地震発生ゾーンで何が起こっているか?

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 マントルは、厚さが数十〜200km程度の比較的固い層と、その下の比較的流動的な軟弱層(アセノスフェア)とに分かれる。前者の比較的固い部分は地殻と一体となって地球表面に沿って移動する。この移動する部分を「プレート」又は「リソスフェア」と呼ぶ。
 このプレートには大陸プレート海洋プレートがあり、大陸プレートは常に地表面に浮いているのに対して、海洋プレートは深海の中央海嶺にあるプレートの裂け目で次々と生まれ、ベルトコンベアのように移動し、最後は海溝において他のプレートの下に沈み込んで消滅していく。
 このベルトコンベアのような運動が大陸プレートを突き動かし、超大陸の形成や分裂、さらには私たちの生活の脅威となる地震、火山噴火、あるいはそれによって引き起こされる津波をもたらす。

 日本の周辺は4枚のプレートが衝突している世界でも特異な海域である。被害を及ぼす地震の多くはこれらプレートの間で発生している。この地震発生ゾーン、すなわちプレートの滑り面には水が存在して滑りやすい部分と、水がなく強く結合している部分との不均質性がある。
 この不均質性によりプレートが沈み込むにつれて歪が蓄積していく。そのうち、強く結合した部分が破壊すると大地震が発生すると考えられるようになってきた。

=>日本周辺の4枚のプレート

=>デコルマと不均一性

 この結合状態の不均質性は洋上からの3次元マルチチャンネル反射法探査システムでプレート滑り面の反射強度分布を描くことによって知ることができるが、その実際の状態、すなわち、岩石の力学的物性値、応力状態、間隙水圧などが計測できなければ現実的なモデルとすることはできない。
 地球深部探査船は、完成後の最初のミッションとして、日本周辺の地震発生ゾーンへの掘削を行うことが、すでに世界の地球科学者によって合意され、その具体的検討が始まっている。

 この掘削に期待されているもう一つのミッションは、掘削孔を利用して震源に近接した長期観測を行うことである。これによって海底上に設置した地震計では検知できない前兆現象を捉えられるかもしれないからである。


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