■ノーチラス号とネモ船長−作品リスト

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2007年6月25日更新

●『動く人工島』("L'Ile a Helice"(スクリュー島)、1895、原題
 人工島〈スタンダード島〉(首都:ミリアード市、スクリューで走る。建設期間4年、鋼鉄製、面積27平方km、長さ7km、幅5kmの楕円形、人口1万人、最大2百万馬力で8ノット)が登場する。ブロックを湾内で洋上接合するというメガフロートの建造方法を先取りしている。

●『海底2万里』(1869、仏題"Vingt Mille Lieues sous les mers", 英題"Twenty Thousand Leagues under the Sea", ジュール・ヴェルヌJules Verne、角川文庫)New
 世界で最も有名な海洋SF。謎に満ちたネモ船長とその部下たち、虐げられた者を支援する〈ノーチラス号〉(正しくは〈ナウティルス〉と発音)と、それに対する国籍不明の大型軍艦、この設定が非常に魅力ある作品を創り上げた。
 科学技術面では潜水船ノーチラス、大気圧潜水服が登場。なんと海洋温度差発電への言及もある(角川文庫版:p.125)。
 海洋科学面でも多くの記述がある。海洋生物(P.111)、海洋微生物(p.193)、地質時代(p.143)、海洋の熱塩循環(p.192)、海洋大気相互作用(p.576)にまで及ぶ。特に膨大な種類の海洋生物の記述には圧倒される。これが1872年の「チャレンジャー号」による歴史的航海の前に書かれたとは、驚くほかない。

●『海底2万マイル』(1907、映画)

●『海底六万哩』(1916、米映画、監督スチュアアート・ペイトン)
 バハマでロケ。水中カメラが使われた。ダイバーと大ダコの格闘シーン。1)

●『海底二万哩』(1954、ディズニー映画、監督リチャード・フライシャー)
 タツノオトシゴ風の潜水艦が印象的。ただし実際にはワニとサメをモチーフにしたとのこと。若き日のカーク・ダグラスがネッド役。オットセイのエスメラルダがノーチラス号のペット。火口湖を持つ島、バルケニアがノーチラス号の基地という設定。初めて本格的な水中カメラが使用されたのだそうだ。
=>generalworks
=>岡田斗司夫コレクション(ノーチラス号)

●「海底二万リーグ」(1997, Hallmark "20,000 Leagues Under the Sea", ビデオ、CFD 映画製作、ジュール・ヴェルヌ原作)
 ネモ船長が単なる変質狂的人物に描かれていて、これはちょっと残念。
=>?20k Leagues- Ben Cross

●「ディープ・シー20000」(1997、Village Roadshow and Frederick S Pierce Company's "20,000 Leagues Under the Sea", ビデオ)
 海底二万リーグのビデオ版の最新作。やはり多少のアレンジがあり、なんと、<ノーチラス号>にネモ船長の娘(なかなかの美女)が同乗している。世界各地の海底で同時に爆弾を爆発させることによって、地殻変動を緩和させアトランティスの海底基地を安定化させようとするが・・・。<ノーチラス号>がなかなかかっこいい。
=>generalworks
=>?20k Leagues- Michael Caine

●「リーグ・オブ・レジェンド」(2003、米映画)
 透明人間、狼女、トム・ソーヤ、ネモ船長らヒーローたちが協力して悪と戦う。巨大なノーチラス号が登場。幅が非常に狭く、乾舷が非常に高い珍しい船型で、復元性に特別な仕掛けが必要と思われる。アルキメデス螺旋式の推進器2基。

●『神秘の島/ミステリアス・アイランド』(原題"L'Ile mysterieuse"、1874、集英社文庫)
 最後にネモ船長が登場する。

●『竜宮城』(1929、MGM映画、監督ルーシアン・ハーバアード、ジュール・ヴェルヌ「神秘の島」原作)
 90%テクニカラー・サウンド、1850年、ヘトビア王国のダッカー伯爵は深海の研究に没頭。巨大なタコやカメやドラゴンに遭遇。1)

●「SF巨大生物の島」(1961、映画、原作「神秘の島」)
=>シネマ・パラダイス

●『海底五万マイル』(Taina Dvukh Okeanov、1956、グレゴリー・アダモフ、翻訳:工藤精一郎、講談社 少年少女世界科学冒険全集 11)
 似た題名だが、ヴェルヌ作品ではなく、雰囲気も異なる作品。
 レニングラードを出航したソビエトの特殊潜水艦<ピオネール号>が、氷山に衝突して沈没した客船から脱出した少年ブニャーク・パブリックを救助。大西洋を南下し、南米と南極大陸を間を抜けてウラジオストクまで科学調査の航海に出る。
 調査目的は、深海潮流、深海動物の分布、海底の地質や地層、海底における物理的・化学的変化などを調べること。大うみへびと大いかとバラクーダの戦い、まっこうくじらと大タコの戦い、大カニの大群、プレシオサウルスが登場する。氷山に閉じこめられるところはヴェルヌ作品を彷彿とさせる。
 <ピオネール号>は赤外線偵察機(空中・海中)を両舷に、原子砲!を船首・船尾に搭載している。原子力推進ではなく、海洋温度差発電で充電する点がユニーク。速力110km/時。潜航深度12000m?。ゴム製小型快速艇を搭載。

