■デヴィッド・ブリンの深海SF

西村屋トップメニュー>地球・海洋SFの発掘気楽にメッセ−ジ・ボードへ検索エンジン
 
2001年11月28日オープン

●「ガイア−母なる地球−」(1990、EARTH, ハヤカワ文庫)西村屋選
 オゾン層破壊によって皮膚癌の多発、生態系破壊に直面している時代。生態系学者で”現代ガイア・パラダイムの母”と呼ばれているジェン・ウォリングは新ガイア理論でノーベル賞を受賞。この理論によって、世界中に100近くも閉鎖生態系施設が作られ、絶滅に瀕した野生種が集められている。
 一方、1990年代後半にアドラーとハートが統一理論を完成。2020年には実験室内に特異点(ミニ・ブラックホール)を作ることが可能となった。

 ジェンの孫で若き天才物理学者アレックス・ラスティグは、特異点を使った発電所作りに荷担するが、ジャ−ナリスト、ペドロ・マネラに扇動された反対派が発電所を襲撃し、送電線が切断され、磁場ケージの中の特異点が地球内部に落ちてしまった。
 アレックスは、大企業タンゴパル社の会長ジョージ・ハットンらの援助を得て、超伝導重力波アンテナを建設し、アレックスの特異点<アルファ>が核内で蒸発しつつある一方、別の誰かが作った成長しつつある特異点<ベータ>(コズミック・ノット)を発見。この重力波走査が特異点と共振して地震を引き起こすことも知る。
 この重力波走査は、テザー型宇宙ステーション<レーガン・ステーション>(通称、エレウォン)に秘密裏に持ち込まれていた特異点とも共振する。最後のコロンビア級スペースシャトル<プレアデス>の女性船長テレサ・ティカナ大尉は、<エレウォン>の崩壊に遭遇し、そこで研究に従事していた夫を失う・・・。。

 モホロビチッチ不連続面、マントル内のホット・プルームとコールド・プルーム、磁場逆転などの話題が登場する。マントル・核境界の超高温超高圧域で超伝導現象が生じる設定になっている。
 太陽エネルギー崇拝の<ラーの使徒>、環境技術と産児制限を推進する穏便派の<ガイア教会>、開発を全面否定する過激派の<ネオ・ガイア主義者>、遺伝子操作によって人間の捕食者を作りだそうとする<シュクリー主義者>などざまざまな宗派、思想グループも登場する。

 本作品は、「ガイア仮説」をさまざまな切り口で捉えている。中でも『「競争」と「共生」は表裏一体』という関係を、地球システムや生態系のみならず、脳の神経細胞や社会・経済システム、さらには、ネットワークにまで見出すところが興味深い。

●「スタータイド・ライジング」(1985、ハヤカワ文庫)
 ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞のトリプル・クラウンに輝く。作品イルカと人類の混成チームが銀河の辺境で、巨大な宇宙船群の墓場を発見!そのニュースを傍受した、異星人たちは、イルカ+人類宇宙船を追跡。とある惑星に逃げ込んだイルカ等は・・・。

=>大野万紀さんの解説文書館より)

=>デビッド・ブリン作品紹介(O.C.T.さんの渾沌の庭 研究所

西村屋トップメニュー>地球・海洋SFの発掘気楽にメッセ−ジ・ボードへ検索エンジン