ジェンの孫で若き天才物理学者アレックス・ラスティグは、特異点を使った発電所作りに荷担するが、ジャ−ナリスト、ペドロ・マネラに扇動された反対派が発電所を襲撃し、送電線が切断され、磁場ケージの中の特異点が地球内部に落ちてしまった。
アレックスは、大企業タンゴパル社の会長ジョージ・ハットンらの援助を得て、超伝導重力波アンテナを建設し、アレックスの特異点<アルファ>が核内で蒸発しつつある一方、別の誰かが作った成長しつつある特異点<ベータ>(コズミック・ノット)を発見。この重力波走査が特異点と共振して地震を引き起こすことも知る。
この重力波走査は、テザー型宇宙ステーション<レーガン・ステーション>(通称、エレウォン)に秘密裏に持ち込まれていた特異点とも共振する。最後のコロンビア級スペースシャトル<プレアデス>の女性船長テレサ・ティカナ大尉は、<エレウォン>の崩壊に遭遇し、そこで研究に従事していた夫を失う・・・。。
モホロビチッチ不連続面、マントル内のホット・プルームとコールド・プルーム、磁場逆転などの話題が登場する。マントル・核境界の超高温超高圧域で超伝導現象が生じる設定になっている。
太陽エネルギー崇拝の<ラーの使徒>、環境技術と産児制限を推進する穏便派の<ガイア教会>、開発を全面否定する過激派の<ネオ・ガイア主義者>、遺伝子操作によって人間の捕食者を作りだそうとする<シュクリー主義者>などざまざまな宗派、思想グループも登場する。
本作品は、「ガイア仮説」をさまざまな切り口で捉えている。中でも『「競争」と「共生」は表裏一体』という関係を、地球システムや生態系のみならず、脳の神経細胞や社会・経済システム、さらには、ネットワークにまで見出すところが興味深い。
=>デビッド・ブリン作品紹介(O.C.T.さんの渾沌の庭 研究所)