■画面分割デュアルタスク環境 WISER

 
2000年8月12日更新


 WISER とは、DAIKIさんとその仲間たちが作成した、98DOS上で画面分割してデュアルタスクを実現するオペレーション・システムと呼んでも相応しいものです。
 通常のアプリケーションやDOSプロンプトの画面を「オモテ画面」と言うことにすると、WISER は画面分割によって「ウラ画面」を表示します。ウラ画面では、WISER 対応のファイラー、ページャー、ページエディタ、一括検索ソフト、カード型データベースなどがあります。

 WISER一覧リスト

 WISER はタスク・スワップではなく、オモテとウラとは、同時進行します。オモテ画面ではMIDIファイルを連続演奏させたり、パソ通でダウンロードしながら、ウラで、あちこちのファイルを読んでメモを取るという芸当をDOS上で行うことができるのです。

 シェアウェア登録料は \5,000 円でちょっと高いですが、それだけの値打ちはあります。まず、面白いソフトですね。DOSという制約の中で、かゆい所に、というより、かゆい所だけに手が届くように、必要最小限に割り切って作ってあるなあという印象です。

【マルチタスクは?】

 マルチタスク自体はどうしても必要ということではないと思います。確かに MIMPIV4 + MU でMIDIの連続演奏しながら WISER を使うことができると、おおっ、と感激しますが、やれることがファイラーとページャーぐらいに限られるので、ずっとそれだけというわけにもいきません。

 パソ通自動巡回中も使えますが、今時の高速モデムであっと言う間に巡回が終わってしまいますし。ただ感心したのは、あるアプリケーションが暴走しているのにWISER が立ち上がったのは面白かったです。だから何ができるかというと、結局リセットするしかなかったんですが、WISER の安定性を見せ付けられたような気がしました。

 DOSSHELL の場合、スワップして再び戻った時に完全に元の状態に戻っているかどうかの問題があります。DOS 5 から DOS 6.2 になって、復帰時のグラフィック異常は改善されましたが、例えば、当たり前ですが通信が切れてしまいますし、何か認識できなくなってしまうデバイスがあるかもしれません。

 ということで、WISER のマルチタスクは、元のソフトの状態を保ってくれているという安心感がありますね。

【WPSプログラムの巧妙さ】

 WISER で呼び出せるプログラムをWPS(WISER PROGRAMING SPECIFICATION )プログラムと呼びます。

 WISER 常駐時の占有メモリは約4Kバイト(未登録時は8Kバイト)です。WPSプログラムは、その約4Kバイトの中で動きます。「空きメモリが足らなくて起動できない」なんてことはないんですね。つまり、WISER が無事常駐すれば、WPSプログラムも必ず起動するんです。これって凄いなと思います。

 これで例えば巨大ファイルの閲覧ができ、表示行の記憶機能もあるのは不思議で仕方がないです。

【画面分割について】

 画面分割の機能はやはりあるのとないのとで大違いですね。何か参照したい時、タスクスワップにしろ子プロセスにしろ、どこかにメモっておかないと元に戻った時に忘れてしまいますし、転記するのも面倒です。

 こんな場合、WISER は画面分割し、下は元の画面(オモテ画面)、上はWPSプログラム(ウラ画面)となるんですが、ウラ画面を見ながらオモテ画面を操作(すり抜けモード)したり、ウラ画面の文字をオモテ画面にコピー&ペーストできたりします。

 例えばパソ通のオンライン中に誰かのIDを調べて入力したい時に、ウラ画面から MAIL ファイルを覗いて目的のIDを見つけたらTABとINSで入力できて、間違う心配がありません。

【グラフィックスに注意】

 オモテ画面がグラフィックスを使用している場合(ψ-menuなど)にはちょっと注意が必要です。デフォルトのままだとグラフィックスが消えないので見辛くなります。オプションで /MG1 にするとウラ画面呼出し時にグラフィックスが消え、ウラ画面を消せば、元のグラフィックスが復帰します。

【30行モードとWISERの悩み】

 30行モードとWISER についてはちょっと悩ましい点があります。WSPプログラムの最大表示行数が減ってしまうんです。わずか2行なんですが。オモテ画面の表示行数は増えるんですけどね。

