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じつをいうと、ネコくんはクジラを食べてみたいと思っていたのです
かれはもともとお魚には目がありません
生の魚、煮た魚、焼いた魚、缶詰の魚、みんな大好きです
おまけにそうとうの食いしんぼうときていますから
魚の中でいちばん大きいと聞いているクジラのお肉を
一度でいいから食べたいなあと夢見ていたのです
もしクジラ1頭分の肉を缶詰にしたら 百コ、千コ、いや、もっとかな?
とにかく食べきれないほどの量になるでしょう
そしたら きっと一年中食べほうだい
ほかのネコたちに分けてあげることだってできます
人間の中には こうしてクジラを見て楽しむ以外に
クジラの肉をおいしい、おいしいといって食べている人もいますが
ネコたちにはぜんぜん食べさせてくれません
それなら いっそのこと じかにクジラのいるところまで行ってやろうと
ネコくんは船に乗りこむことを決心したのです
この船は捕鯨船といって、以前は南氷洋という
遠くて寒い氷の海まで クジラをとりにいっていたということです
当時 そこにはクジラが数えきれないほどわんさかいたそうですが
どういうわけかクジラをとることができなくなってしまい
いまではクジラ見物にいくお客を乗せる船になったのです
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