滝村が拳銃を落としたのを見付けるが、おもちゃだとはぐらかされる。

 夢のような毎日が過ぎ、ルリ子の母が退院する日が来た。滝村は、母に自分の過去を打ち明ける。10年前、ルリ子とそっくりの娘と2人で貧しく暮らしていた。娘は小児マヒに倒れ、医者に見放されてしまった。病床の娘から人形やピアノをせがまれ、必死で働いたが、何一つ買ってやれずに娘は息を引き取った。娘が死んでからも娘の声が耳から離れなくて、がむしゃらに金を作って、屋敷やピアノや人形を揃えたという。
 その時、やってきたルリ子が、二人を「ママ、パパ」と呼ぶ。パパと呼ばれた滝村は感激し、自分が密輸に手を出してしまったことを母に打ち明け、屋敷の権利書を渡し、自首するために去っていく。母は、滝村が罪を償って出てくるまで待つと約束する。

 滝村が去ったことに気付いたルリ子に、母は、おじさんは仕事で遠くに行ったが、また帰ってくると話す。ルリ子は「ウソよ、もうかえってこないわ。きっとそうよ」と泣きながら「おじちゃーん」と呼び続ける。


●ハントムX(1966、少年画報)
 新幹線が脱線し、港のガスタンクが爆発した。ハントム一族の仕業だ。同じハントム族のカゲリ、ハヤト(ハリト)、怖いと思うと身体が十倍に巨大化するパブの3人は、この暴挙を阻止しようとするが、ハヤトの兄ヒルタと対決することとなり、窮地に追い込まれたカゲリは、自分も傷つけてしまうという秘技ミツマタでハヤトを殺してしまう。

 犬丸は、ハントム一族の首領オテナに呼び出され、20年ぶりにハントムの地底都市を訪れる。350年前、軌道嵐のため消滅したハントム星から1000人のハントム星人が脱出するが、宇宙を50年もさまよったのち、地球に降り立ち、生き残った27人のハントム星人は、地球人に捕らえられて火あぶりにされるところを、えらい坊さんに助けられて、山中に住むところを与えられた。その後、300年間の地底生活の間に1万人の文明世界を築いだのだった。

 カゲリの父で前の首領であるカザハリの死後を引き継いだオテナは、地中の生活を捨てて人間社会と対決する道を選び、新兵器ラドロの開発を進める。オテナは、犬丸に人間社会を内側から揺さぶり、裏切り者のカゲリを殺すよう命じる。しかし、犬丸は、カザハリに命ぜられて人間社会に溶け込み、人間の妻と娘エリカを得ていた。争いをやめるよう訴える犬丸に、オテナは命令に背けばエリカを殺すと脅す。

 自らのミツマタで瀕死の重傷を負ったカゲリは、パブの手で奇しくも犬丸病院に運び込まれ、エリカの応急措置を受ける。パブは、不審な追跡者と戦い、巨大化して危機を免れる。その間、帰ってきた犬丸は悩んだ末に、カゲリとエリカを車に乗せて逃走するが、ダンプと衝突しそうになって崖から転落する。

 カゲリは崖下で気付いてエリカと犬丸を洞窟に運び込むが、かすり傷一つない2人を見てハントム一族だろうと疑う。そこに、殺された兄の復讐を誓うハヤトが現れ、2人は戦いを始める。その時、ハントム人をサイボーグ化したハンボーグのハンターたちが現れて、ハヤトを殺してしまい、犬丸とエリカも襲う。巨大化する能力も持つハンターの攻撃にカゲリは、ミツマタで相打ちに倒れる。カゲリのテレパシーを感じたパブは、死ぬ間際の犬丸に出会う。

 オテナに捕らえられたカゲリとエリカは、怪獣に襲われる寸前に何者かに助けられる。オテナらは、ハンターたちをラドロに搭乗させ、地上への侵攻を開始する。自衛隊とパブが反撃する中、カゲリが現れ、オテナを倒すと、ラドロとハンターたちは宇宙に旅立つ。ハントム人の中の科学者が凄いエネルギーを発明し、カゲリの命を助けるとともに、ふるさとに帰りたがったハントム人たちを連れていったのだった。残されたカゲリとエリカとパブは、地球の人間としてやっていくことを決意する。


●「サイピート」(1964-66、ぼくら)

 半年も行方不明になっていたサイボーグ研究の第一人者の三角(みすみ)博士は、橋の上から身を投げたところを、F104のパイロット、早田一尉に助けられた。三角博士は、自分の顔に対する強い劣等感からサイボーグ研究を始め、これからの人類にとって大切な研究の糸口を付けたとして高く評価されたが、自分を救うためには役に立たなかったことを悲観したのだった。朴良(ぼくら)病院から抜け出し、高い塀を軽々と飛び越える博士。追いかけてきた早田を見て、博士は彼こそ自分の長年探し求めていたものと確信し、姿を消す。

