星野之宣の地球・海洋SF作品紹介

■星野之宣の地球・海洋SF作品紹介

 昭和29年生まれ。少年ジャンプ連載の「ブルーシティー」、アフタヌーン連載の「ブルーワールド」などの作品で知られ、宇宙、海洋、生物進化、古代の歴史物などを手がけている。徹底した取材と科学的知識に基づくメカ及び生物の精緻な描写を特徴とする。「ブルーワールド」では白亜紀末期の生物大絶滅やプルーム・テクトニクスを題材にしており、そのほかにも地球環境変動や生物進化をテーマとした作品が多い。

 TVドラマ化(宗像教授伝奇考)、創作バレー化(ヤマタイカ)された作品もあり、代表作の「2001夜物語」など多くの作品が英語、中国語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、タイ語に翻訳されているなど、国内のみならず海外でも根強い人気がある。

 星野之宣氏はサブマリン707など小澤さとる作品のファンでもあるらしい。

<2004.2.26、NHK BS-2 23:00〜「BSまんが夜話」で星野之宣「ブルーシティー」>

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2004年7月27日更新

●「太陽惑星イカルス」(1975、週刊少年ジャンプ、JUMP SUPER AGE『巨人たちの伝説』に収録)
 1987年、大気汚染雲による気温低下で疑似氷河期となった地球。太陽光を宇宙で吸収しレーザーで地球へ送るという<イカルス1号>を太陽から2000万kmの人工静止惑星(地球と太陽の間のラグランジュ点のことか?)打ち上げる・・・。

●「はるかなる朝」(1975、週刊少年ジャンプ、JUMP SUPER AGE『はるかなる朝』に収録)
 アトランティス文明の時代。大規模な地殻変動が予測され、大気圏外に一時逃れるしか人類の生存の道はなくなる。予測よりも早く巨峰アトラスが噴火を始め、約100機のうち無事脱出できたのは2機の2000人のみ・・・。

●「暁の狩人」(1976、週刊少年ジャンプ)
 ネアンデルタール人の時代に、すでに現代人と同じ進化を遂げた先行現生人類(プレサピエンス)がいた・・・。
●「はるかなる朝」(1975、週刊少年ジャンプ、JUMP SUPER AGE『はるかなる朝』に収録)
 アトランティス文明の時代。大規模な地殻変動が予測され、大気圏外に一時逃れるしか人類の生存の道はなくなる。予測よりも早く巨峰アトラスが噴火を始め、約100機のうち無事脱出できたのは2機の2000人のみ・・・。

●「葬送船団」(1976、週刊少年ジャンプ、JUMP SUPER AGE『はるかなる朝』に収録)
 大気、海洋汚染の進む地球。増大する人口。火星に第二の地球を作り出すため、5機の宇宙船で10万人の移民団が火星に向かうが・・・。


●「海の牙」(1975〜76、少年ジャンプ、78〜79、少年ジャンプ増刊に掲載。一部『イワン・デジャビュの一日』に含まれる)
 「ブルーシティー」の前編にあたる。イエルマーク艦長の息子ボビーの乗った新鋭の原潜<アクエリアス号>が遭難し、イエルマーク艦長がオンボロ第二艦隊予備潜水艦<ユーラクロン号>で救出に向かう。そこで出会った巨大生物は・・・。

●「ブルーシティー」(1976、少年ジャンプ連載。JUMP SUPER COMIC)
 強力な突然変異を引き起こす謎のウイルスによって人類が絶滅に瀕し、それに対抗する人類自決指令によって地上・海上の人類・生物が全滅。人類自決指令とは、細菌を殲滅して海の生物を助けるために、地上2万mで水爆を大量に爆発させてオゾン層を破壊するというもの。残されたのは実験海底都市<ブルーシティー>の若き科学者2万人と子供10人。
 オゾン層破壊に伴って海面が30m上昇し、深海生物が移動を始め、太古から生き残っていたさしわたし500mもの海魔<コノドント群体>が<ブルーシティー>を襲う。さらに水棲人類計画という恐ろしい陰謀が・・・。謎のウイルスは人類を水棲人化しようというドクター・ジェノサイトが放った病原体G7だった。
 <ブルーシティー>は太平洋マーシャル諸島南方の水深200mの海底に建設され、外壁全面にサンドイッチ状にマイナス190度の液体酸素が密閉されていて、浸水した海水をただちに凍らせる。
 そのほか、原子力潜水艦<プテラスピス号>(イエルマーク艦長)、マンガン、ニッケルなどの鉱物採掘ロボット<ダイノテリウム>、潜水艇<イソテラス>、特殊潜水艇<ノーチロイド>、無人飛行探査機<ラムホリンクス>、宇宙ステーション<ホリゾント>、海上基地が登場する。ちなみに、プテラスピスとは初めて淡水に適応した魚種の名前だそうです。