        25行モード  30行モード
-------------------------------------------------
オモテ画面    5行以上   12行以上
オモテ表示行数  3行以上   10行以上(ファンクション行、FEP行除く)
ウラ画面    20行まで   18行まで
ウラ表示行数  18行まで   16行まで(ファンクション行等除く)

 画面分割時のオモテ画面を広げたければウラ画面をCTRL+↑で縮めることができるので、それなら25行モードの方がトクかも知れません。そこんところは好みですね。

【カーソルに注意】

 ある状態でWPSプログラムを呼び出すと、カーソルが消える場合があります。CTRL+DEL でカーソルを呼び出せること覚えておこう。

【WindowsとWiser】

 マルチタスク(というよりディアルウィンドウという方がいいかな?)の使い勝手を Windows と比べてみます。

 少なくともノートのようなVGA画面、あるいは、マウスがないとか、マウス以外のポインティングディバイスを使わざるをえない環境においては、Wiser の得点がグッと上がりますね。

 VGAにしてもSVGAにしても、17インチ程度の画面だとディアルウィンドウにしたくても、どうしてもずらして重ねる程度になってしまいます。

 私は会社ではPowerBook+14インチCRTの仮想ディスクトップで、液晶を参照画面に、CRTを作業画面にして使っているんですが、その方が17インチ単独より便利です(それで非力CPUかつ劣悪キーボードでも我慢して使っている理由なんですが)。

 やはり仕事ではこういう2タスク作業が標準になってしまいますね。

 それに、2つのウィンドウの配置を使い易い位置に置くのがなかなか面倒で、かえってフルスクリーンモードにして、GRPH+TABでタスクを切り替えた方が使い易かったりもします。

 そこで、Wiser は CTRL+ROLL UP でオープンしたウラ画面は、CTRL+上下で行数増減、GRPH+上下で位置が上下するという単純な操作に割り切っていて、思い切りのよさが感じられます。

 それからコピー&ペーストですが、Windowsでは所定の文字列をコピーし、別のタスクに切り替え、ペーストする、という動作が、Wiser では INS キー一発で出来てしまう。この辺も、思い切った割り切りがあって、ある作業で何ができることが重要なのか、何さえできれば大部分カバーできるのかをよく考えてるなぁと感心させらされます。

 随所でそういう WISE さに出会うので、とっても面白いわけです。

【分かりにくい所】

・「表画面」と「裏画面」

マニュアルに「表画面」という言葉があって、スプレッドシート画面かなと勘違いしちゃいました。「ウラ画面」に対する「オモテ画面」という意味ですね。

・カーソル
 前回も書きましたが、ウラ画面でカーソル位置が現れない時に SHIFT+ROLL UP を覚えておかないと慌ててしまいます。

・起動オプション
 起動オプションにいろんな種類がありますが、要するに、ディレクトリ切り替え後に

 WISER.COM WISER.PRM

として起動すればいいわけです。あとは WISER.PRM の中にいろんな設定が全て書いてあるので、それを分かる所から直していけばいいです。グラフィック画面消去/復帰オプションもこの中にあります。

・環境変数と格納ディレクトリ
 マニュアル、WSPプログラム、作業ファイルはみんな同じディレクトリに入れておくのが、躓きにくくていいかなと思います。

・WSPプログラムの起動方法?
 GRPH+SPACE でヘルプメニューが出ます。そこで SHIFTキーかCTRLキーでメニュー内容が変ります。WSPプログラムメニューは CTRLキーを押すと現われます。これがなかなか分からなくて、いまさっき、偶然に見つけました(^^;;

 これで次回はWSPプログラムの話が書ける(^^;;;;

・サポート会議室
 以前は FGALSW1 に WISER 専門会議室がありましたが、その後、FGALSIG に移り、現在は、

 nifty:FNEC98U/LIB/11 「MS-DOS活用&快適環境」

です。WISER の話題は今はあまり多くないですが、作者のDAIKIさんが常駐されているので、いつでも教えてもらえますよ。