 一ヶ月後、F104で飛び立つ早田を見送る三角博士は、頭のよく働く丸山(明智)ケン太郎(ケンぼう)、勇気のある竜、力持ちの五郎(魚八の息子)の三人が力を合わせ、ガキ大将ゴン太のグループ「アパッチ党」(ほかチーぼう、三吉ら)を撃退するところに出会う。三人は、「正義の使者サイピート」−狙ったら外さない百発百中−と名乗る。

 月日が経ち、哨戒飛行中の早田らは、ある空域で計器の異常に襲われ、危うく墜落を免れる。再調査に向かった早田は、ある島(三角島)が異常の原因であることを知り、パラシュートで降下する。そこに自分とそっくりの多数の人形があるのに驚く早田は、三角博士と出会い、五助という男に洞窟の奥の部屋まで無理矢理連れられる、そこで博士は、早田そっくりの男に、早田を殺すよう命じる。早田は、格闘技も銃も通用しない相手に苦戦するが、からくも感電させて倒す。
 早田一尉を探しに飛行艇でやってきた自衛隊の仲間の前に、倒したはずの男が早田になりすまして現れ、計器あらしの原因となるものはなにもなかったと告げた。その男は、三角博士が苦心して作り変えた人間で、親も兄弟もいない早田の身代わりになって飛行艇で帰ってしまった。
 博士は、自分がパイロットにあこがれて自分を作り替えようと研究を始めたが、自分の顔だけはどうにもできず、一度は死のうとまで考えたが、かわりに、誰かを思い通りに作り替えて、自分のやりたいことをやらせたいと早田に言う。  閉じこめられた早田は、スタンドの電気と金魚鉢の水で五助を感電させて逃げ出すが、博士のインパクト・ガンで気を失う。目が覚めた早田は、自分が拳銃の弾もよけられる反射神経を備えたことを知る。勝手に改造されて怒った早田に、博士は、知恵の三角、勇気とスマートさの早田、ばか力の五助の三人組、サイピートとなって世の中の役に立ちたいと語る。

 1ヶ月後、少年サイピートの3人は、会いたいというサイピートと名乗る者からの手紙を受け取り、そこに自分らとそっくりの3人のロボットの乗ったエア・カー「エア=スキップ」が現れる。乗り込んだ3人は空を飛び、海を越えて三角島に向かう。  島では早田が地雷や無人攻撃機やロボットを相手に訓練を積んでいた。三角、早田、五助の3人はスマートな服に身を固め、少年サイピートたちを迎える。博士は3人の少年に正義を愛する仲間として「サイピート」の名前を使わせてもらうよう頼む。6人は力を合わせることを約束し、竜たちは、困った時に連絡するテレ=ウォッチをもらう。

 アパッチ党の連中が、ケン、竜、五郎の人形を火あぶりにするところに、少年サイピートがエア=スキップで帰ってきて、追い払う。3人はエア=スキップを防空壕に隠すが、アパッチ党の三吉が見付け、ボスのゴン太、チーぼうの3人で運びだそうとする。そこに怪しい3人の銃を持つ男たち(あにき、辰、?)が現れ、ゴン太らを秘密の隠し部屋に閉じこめる。一方、エア=スキップに万年筆を忘れてきたケンぼうが防空壕に戻ってきて、誰かが来ていた形跡を見付け、隠し部屋を発見するが、男たちに捕まえられてしまう。

 竜と五郎は、ケンぼうが約束の集合時間から1時間経ってもやってこないだけでなく、ゴン太、三吉、チーぼうも帰宅していないことを知る。日が暮れて町の人々が探し回るのを見て、防空豪の男たちは引き揚げる準備を始めるが、そこに竜と五郎が現れる。辰は、逃げる竜たちを追いかけ、銃を発射するが、突然の懐中電灯に目をくらまされ、2人を逃がしてしまう。
 男たちは荷物とエア=スキップとケンぼうをトラックに積み、防空壕に爆弾を仕掛けて逃走する。竜はトラックに飛びつくが、男の一人に見付かり捕まってしまうが、スキを見てビール・ビンで男をぶん殴って気絶させる。竜は、ケンぼうから、防空壕に爆弾を仕掛けられていることを知り、エア=スキップでゴン太たちを救出しに向かう。ケンぼうは、テレ=ウォッチで早田たちを呼ぶ。

 竜は、エア=スキップで防空壕に飛び込み、びっくりして逃げようとするゴン太たちをエア=スキップに乗せて脱出しようとするところを、時限爆弾が爆発し、エア=スキップごと埋められてしまう。
 トラックのケンぼうを助けるため、早田はロケット機で現れ、麻酔銃で男たちを眠らせる。生き埋めになった竜たちを助けるため、早田は三角博士に連絡する。現れた巨大ロボット「エスマン」は、生き埋めになったエア=スキップを掘り出し、4人の少年を救出する。