=>ぎんぎんたいむ(GINGINさんのサイト)>大海原へ(プテラスピス号とイソテラス号)

●「バトルブルーPILOTS」(1984、星野之宣、「星野之宣SF作品集成T [CONTINENT]」 (光文社コミック叢書“シグナル” 14)に復刻収録)
 ブルーシティーの続編。オゾン層破壊から8年後の1997年。ドクター・ジェノサイド・水棲人類(アクエイリアン)旧米海軍の原子力空母3隻を中心とする南極の凍結艦隊がついにバトルシティー殲滅に動き出す・・・。
 新鋭潜水艦<ポリプティラス>(イエルマーク艦長)、小型潜水艇<ディプロカウルス号>(船縁令、アーサー、スカル・ホイザーが乗り組む)、<ドレパナスピス>(ニュー・マーメイド部隊のキャプテン・アテナ、ディアーナ教官、亜希が乗り組む)が登場する。未完で終わっている。
ロゴス司令官、船縁信一郎教授(ブルーシティー計画責任者、令の祖父)、杳子(司令官の秘書)、船縁美香(令の妹)

絶版本を投票で復刊!


●「巨人たちの伝説」(1977、週刊少年ジャンプ/1988、創美社発行・集英社発売、JUMP SUPER ACE)
「燃える第五惑星」:
 古い方からギュンツ氷期、ミンデス氷期、リス氷期、ウルム氷期という4つの氷期のうち、今から6万年前。最終氷期であるウルム氷期(第4氷河期)を迎えようとする時代。地球上には人類の祖先たち、そして低重力の地域には超能力を持った身長6mに達する巨人族タイタンがいた。地球の北極と南極には地獄穴タルタロスというブラックホールが存在し、その移動が氷期を招いている。タイタン人たちは世界中にピラミッドを建設して精神力を増幅させ、太陽の一部を使って火星と木星の間に燃える第五惑星を作り、再び春をもたらそうとするが・・・。「氷期」を「氷河期」と呼んでしまっている。
「巨人への道」:
 現在の地球。第五氷河期を迎えた地球は、北極の大地軸孔の周りを24のピラミッド型の極基地(ポールベース)を建設し、「木星爆発計画」を行おうとする・・・。

●「水のアマゾネス」(1977、週刊少年ジャンプ、、JUMP SUPER AGE『はるかなる朝』に収録)
 考古学探検隊が白人国カラの遺跡、黄金都市マノアを探し、アマゾンの「緑の魔境」と呼ばれるマッド・グロッソにやってくる。そこには淡水ザメ、ピラニア、アナコンダが棲む。金でできている弓を構える女の巨大な像を発見・・・。

●「ホワイト・アウト」(1979、漫画アクション増刊スーパーフィクション2に掲載。JUMP SUPER AGE『はるかなる朝』に含まれる。)
 ウェゲナーの大陸移動説が発表された1912年、英スコット隊の5名は南極点に到達するが、ノルウェーのアムンゼン隊に負けたことを知る。帰路で視界ゼロのホワイト・アウト現象に会い、隊員の一人エバンスがとっくに帰国したはずのアムンゼン隊の犬ゾリを見る・・・。

●『残像 AN AFTER IMAGE』(1980、ヤングジャンプ掲載、MF文庫「残像」に収録)
 昔の恋人が月面で死亡する。残された写真に、2億年前のパンゲア超大陸が写ったものが・・・。

