■グレゴリイ・ベンフォード

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2004年6月13日更新

●「木星プロジェクト」(1975, グレゴリイ・ベンフォード)西村屋選
 木星を周回する木星天文生物軌道研究所(JABOL、通称<ブリキ缶>)では100人以上、うち子供30人が生活し、生命探索のため、探査機とバチスカーフを木星大気のアンモニア層の下の水蒸気の雲の奥深くに送り込む努力が続けられていた。<ブリキ缶>は第3惑星ガニメデと同じ軌道上、放射能帯の高エネルギー粒子が飛び交う中を周回しており、パンケーキ型の巨大なプラスチック袋に入った水で遮蔽されている。地球との間は原子力駆動のイオンロケット<アーゴシー号>と<ランデブー号>によって片道7ヶ月で結ばれている。核融合クルーザー<セイガン号>がガニメデから定期的に水を補給している。
 そこで暮らす17才の少年マット・ボウレスは、8才の時、地球を出発する前、厳しいいじめにあった心の傷を持つ。地球では経済的危機が進行し、国際宇宙局ISAはついにプロジェクト中止を決定する・・・。
 ガニメデでは濃い大気を作り出すため、巨大なキャタビラの付いた核融合炉が氷を溶かしながら時速100mで移動し続けている。

●「タイムスケープ」(1980、グレゴリイ・ベンフォード、ハヤカワ文庫SF)
 ネビュラ賞受賞。1998年、環境汚染とエネルギー危機が進行する地球。アマゾン流域で殺虫剤に使われた塩素化炭化水素「マノドリン」が珪藻の変異種を生じさせ、大西洋ブラジル沖合に100km以上に広がる大規模な赤潮(ブルーム)が発生、爆発的な勢いで増殖を続ける。それらは、海中の酸素を食い尽くすだけでなく、塩素化ベンゼン、ポリ塩化ビフェニルなどの極めて毒性の強い副生成物を作り出し、さらには他の生物の外被を剥がしてその分子を変化させるニューロジャケット効果(ウイルス・インプリンティング)によって、海洋生物を死滅させていく。
 ついには、海上に異様に黄色い雲を作り出し、航空機の乗員・乗客や陸上の農産物にも被害を与え始める。科学者たちはタキオンを使って1962年に警告を送ろうとする・・・。
 2度訪れたことのあるスクリプス海洋研究所の近くのラホイヤの町の雰囲気が懐かしい。このほか、直径500m、全長345mのタービン400基をマイアミ沖の海面下25m、4ノットの海流中に設置して40ギガワットの電力を供給する「コリオリ計画」構想が登場する。

●「シヴァ神降臨」(1980、グレゴリー・ベンフォード&ウィリアム・ロツラー、ハヤカワ文庫)
 衝突の避けられない巨大隕石の軌道を核爆発で変えようとするが。こちらは徹底したペシミズムの作品。

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