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2003年10月15日更新
最新の広域測深型サイドスキャンソーナーは、インターフェロメトリック法というもので測深もできる(DSL-120、wadatsumi、SeaMARCII)。
東大海洋研の>IZANAGI>(高速曳航式深海底イメージングシステム)は、水深100mを曳航する浅海曳航型。海底からの高度300〜1000m、7〜8ノット。11/12kHz。探査幅は左右5kmずつ。
海上保安庁水路部の「昭洋」に搭載されている浅海曳航型の広域測深型サイドスキャンソーナー<ANKOU>(Sya 09)は海面付近の温度・塩分変化を避けるため、船尾から水深100mを最高8ノットで曳航。長さ5m。左舷9kHz、右舷10kHz。ビーム幅2.5度&70度。探査幅1km〜20km。インターフェロメトリック法による測深機能を備えている。
片側4096個のデータ収録可能(IZANAGIの4倍)。上下の送受波器の取り付け間隔を拡大。使用周波数を下げる。
深海曳航型サイドスキャンソーナー<WADATSUMI>は、左舷95kHz、右舷106kHz。音響画像+水深+サブボトム。海底から200〜300mの高度を2ノットで曳航する。水深6000mまで曳航可能。
浅海用マルチビームサイドスキャンソーナー<KLEIN5400>は、455kHz。船速に応じて最大4本のマルチビームを使用することによって、8ノットの高速曳航でもギャップのない画像が得られる。ビームの指向性がなんと0.2度! 測深も可能。
TOBIは、30/32kHzのサイドスキャンソーナーのほか、7kHzのサブボトムプロファイラー、三成分磁力計、濁度計、ジャイロ、高度計、CTDを搭載。
そのほかSAR(170/190kHz)、DSL-120(120kHz、測深)が曳航速度2ノット。
大深度になるほど周波数を低くする必要があり、解像度が落ちていく。450kHzで水深100mまで、200kHzで300mまで、50kHzで3000mまで、12kHzで11000mまで。
最も進歩したのが「合成開口ソーナー」。IMBAT(Thomson Marconi Sonar社)は水深1000mで水平方向解像度1m。
船を乗り入れることが困難な岩礁では「航空機レーザー測深」が実用化してきた。YAGレーザーによる近赤外レーザー光(波長1064nm)で海面までの距離を求め、緑色レーザー光(波長532nm)で水深30〜40mまでの海底までの距離を求める。カナダOptech社のSHOALS-1000(レーザーパルス1000Hz)、オーストラリアTenixLADS社のLADSがある。
=>3D sequence stratigraphy offshore Louisiana, Gulf of Mexico
海上三次元調査の事例
2番目 二次元断面
3番目 水平にスライスして表示した
4番目 三次元表示、断層による落差が良く表現されている。
一方、陸上の発破又は海上のエアガンによる地震波が、地層の各層での伝播速度の違いにより屈折したものを地上又は海底の地震計で受信し、地球深部の構造を画像化する方法を「屈折法地震探査」という。深さ40〜50kmまでの構造探査が可能。巨大な自然地震の地震波を地球規模で各地で受信すればマントルや核に至る構造を画像化することができる。
もっと大規模に、大陸上はもとより、大洋の島々にもなるべく一様に地震計を配置し(将来的には、大洋横断海底電話ケーブルにも地震計を接続して)、長期にわたってできるだけ数多くの自然地震の地震波を観測し、コンピュータ処理することによって、地球を輪切りにした音速分布画像、すなわち、温度異常画像を描くことができる。これを「地震波トモグラフィー」という。
船底や深海曳航体から音波を発射して、海底下のごく浅い範囲の地層構造を求めるのが「サブボトム・プロファイラー」(地層探査装置)。
屈折法地震探査では、海域で受信する手段としては、多数の「自己浮上型海底地震計(ポップアップ式海底地震計:OBS)」を一定期間、海底に設置する。これは、浮上させて船で回収しなければデータは得られない。
反射法地震探査でも、より大深度までの構造探査を行うには、地上の何点かで発破を行い、地上の地震計だけでなく海底にもOBSを並べて計測する。
=>人工地震による地下構造調査(東大地震研 爆破地震動研究グループ)
=>地震学入門(M-NASUNOさんのサイト)
=>Harvard Seismology Research Project
=>物理探査船の試設計(H14、三井造船)
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