●「世界樹」(1981、ヤングジャンプ掲載。『残像』(00年、MF文庫)に含まれる。)西村屋選
 ドライアイスの雪が降り、零下128度の火星の北極冠。発熱潜氷艦<ルンディング>が永久氷冠に眠る太古の木を発見する。一方、オリンポス火山を震源とする地震が増加する。実はロシアの研究グループが原爆を使って火山を噴火させ、大気中の炭酸ガスを増大させる「バルカン計画」を密かに進めていた。北半球の巨大火山群が連鎖的に噴火を始め・・・。
 同様のアイデアで、南極大陸氷床約4000メートル下の地底湖ボストーク湖や、エウロパの分厚い氷の下の海洋の探査を行う構想が日経サイエンスで紹介されたことがある。小惑星帯由来のアミノ酸に着目しているのが凄い。
=>南極地底湖古代生物とNASA(TODOさんの"からしら萬朝報"より)

●「美神曲」(1981、ヤングジャンプ掲載、MF文庫「残像」に収録)
 金星の90気圧、気温477度の大気中を潜航するバチスカーフ型の連絡船<ヴェルギリウス号>が登場。

●「2001夜物語」(1984-1986、星野之宣)
・第3夜「豊饒の海」:パレットの弟リーは、月の「豊かの海」で20億年以上前に衝突した巨大隕石の発掘作業を行っていた。そのリーが行方不明となり、パレットは発掘場所である巨大な空洞を降りていく。そこで知った弟の発見したものとは・・・。

・第10夜「明日を越える旅」PART II「地球からの贈り物」:冥王星軌道の向こうに魔王星の反物質が発見されて30年後、くじら座タウ星の第2惑星オズマに到着したロビンソン財団は、岩盤を粉砕し海水を散布し強化微生物を増殖させる。300年後に到着するはずの者たちへの贈り物として・・・。

・第12夜「見知らぬ者たちの船」:惑星プリラII。惑星直径の1/3を占める大クレーター「サイクロプス」が唯一の海を形成している。大気には酸素がなく、海水は塩酸に近い。細菌さえ発見されていない惑星・・・。地球それ自体が巨大な超生命とする「ガイア説」が登場する。

・第13夜「共生惑星」:22世紀、大進出から27年。みずへび座ベータ星第5惑星。風に乗って浮遊する風船生物は、菌類と共生することで酸素と水素を得ている。エウロパ大陸全域をはびこっている菌類や有害生物を焼き尽くす作戦が提案される。コロニーの実験室が菌類で汚染され、それに感染した研究者たち・・・。リン・マーグリスの「共生説」をテーマとした作品。

・第19夜「緑の星のオデッセイ」:レーザーで推進される高速体が発見される。レーザーの発信源は人類未踏のオリオン座赤色巨星ペテルギウス第2惑星。探査に向かった宇宙船オリオン号は膨大なエネルギーのレーザーが発射された衝撃で不時着する。惑星上をレーザー発射地点まで向かう隊員たち。食肉植物、集光した光を地下茎で地下に送る植物、ナトリウムと水の反応を利用して動物を殺す植物。ついに見たレーザーの正体とは・・・。

●『ヤマタイカ』(1986〜91、COMICトム連載、潮出版社の希望コミックス、全6巻)
 伊勢湾台風クラスの巨大台風を観測する気象観測船<南海丸>(大型気象レーダーを搭載)。その前に巨大な銅鐸が飛来、巨大台風は消失する。太平洋戦争で沖縄決戦を前に沈んだ大和が浮上し、沖縄の米軍基地を砲撃するというクライマックスから物語は始まる。
 その一年前、沖縄の鳥島が噴火した日に物語は遡る(琉球大の名物教授である木村政昭さんの名前が「木村正明」でちらっと出ている)。沖縄本島・斎場御嶽(せーふあうたき)の東方沖、久高島は古来、アマミクが降臨した「神の島」と呼ばれ、最も霊威高き神女の島とされてきた。そこで60年に一度の秘祭「ヤマトゥ・祭(マテイ)」が行われようとしている。
 琉球神話と日本神話の関係を解き明かすために斎場御嶽を訪れた熱雷(あたらい)草作と息子の岳彦は、そこで久高島のシャーマンの血筋である以耶輪(いざわ)家のひとり娘、神子(みわこ、20才)と出会う。熱雷親子はその地下洞窟で古代船と角の付いた冠(伊耶阿摩美(いざあまみ)の冠)を発見。その時、神子はアマミク/マフイカ/フィミカに語りかけられ、生命が大地の炎の中から誕生したことを教えられ、”力”を与えられる。突如襲った地震で古代船は神子と銅鐸オモイマツカネを乗せて地下洞窟から出て久高島に。
 久高島に渡った熱雷親子。実は、神子はその母と草作との間の娘だった。ヤマトゥ・祭が行われ、神子は1700年ぶりに女神アマミクの後継者となる。草作はアマミクと日本神話のイザナギの類似性に気付く。神子らは巨大銅鐸オモイカネを探すために、”火の国”九州の阿蘇・中岳に向かう。そこでは巨大な鋳型の発掘調査が行われていた。火山活動が活発化、神子らに敵対する四天王(広目、持国、多聞、増長)に出会う。草作は火山を崇拝する縄文人の最後の国が邪馬台国とする「火の民族仮説」を唱えている。

