地震予知研究・観測・シミュレーションの現状

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2007.1.2オープン

 東南海・南海地震の予測について、どうやら新しいフェーズを迎えそうな気がする。
 まず、「アスペリティ」の発見がある。大陸プレートの下に海洋プレートが沈み込む際、固着と高速すべりを繰り返すエリア(=アスペリティ)が存在することが分かってきた。これは過去の歴史的な地震や津波の被害記録に基づいて震源域を推定するという作業から明らかになってきたもの。ひとつのアスペリティで何度も地震が繰り返されてきただけでなく、隣り合うアスペリティで地震が交互に発生したり、同時に滑ったりということも明らかになってきた。
 この成果の基礎としては、マルチチャンネル地震探査システム(MCS)と多数の自己浮上型海底地震計(OBS)による地殻構造探査がある。これによってプレート境界の形状を含む精密な地殻構造モデルが出来上がりつつある。

 これらをベースに、地球シミュレータで地殻変動サイクルをシミュレーションする試みが進んでいる。いつ、どこで地震が起きそうだ、という予測は困難だが、次にM7以上の地震が起きるとすれば、どこが危ない、ただし、それが起こるのが10日後なのか、10年後なのかは分からない・・・そんな予測なら可能となる可能性が生まれつつある。
 そんな予測で役に立つのかといえば、M6までの地震には耐える街づくりに努め、次に大地震が起こりそうな地域に重点的に高価なケーブル式海底地震・津波観測ネットワークを建設するとか、建物の補強のための補助金を出すとか、備蓄を進めるとか、救難組織を配置するなど、減災のための対策はいくつか考えられそうだ。

 以上の研究の進展によって、ついに和歌山県沖に20点の海底観測点からなるネットワークの建設がいよいよ始まる。同海域の地殻変動が東南海地震又は南海地震の発生に影響していることが明らかになってきたためである。

地震シミュレーション
地球シミュレータによる地殻変動シミュレーション

・東京大学地震予知協議会「地震予知のための新たな観測研究計画」(平成11〜15年度)平成15年度報告書外部評価委員会による評価報告書(H14.10.8)
=>「地震発生の素過程」計画推進部会 平成16年度研究実施計画
=>平成10年地震予知のための新たな観測研究計画の推進について(前駆現象(プレ・スリップ)の部分)

JAMSTEC:地殻構造探査

地震・津波・地殻変位観測ネットワークのいろいろ
 ●ケーブル式海底地震計
気象庁:御前崎沖(4点)、房総半島勝浦沖(4点)、2005年から4ヵ年で御前崎沖に設置された現システムの西方に新システム(5点)を設置。
JAMSTECリアルタイム深海底観測データ(釧路・十勝沖(3点)、室戸沖(2点)、相模湾初島沖)
東京大学地震研究所三陸沖光ケーブル式海底地震・津波観測システム(3点)、伊豆半島東方沖(3点)
防災科学技術研究所:平塚沖(6点?)ケーブル式海底地震観測施設の観測点、K-netの一環
海底地震・津波観測ネットワーク(DONET)(第I期:20点、JAMSTEC) /海底広域観測システム計画

 ●陸域
 (気象庁・地方自治体・大学ほか)
震度観測点地震観測点(2007年4月2日現在、気象庁598地点、地方公共団体2,839地点、防災科学技術研究所779地点)

 (防災科学技術研究所)
F-net/広帯域地震観測網/Full Range Seismograph Network of Japan(旧フリージア:Fundamental Reserach on Earthquakes and Earth's Interior Anomaly)/観測点マップ
Hi-net(高感度地震観測網)/AQUAシステム(Accurate and QUick Analysis System for Source Parameters)(観測井戸を掘削して、その底で観測。20kmメッシュ、約1000点)/観測点マップ
K-net:強震ネットワーク(全国約25km間隔、広ダイナミック・レンジの加速度型ディジタル強震計、及び、強震記録インターネット発信システム。兵庫県南部地震後に整備された観測網、全国約1000箇所)
KiK-net(基盤強震観測網)(Hi-netのセンサーの下部に付加されている。1997年6月より運用を開始、約800点か?)

 (国土地理院)
GEONET(GPS連続観測システム)

電磁気現象・宏観前兆現象
 プレスリップによる前兆現象があるとしたら、ピエゾ圧電効果による電磁気現象だけなのか、それともほかに何かがあるのか? なお、震源の深さ50km以深を前兆現象検出の対象とするのはやめた方がいいと思います。
=>S◎S ソノトキガキタラ◎ソノチキガクルマエニ
=>八ヶ岳南麓天文台地震前兆電離層観測研究センター(串田嘉男氏の私設天文台。VHF電波を利用した電磁層観測)
=>行徳高校自然科学部 [地震前兆電波観測]のページ(49.5MHzのVHF帯の自然雑音レベルを記録)
=>ナマズは地震を予知する?
=>地震前兆情報の利活用に関する調査・研究と提言
=>東海大学海洋研究所地震予知研究センター(地電流VAN法。上田誠也さん、地震国際フロンティア研究)
=>地震と環境問題と自然との共存共生(Blue Starさんのサイト)
=>その応援班:EPIO
=>各種情報

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