(初出:2002/9/27)

= 2003年度農水省概算要求の中味を(ちょこっとだけ)検証 =
 納税者としてはやはりチェックするのがよかろうと概算要求の概要資料をざっと見渡してみました。興味のある方は農水省のサイトにPDF(100ページ以上ありますが・・)が貼っていますので、ご参照のほどを。食育、リスクコミュニケーション、資源管理、水産ODA等クジラに密接に絡むキーワードはあるものの、クジラのクの字も出てきませんので(調査捕鯨自体は税金を投入しても委託事業の形をとっていますし・・)本筋のクジラからは逸れますが、いくつか気になった点をコメントしておきたいと思います。(資料はいずれも農水省発表〜)
農水省概算要求総括表 (単位:億円)
区分 14年度予算額 15年度要求額 対前年度比 増分
1.公共投資関係費 16,318 18,995 116.4% 2,677
2.義務的経費 8,051 8,437 104.8% 386
3.裁量的経費 7,536 8,551 113.5% 1,015
総額 31,095 35,983 112.8% 4,078
 まず、資料の厚さが12省庁中最大・・(--;; とゆーのはさておき、H14予算比で1割以上と国交省などとともに対前年度増が目立っています。しかも、区分上の公共投資関係費が額・比率とも最多となっています。
 ここで、掲載資料中の参考資料(P109)にある一般歳出全体の要求基準の考え方を示す図を見てみると、この額が要望上限額そのものであることがわかります。緊縮財政で公共事業に厳しい目が向けられている中で、その公共投資に関しては目いっぱい要求しているということですね。。図にもあるとおり、歳出増の不可避な義務的経費が7割を占め(その大半が年金・医療・介護保険等厚労省の所管になりますが)、公共投資自体は削減必至なため各省で痛み分けになるはずですが・・それでも認められてるからギリギリまで要求していいんだと言いたいのか、この省の押しの強さをPRしている感じですね。風当たりが強くてもやはり1割増額を要求している国交省も、要求額最多の厚労省も、わざわざご親切(?)にもこんな図を付けたりはしていません。前年度比は高くてもそもそも予算総額が1ケタ小さい環境省の場合、資料は概要と項目表合わせ32ページで実にあっさりしたものです(押し弱すぎ・・だから省がついてても2軍扱いされてるのでわ(--;)。
 つづいてVの基本方針を見てみると、5つの大方針が掲げられています。特に目を引くのが、金額で最大の地球温暖化防止等に資する森林整備の推進5,352億円。よく見ると、(林野関係予算)とあります。要するに、人件費から何から林野事業の予算全部ブッコミなのですね・・果たして内訳を見てみると、ほぼ3/4を占めるのが既存と変わらない林野公共事業(森林整備・治山:生態系を分断する林道事業等も含みでしょう・・)で、直接温暖化に関係しているのは吸収源対策推進プラン策定5千万のみ。わずか0.1%(しかもプラン・・)です。。新規拡充事業として緑の雇用、複層林整備なども挙げられていますが、いずれも温暖化と無関係です(それ自体は結構なことかもしれませんが、公益機能というのは保水能力等でCO2固定の話ではありません)。花粉症対策も・・(--; 間伐材利用は排出です(やるなといってるのではありませんよ)。木炭等バイオマスは代替エネルギーとしての意味はあってもそれ自体は排出(ないし固定サイクルの短縮)で、吸収源としての森林活用とごっちゃにすべきではありません。これでは、気候変動を防ぐために新たな施策・対策をとる必要はほとんどないと言っているも同然です。しかし、既存の森林を維持するだけで現に進行中の温暖化を食い止められるわけではありません。温暖化防止を謳うのであれば、具体的にこの5千億円の予算がCO2換算で何t分の削減(量増大)効果があるのか明記すべきでしょう。本来なら、吸収効率アップ(させる方法があれば・・)ないし緑地面積の拡大以外の施策はないと思いますが。。
 よく見ると、概算要求の前年度比増分は約4千億円です。基本方針中で最も目立つように5千億円を森林整備を通じた温暖化対策に当てると掲げれば、緊縮財政下で前年度大幅増の概算要求は、農水省が環境保全に軸足を移した結果だと見る勘違い・錯覚をされるかもしれません。実際、マスコミは強気の概算増の理由を(当然ながら疑問符がついたものの・・)農水省の方針説明どおり"主に"「気候温暖化防止のための森林整備」によるものと報じました。これでは、予算獲得の省益のために環境を口実にしているといわれても仕方ありませんね。。本気で林野事業を温暖化防止目的として位置付けたいなら、いっそのことそっくり環境省に移管したらいかがでしょうか。。
 官庁は予算をとってきてナンボの世界で、概算要求資料の作り方・見せ方の腕が官僚の評価基準みたいなところがありますが(枠の確保をめざした公共事業の"総IT化"などがいい例ですね。予算・執行の制度がある限り政策評価などを採り入れたところでなかなか治るもんじゃないでしょうが・・)、財務省のみでなく市民の目も意識して作文してもらいたいものです。。。
個別にツッコミを入れる予定でしたが・・とりあえず2006年度のツッコミを見てね(^^;;