●『ベムハンター・ソード』(1987〜90、講談社)
(FILE 3:母なる海の星)鯨座β星の第2惑星「ステラ・マリス」に全長700m、重量数十万トンの海魔『レヴァイアサン』が登場する。
(FILE 5:HOT SPOT)惑星ロスアラモスに天然の原子炉をエネルギー源とする「原子力生命圏」が発見される。サンゴがウランの濃縮工場の役割を果たし、体重10トンの『ヘビーメタル・クラブ』が制御棒の役割を果たすことで安定が保たれていたが・・・。
(FILE 7:生物祭)3個の恒星に照らされる惑星「バーミリオンVII」は凍結している両極の”極海”以外は、ごく短い雨季を除いて乾季が続く砂漠地帯。極海周辺の砂の下には生物を含む泥土層が広がる。その極海で大規模な解氷が始まる・・・。『砂龍』が登場。
(FILE 8:ラグーンの彼方)サラトガ星系巨大惑星サラトガIVの衛星ベータ。浅いラグーンで進化した両生類は何十マイルもの砂漠を越えて森林地帯に到達することができない。巨大惑星による潮汐力が最大となる”超大潮”が1万年毎に訪れる・・・。全長10mの海空両棲類『スカイ・スラッグ』が登場。

●「アルガ」(1990、星野之宣)
 大西洋バミューダ沖水深100mの海底居住基地<オセアノートIII>では、人類に残された最後の大食料源である巨大な食用コンブや改良した海藻の養殖の研究が行われている。水深450mの粘土層から採取した胞子が成長して海藻『アルガ』に。アルガは6500万年前に棲息していた・・・。単行本化されていない。

●『滅びし獣たちの海』(1990、ビッグコミック・オリジナル掲載)
 第2次大戦中、過酸化水素を酸化剤とするワルター・タービン搭載、8基の中距離弾道弾を搭載する試作潜水艦V100<ベーオウルフ>、ドイツ海軍の大戦艦<ビスマルク>、が登場する。<ベーオウルフ>は弾道弾発射筒の故障により行動不能となり、海流によって海の底の自然トンネル内を流され、英国内のある湖に浮上する・・・。

●「ブルーホール」(1991〜92、ミスターマガジン連載。ミスターマガジンKCデラック、講談社)西村屋特選!
 1938年に古代魚シーラカンス(ゴンベッサ)の生息が発見されたマダガスカル近海(コモロ諸島)に、白亜紀に繋がる「ブルーホール」が発見される。大渦巻に巻き込まれて白亜紀に漂着した主人公たち。その近くには、カンブリア紀に繋がる世界樹(海藻の群体)とブルーホールも発見される。ところが、6500万年前に衝突して恐竜を絶滅させた小天体(直径10km、質量1兆トン)が接近しつつあることが発見される。小天体衝突は、ブルーホールを通じて現代にも及ぶ恐れが・・・。
 海洋調査船<セーシェル>(潜水艇を搭載)、双胴型の調査船<クロノス>(潜水艇<DS-1>、探査ロボットを搭載)、深海調査艇<ウオールラス>、英国原潜<カンブリア>、米国原潜<エントラダ>が登場。シーラカンスの密漁をしていた主人公の娘の名がガイア・ナギリ。
 白亜紀末期の生物として、アンモナイト、モササウルス、プレシオサウルス、ケツァルコアトルス(翼竜)、ウェイチセチア(植物)、マイアサウラ(草食恐竜、ハドロサウルスの一種)、ティラノサウルス・レックス、トリケラトプス(ツノ竜)、ステノニコサウルス、デルタテリジウム(哺乳類食虫目)、エラスモサウルス、コリトサウルス、プロトサウルス(モササウルスの一種)、ディノニクス類(肉食竜)、ハドロサウルス(草食竜)、ディノスクス(ワニ)、ラムベオサウルス(ハドロサウルスの一種)、アラモサウルス・フィデー(ディプロドクス類、カミナリ竜)、パキケファロサウルス、アルケロン・イスキロス(カメ)、ハドロサウルス類ラムベオサウルス亜科パロサウロロフス、サラソメドン(首長竜)、スティコラサウルスが登場。
 白亜紀前期の生物として、クロノサウルス(肉食海竜)が登場。
 古生代の生物として、シーラカンス、三葉虫、オルトケラス(オウム貝)、ディニクティス(甲冑魚)、ミクソプテルス(海サソリ)が登場。

