日本の周辺は4枚のプレートが衝突している世界でも特異な海域である。被害を及ぼす地震の多くはこれらプレートの間で発生している。この地震発生ゾーン、すなわちプレートの滑り面には水が存在して滑りやすい部分と、水がなく強く結合している部分との不均質性がある。
この不均質性によりプレートが沈み込むにつれて歪が蓄積していく。そのうち、強く結合した部分が破壊すると大地震が発生すると考えられるようになってきた。
この結合状態の不均質性は洋上からの3次元マルチチャンネル反射法探査システムでプレート滑り面の反射強度分布を描くことによって知ることができるが、その実際の状態、すなわち、岩石の力学的物性値、応力状態、間隙水圧などが計測できなければ現実的なモデルとすることはできない。
地球深部探査船は、完成後の最初のミッションとして、日本周辺の地震発生ゾーンへの掘削を行うことが、すでに世界の地球科学者によって合意され、その具体的検討が始まっている。
この掘削に期待されているもう一つのミッションは、掘削孔を利用して震源に近接した長期観測を行うことである。これによって海底上に設置した地震計では検知できない前兆現象を捉えられるかもしれないからである。