 翌朝、朝のニュースはサイピートの活躍と密輸団の逮捕を報じる。サイピートを唯一呼び出せる少年サイピートの3人はいちやくスターに。3人は、学校の友達や新聞記者に追い回され、見知らぬ車に乗り込んで逃げるが、運転手(一尉)はいつの間にか死んでいた。暴走する車はトラックに衝突しそうになり、川に飛び込むが、浅い川のため3人は命拾いする。そこに知らない男2人が現れ、一尉が持っているはずのフィルムを探すが見付からないため、少年サイピートの3人を脅す。竜と五郎は男たちを投げるが、ケンぼうが捕まる。竜は、テレ=ウォッチで早田らを呼ぶが、男たちにテレ=ウォッチを取り上げられ、車で連れ去られる。
 円盤形ロケット機で現れたサイピートの3人は、超人的な跳躍力を見せ、五助のバカ力で車を止める。男たちの銃を軽々と避け、翻弄し、観念させてしまう。警察がやってきたところでサイピートは去っていく。


「死神海峡」(1968、少年キング)

 昭和18年、ある南方戦線。伊達勇は、現地の女カピアから、アメリカ軍に攻められる前に二人で逃げてと訴えられる。それを振り切り、艇長、操舵手の源さん、友人千野(ちの)と哨戒艇でパトロールに出る。
 そこで、三機の米軍機に襲われ、伊達は二機を打ち落とす。残るもう一機との銃撃戦で千野(ちの)、艇長、源さんが撃ち殺され、相手機もチャーリーが撃ち殺され、ビリーだけがパラシュートで脱出する。

 海上に投げ出された伊達を、パラシュートで降りる途中のチャーリーが銃撃するが、やられたのはサメだった。木箱に捕まった二人。無二の親友チャーリーや優しかった小隊長を殺されたチャーリーと、3人を殺された伊達は、相手を殺そうと争う。そのうち嵐に見舞われ、気を失って波にさらわれそうになったチャーリーを伊達は救う。

 サメを殺して相手を助けたチャーリーと、嵐の中で相手を助けた伊達。漂流しながら死んでいった仲間や自分を待つ恋人や母親を思い浮かべる。自分たちが始めた訳でもないのに、なぜ殺し合うのか疑問に感じ始める二人。しかし、仇を打ってくれという戦友の亡霊にさいなまれて伊達はチャーリーの首を絞めてしまい、チャーリーも伊達の首を絞めて、二人は絶命する。

「制空権」(1969、プレイコミック)

 昭和17年、ゼロ戦が南海の空を制圧していた。パイロットの菊池は、現地の女スーから四番機は不吉だから飛ばないでと頼まれるが、振り切って出撃する。スーの訴える目を見た隊長は死に神の付いている四番機を守れとみんなに命ずる。しかし、四番機だけが撃墜されてしまう。

 泣き叫ぶスーに、現地の男バンブが、次は七番機が落ちると伝える。母親と弟が捕らわれているスーは、バンブの言うことを聞くしかない。予言どおりに撃墜していくことによって、日本軍の志気をくじこうとする米英の計画だった。母親と弟がすでに死んでしまっていることを知らないスーは、日本のパイロットを救おうと心から訴えるから効果があるのだ。

 菊池の死をスーに知らせに来た隊長に、次は七番機が落ちると訴える。その次も、その次も、スーの予言は当たり、隊長は怪しみはじめる。隊長は、予言された六番機に乗って出撃することをスーに伝え、もし隊長が帰らなければ部下が、もし無事に帰れば自分でスーを殺すと言う。  予言通り六番機に攻撃が集中し、撃墜されるが、大けがをしつつも生還した隊長は、本当の敵ではないと知りつつもスーをスパイとして撃ち殺す。


「潜水艦伊号X」(1968、少年サンデー増刊)

 一等水兵の平田洋一通信兵は、小笠原諸島の南方で「月光」から洋上に落とされ、謎の潜水艦<伊号X>に収容される。<伊号X>は、姿を見せない艦長の指令のもと、各地で事故で部下を死なせた副長の樫村少佐、上官を死なせた倉橋弦一郎一等水兵、軍法会議に掛けられた機関長らを収容してきたという。

 <伊号X>は、最後の乗組員でドイツの民間人であるケーン・ハインツを収容するが、米軍機に発見され、雷撃をかわして潜航する。米駆逐艦117と米潜水艦007<シャーロック号>は、複雑に進路を変える<伊号X>を執拗に追跡する。

 艦長は、20ノット以上の海流が流れていて潜水艦の墓場と言われているガッソウ海峡への突入を命じ、操舵手をケーンに交代させる。急流の中でケーンは<伊号X>を巧妙に操船するが、追跡してきて潮流に巻き込まれてしまった<シャーロック号>と衝突してしまう。

 沈没する<伊号X>の中で、平田通信兵は艦長室の扉を開け、艦長の正体がケーンの姉メイル・ハインツ博士であることを知る。彼女は世界的な海洋調査の権威で、弟のケーンとともにガッソウ海峡の流れを熟知していた。<伊号X>は、ガッソウ海峡の向こうでUボートと落ち合い、新型爆弾(原子爆弾)の製造資料を受け取って日本に持ち帰ろうとしていたのだ。<伊号X>の沈没によって、秘密の資料は海中に投棄され、日本が原爆を製造する計画は幻となった。