●「ブルー・ワールド」(1995〜98、アフタヌーン連載)西村屋特選!
 ブルーホールの続編。現在のマダガスカル(コモロ諸島)沖から白亜紀末期のバミューダ(バハマ諸島)沖に繋がるブルーホールが封鎖され、新たに現代のネス湖で1億4500万年前のジュラ紀末期カルー地方に繋がる第2のブルーホールが発見される。
 その後、大掛かりな前線基地が作られるが、地磁気の弱まりによってブルーホールが閉じられ、現代に帰ろうとする原潜が大爆発を起こす。ジュラ紀末期に残された人々は、別のブルーホールに向かってパンゲア超大陸横断の旅に出発する。現代側では、バミューダ(バハマ諸島)沖に発見された3番目のブルーホールからカンブリア紀を経てジュラ紀末期に救出に向かおうとする試みが続けられる・・・。
 白亜紀末期に、メキシコ湾ユカタン半島に小天体が衝突する同時期に、ちょうど地球の裏側のインド半島で大陸洪水玄武岩が形成(デカン高原)されたことに着目しているのが凄い。もっと凄いのは、もし小天体衝突が中心核に影響を及ぼし、ホットプルームを上昇させたとすれば、地表面に到達するまでタイムラグがあるはずとする点。
 ジュラ紀末期の生物:ランフォリンクス(翼竜)、クリオリンクス(翼竜)、プレシオサウルスの一種、アロサウルス(肉食恐竜)、ディプロドクス科パロサウルス(竜脚類、草食竜)、ケントロサウルス(草食竜)、ユタラプトル(肉食竜)、始祖鳥、プラキオサウルス科ギラファティタン(竜脚類)、メガロサウルス(獣脚類)、ズンガリプテプルス(翼竜)、オウラノサウルス(鳥脚類)、プリオサウルス、ブラキオサウルス・プランカイが登場。
 カンブリア紀(5億7千万年前)の生物:アノマロカリスが登場。

●「スターダストメモリーズ」(1992-93)
Vol.2[木霊の惑星]:惑星ジェミニII。30年前に訪れた探検隊が実験開発のため地球産の植物種子を大量に持ち込むが、シャトルの故障で全員死亡。記録では陸地には微生物程度しか進出していないはずだったが、豊かな植生が発達。存在していないはずの動物さえいた。いずれも不気味で不完全な動物だった・・・。生命進化の共時性説が登場。

Vol.3[メリー・ステラ号の謎]:惑星ベガC-2の探査によって、かつて存在した生命体が高温によって絶滅していたことが明かとなった。落胆する隊員たちの前に直径約30mの球体が現れる。その内部には驚くことに生態系が・・・。進化の共鳴説が登場。

Vol.4[射手座のケンタウロス]:惑星サジテリウスα-II。不死の生物”ケイロン”が存在するという伝説を確かめにハンターたちが送り込まれるが、何者かに襲われて全滅する。”ケイロン”を人間に応用して不死を得ようと新たな探検隊が到着する・・・。共生寄生関係が登場。

Vol.5[鯨座の海]:鯨座の赤色巨星オミクロン星、別名”不思議な星(ミラ)”第2惑星。一年周期で変光するミラのせいでいかなる生物も存在しないと思われたが、未知の電波交信が探知される。しかし、上空の熱気層によってどこまでも続く塩の砂漠と奇妙な岩山だけしか見出されなかった。ところがその熱気層に異変が・・・。

Vol.6[セス・アイボリーの21日]:生命調査船<リンク>は惑星リンデンに接近中、積んでいた実験用種子が異常成長し始め原子炉事故を招いた。不時着したシャトルの唯一の生存者は21日後に到着するはずの救援を待つ。ところが、その星ではあらゆる生物がみるみるうちに成長し、生存者は自分がたった2日間で10年も老化することを知る・・・。

