●Chapter 10 アポロノーム3の反撃

勝手にMission:03の目次へ
 

(UX)
「提督、U-SUBがアルテミスの一方を仕留めたようです。空気の流出音が盛んに聞こえます。とどめを刺させますか。」

「いや、残りのアルテミスに備えさせろ。同じ手は使えんぞ。相手の位置は。」

「仕留めたアルテミスの後方約2500mに確認しました。さらにその後方約1000mに巨大な艦影を捉えました。アポロノーム3でしょう。」

「いよいよ本番だな。」


(アルテミス6)
 ソーナーマンが、
「キャプテン、アルテミス5がやられました。浸水音とブロー音が聞こえます。」

「U潜の位置は捉えたか。」

「今の爆発で前方の2つの氷山の影にそれぞれU-SUBが潜んでいたのを確認。それより遠方については、氷山のどれが北極基地なのか、識別できません。」

「こちらも向こうに見付けられているぞ。このまま惰性で右舷に転舵しろ。
 副長、これまでの戦術分析結果は?」

「アルテミス5の超音速魚雷が破壊したのは3基のトーピード・マイン・システムと思われます。その直後にあの2隻のU-SUBがそれぞれ氷山の背後から魚雷を発射したようです。」

「氷山の背後からの攻撃か。どうしてアルテミス5の位置が分かったんだ。」

 副長が、
「海底反射を使ったんじゃないでしょうか。」

 ソナーマンが、
「こんなに反響が複雑な場所でですか。」

「相手にとっては勝手知ったる庭だからな、ありえるかもな。
 よし、深度を上げろ。海氷すれすれで行くぞ。」

「反撃しますか。」

「いや、せっかく位置を変えたのに、また相手に知られてしまう。アポロノーム3と連携でいく。光ファイバーでリンクしろ。アルデミタス艦長と話す。」

・・・・

 ディープダイバーが光ケーブルをスプールアウトしながら後続のアポロノーム3に向かい、やがてレセプターに吸い込まれる。戦術解析データが転送され、艦長同士の通信が確立する。

 アポロノーム3のアルデミタス艦長が、
「ヒューバート艦長、なかなか手ごわい相手のようね。」

「防護体制が手厚いし、氷山も密集している。どうやらこの向こうに北極基地が隠れている可能性があるな。
 連中の方は、先ほどの戦闘中の爆発音で本艦とアポロノームのエコーを捉えているはずだ。そこで相談だが・・・」

 海氷下ぎりぎりを曲芸的な操船で進むアルテミス6。その1000m後方、海氷下100m辺りをアポロノーム3は全長900m、幅90m、深さ30mの巨体を敵に晒した状態で進む。
 先ほどの戦闘海域ではアルテミス5が海氷を魚雷で爆破して開けた穴に艦首を突出させ、乗員の脱出が始まっていた。
 アポロノーム3がその付近に差し掛かった途端、アルテミス6が多数の魚雷発射音をキャッチ。それは光ケーブルで直ちにアポロノーム3に転送される。

 アポロノーム3のソーナー要員が、
「アルテミス6が魚雷発射音を捉えました。こちらに向かってきます。やはり前方の氷山の裏側からです。」

 アルデミタス艦長が、
「超音速魚雷1番、2番を各想定位置に向けて発射。引き続いて魚雷迎撃の弾幕を張れ。3番、4番への戦術データ入力スタンバイ。」

 間髪を置くことなくアポロノーム3から2本の超音速魚雷が発射。魚雷群とすれ違った超音速魚雷はそれぞれ氷山の裏に回りこんで爆発。それとともに、アポロノーム3を襲う魚雷は豊富な弾幕によりたちまち全弾が迎撃される。

 2隻のU-SUBはからくも致命的爆発範囲から逃れるが、氷山の影に潜む姿を先行するアルテミス6に完全に探知され、再びアポロノーム3に転送。

「戦術データ入力完了です。キャプテン。」

「3番、4番、打てー!」

 再びアポロノーム3から発射された超音速魚雷は氷山を迂回しながら狙いすましたようにU-SUBに達し、至近距離で爆発。2隻とも耐圧殻が崩壊、轟音を立てて沈没し海底に激突する。


がる〜さん作。要"Flash Player 6"(無料ダウンロード))

 アルテミス6のヒューバート艦長は、ほくそえみながら、
「作戦どおり、アポロノームはうまくやってくれているな。これで当座の邪魔者が取り除かれ、しかも本艦は捕捉されないままだ。」

「魚雷発射音です。コースは本艦の後方。」

「懲りずにアポロノーム狙いか。いくら狙っても無駄だというのに。」

 別の方向からやってきた魚雷群は海氷にぶつかって次から次へと爆発。多量の氷片が海中に撒き散らされる。

 副長が、
「アポロノームとのリンクが切れました。」

「しまった。魚雷発射源はどこだ。」

「爆発音が氷片で散乱されて、有意なエコーが得られません。
 あっ、また魚雷がきます。今度は本艦の前方です。」

「なんだ、でたらめに打ってるのか。」

 今度も魚雷群は海氷にぶつかり、多量の氷片が海中に撒き散らされる。海氷下ぎりぎりを進むアルテミス6がやがてその中に突っ込む。浮上する氷片が船底にカチンカチンとぶつかる音が。

「うっ、なんだこの音は。まずいぞ、停止しろ。」

 副長が、
「下から浮き上がってくる氷です。避けようがありません。これじゃ・・・。」

 ソナーマンが、
「また発射音です。今度は本艦に向かっています。」

「出力4分の4、急速潜航!」

「もう間に合いません!」

 ベント弁から噴出する空気に包まれて潜航するアルテミス6に多数の魚雷が襲い掛かり、次々と爆発、海水が艦内に突入し、たちまち浮力を失っていく。


がる〜さん作。要"Flash Player 6"(無料ダウンロード))


(UX)
「ゲーデルBよ、お前の子供たちはよくやったようだな。アポロノームの攻撃力は想像以上のものだったが。」

 ゲーデルBが、
「両目を失ったアポロンに、次は幻惑の女神ダフネを与えましょう。」


Chapter 11へ/勝手にMission:03の目次へ