■「みらい」のその後

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2004年9月21日更新

 ●就航後3年間の改良点
 船尾Aフレームクレーンの大型CTD採水器については、採水器の下にバラストをぶら下げることでシーステート5上限までの採水が可能となったものの、コンタミネーションの点でバラストをぶら下げられない場合には困難。
 シーステート6の壁は厚い。SS5上限での採水については白鳳丸など既存の観測船と変わらない。しかし、「みらい」は荒天回避の必要がないため、現場海域に留まって海象条件がよくなるまで待てるため、冬季の高緯度荒天海域での採水について50%以上の成績を上げており、初期の目標を達成した。
 CTD採水器の降下速度についてはCTD採水器自体が変わらない限り1m/sが限界。アクティブ・スウェル・コンペンセータは200m以深でなければ効かないため、ピッチングが大きいとキンクしやすくなる。
 2001年度始めのドックで右舷ギャロースをDYNACON社製ヒーブコンペンセータ付き多間接クレーンに換装することとなり、横波中、風下側(lee side)で大型採水器がバラスト吊下げなしでシーステート5上限まで可能となる見込み。

 20mピストン・コア・サンプラーは、シーブを曳航体用特殊シーブから通常の吊りシーブに代えることで使い勝手が向上。SS5より上でもOK.船尾Aフレームクレーントップの高さが有利に働いている。

 乾舷の高さは、観測作業がSS5〜6止まりであることを考えれば6.3mもなくてもよかったかもしれない。

 ハイブリッド減揺装置もシーステート6以上で運転停止という運転条件のもとで、就航直後の損傷事故を除き、故障なく作動している。
 船首尾のマイクロ波波高計はよく動いている。

 ●北極海航海
 2002年10月3日16:03(日本時間4日)、薄氷を割りつつ、北極海で砕氷船でもあまり行かない北緯76度24分に到達。船尾右舷機関室に固定バラストを増備することで船尾喫水を増やし、プロペラと海氷の距離を離したことが功を奏した。
 2004年9月17日13:42(日本時間18日6:42)に北緯76度34分に到達。(北極点まで2,604km)

 ●南太平洋一周観測航海:BEAGLE-2003
アルカリ度検体数:7,994
全炭酸検体数:8,072
塩分検体数:17,467
溶存酸素検体数:20,929
栄養塩検体数:72,602
通常の2年分を半年で実施したことになる。
述べ255人の研究者と観測技術員
CTDキャスト:510
ケーブル繰り出し:延べ1,800km
参加国12カ国、28機関
493観測点:チャレンジャー号の5年分の観測点
最南端57度

太平洋1992年5月2日〜7月30日(米Knorr、30+30+30=90日)
(8.3〜10.16:29+30+16=75日)
大西洋1992年12月27日〜1993年1月31日(米Knorr、5+31=36日)
(11.5〜12.5:26+5=31日)
インド洋 1995年4月23日〜6月5日(Meteor、8+31+5=44日)
(12/20〜1.24:12+24=36日)
計170日(「みらい」142日)

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