[大いなる回帰]:2060年に回帰するハレー彗星。金星を周回する研究ステーション”イシュタル”では接近するハレー彗星を観測しようと待ちかまえる。ところがハレー彗星は2134年に地球と衝突する恐れのあることが判明し、核ミサイルによりハレー彗星を太陽に向かう軌道へと変えることが決定される・・・。彗星が生命起源物質を運んだとする「宇宙胚種説」が登場する。

●「レッドツェッペリン」(1994、ミスターマガジン掲載、『滅びし獣たちの海』に含まれる)
 米原子力潜水艦<ノーチラス号>が北極点浮上を試みるが、ソ連の潜水艦、爆撃機、原子力砕氷空母<レッドツェッペリン>がその行く手を阻もうとする・・・。

●「罪の島」(1996、コミックバーガー掲載)
 海洋調査船<マラコット>がカムチャッカ近海で座礁・転覆。ある島に漂着した乗組員たちは破壊された研究施設を発見。そこでは絶滅したと思われた『ステラー海牛』の復活させ食糧資源とするため、遺伝子操作による巨大化実験が行われていた・・・。

●「海の獅子」(1997、コミックBIRZ掲載、『エル・アラメインの神殿』に含まれる。)
 第2次大戦中、米国潜水艦<シー・ライオン>が登場するらしい。

●「ムーン・ロスト」(2002月刊アフタヌーンで連載、2004講談社アフタヌーン・コミックス)西村屋選
 201X年、月面のアルテミス基地と粒子加速器ルナトロンが完成。その時、全長15kmの小天体が地球への衝突軌道に。フロスト博士の膜宇宙仮説に基づき人工ナノ・ブラックホールを大量にぶつけることでその軌道を変えようとするが、予測を裏切り、小天体は月に・・・。
 月を失って15年後、極点は40度以上移動し、米国が新たな北極に。地球環境を安定させるために木星の衛星エウロパを第2の月とするために、粒子加速器ユピトロン、宇宙船カドモス、キリスク、ポイニクスが出発する。米国が北極に位置したまま地軸が安定化することを恐れた米国は・・・。

 地軸傾斜角はあまり変わらずに、極点となる地球上の場所が移動する設定となっている。米国が北極、インド洋が南極という状態を考えると、大陸河川の流入で表層が低塩分になる現在の北極海に比べて、インド洋(新南極)はより海氷ができにくそう。一方、米国(新北極)は現在の南極大陸のような周回流に囲まれていないので、やはり、比較的温暖で、北米大陸上の氷床は(地軸が安定化した後でも)かなり不安定そう。全体的には地球は温暖化すると思われる。言い換えれば、現在の地球がいかに低温化しやすい大陸配置だというのが再認識させられた。

 地球に持ってきたエウロパの海氷はたぶん溶けにくいだろう。雪球地球説で言われたように地球軌道あたりではいったん全面氷結したらアルベド(反射率)が高くて凍結したままということですから。だからエウロパの海は地球軌道でもなかなか失われないと思われる。
 一方、木星の潮汐力がなくなったのでエウロパ内部は冷却が進行しそう。熱水噴出をエネルギー源とする化学合成生態系は早いうちに光合成生態系への移行・適応が迫られそう。

=>星野之宣氏のムーン・ロストに関して(制作協力したNOB@相模さんによる解説)


■リンク集
=>(行方不明)星野之宣データベース(畑コウイチさんのサイト)*

=>STAR FIELD(榎さんのサイト。星野メーリングリストの管理人)*>星野メーリングリスト

=>漫画の館(Werdnaさんのサイト, 星野之宣の世界)【相互リンク】

=>内田@川崎ホームページ(内田@川崎さんの星野応援サイト)【相互リンク】

=>歴史とロマン(灰塵KSRさんのサイト、星野作品紹介)*

=>T's Q (Takujiさんのサイト。ウルトラQ、2001夜物語)*

=>猫@伊藤さんのページSTAR FIELD(猫@伊藤さんのサイト)*

=>HOJO's Home Page(HOJOさんのサイト。星野作品の書評あり)【相互リンク】

=>巨人たちの伝説(山岡さんのサイト。星野作品紹介)【相互リンク】

=>NOB@相模のHP【相互リンク】


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