=>ジュブナイルSFの世界

(乗組員)
・パブリック少年:ブニャーク外交官の息子
・ウォロンツォフ艦長
・ホグロフ大尉:
・クラフツォフ中尉:
・ロルド博士:動物学者。頭でっかち、ずんぐり。
・シュラービン博士:海洋学者
・むくどりくん:ひげ面の大男
・ゴレロフ:主任技師/第一機関手、大男
・ロメイコ:機関助手
・プレトネフ:無電技師
・コルネエフ:第一電気技師
・マラート:電気技師
・ツォイ:化学班
・チジョフ:第一砲手
・シドレル:写生家
・クルチツキー:潜水夫
・シチェルビン:そうじ夫
・マトベエフ
(登場生物)
・カニ、まっこうくじら、大だこ、さめ/つるぎざめ、大うみへび、大いか、バラクーダ

●『ネモ船長と海底都市』(1969、映画、ジュール・ヴェルヌ原作)
 19世紀半ば、ニューヨークから帰港中の英国船が難破する。何人かの船客がネモ船長の潜水艦<ノーチラス号>に救助され、水深1万8000m!の海底都市に連れて行かれる。そこは平和な理想郷だったが、地上に戻ろうとする乗客たちは、ネモ船長と対立してしまう・・・。

●「わが赴くは蒼き大地」(1974:SFマガジン、1976.10:角川文庫、1999:ハルキ文庫、田中光二):凄い性能の<ノーチラス十世>が登場する。=田中光二の地球・海洋SF

●「アトランティスの謎」(1978、米映画)
 ノーチラス号の中で冷凍睡眠していたネモ船長が現代に目覚め、世界を脅迫する天才科学者カニンガム教授が乗るレーブン号と対決する。核廃棄物が投棄されているミンダナオ海溝、アトランティス海底王国が登場する。
 このノーチラス号はなんと原子力推進で、潜航深度1万m、速力120ノット。電磁バリアーとレーザー・ビームとバチスカーフを持つ。デザインはダサい。

●「ふしぎの海のナディア」(1990, 小説版は、アニメージュ文庫、上「青い光を抱いたプリンセス」中「未来を夢見る大海戦」下「はるかなる高い空」、Nadia the Movie「海から来た妖精」)
 これに登場する<ノーチラス号>(実は第二世代型惑星間航行用亜光速宇宙船”エリトリウム”)とネモ船長が最もかっこよい。商船を襲ったのはガーゴイル率いるネオ・アトランティス帝国の潜水艦<ガーフィッシュ>。それに戦いを挑むのがネモ船長という設定。美女のメディナ・ラ・ルゲンシウス・エレクトラが副長。
 発明好きな少年ジャン・ロック・ラルティーグは、謎のブルーウォーター(トリス・メギストス、賢者の石)を持つ出生不明でサーカスの少女ナディア・ラ・アルウォールに出会う。グラディス、ハンソン、サンソンの3人組と万能戦車<グラタン>に追われ、ナディアの生まれ故郷であるアフリカを目指して、自作飛行機<エトワール・ド・ラ・セーヌVIII世>で逃走。海上に落下して漂流中のところ、謎の大海獣退治の命を受けた戦艦<エイブラハム号>に救助される。
 終盤でNノーチラス号が登場するが、こちらは完全に宇宙船(第四世代型恒星間航行用超ド級戦艦”エクセリオン”)。

●「ジャンとナディアのいちばん長い日」(ナディアストーリーズ1、小林弘利、アニメージュ文庫)
 ネオアトランティスとの決戦から数年後か。ナディアとジャンが結婚するという手紙がノーチラス号元機関長、息子と暮らす元副長エレクトラ、山奥の村で医療奉仕をしている元看護婦イコリーナ、グランディス探偵社のグランディス、サンソン、ハンソンの三人、学園で寄宿しているマリーたちの元に届く。ところがナディアは謎の男たちに誘拐される。彼らはアトラス人に滅ぼされたムー大陸の末裔であり、アトランティス直系のナディアと天才的発明狂のジャンが結婚し子供が生まれて凶暴なアトランティスの魂が甦ることを恐れてのことだった。記憶を亡くされて修道女となったナディアの元にムー人の中でも過激派のアザレが・・・。
 弾丸型の水陸両用・短時間飛行可能な「グランディス・スーパーカー(グラスパ)」 が登場。
=>ガイナックスの公式サイト
=>Spirit od Thanks(Masa & Naomiさんのサイト)*
=>メシェ13(Moumuさんのサイト)*
=>優輝幸司さんのサイト(ノーチラス号の素敵なCGがある)
=>a drop in the water-ふしぎの海のひとしずく(有河のぞみさんのサイト)
=>*ずっと、いっしょにいてね*(桜野れおなさんのふしぎの海のナディア非公認ファンサイト)>―万能幽霊船(?)ノーチラス号―(Siriusさんの作品)

●「ノーチラス」(2000, ビデオ)
 このノーチラスは、ジュール・ベルヌとは無関係。海洋掘削基地<プロメテウス>から、なんとマントルを超えて外核まで掘削してエネルギー資源を採取するプロジェクトがまさに到達直前の段階に。実はこれによって大規模な地殻変動を引き起こし、地球環境を破壊することに。100年後の世界からタイムマシン<ノーチラス>が送りこまれ、このプロジェクトを阻止しようとするが・・・。
 タイムマシンを潜水艦にするのは冷却のためとされているが、まあ、ズバリB級作品ですね。

●「アトランティス−失われた帝国」(2001.12公開、ディズニー)/(ラーラー・バーゲン、2002、偕成社2001、全国学校図書館協議会選定図書)
 ウォルト・ディズニー生誕100周年を記念したSFファンタジー。アトランティス伝説と地球空洞説を元にしているとのこと。「海底2万リーグ」とは関係ない。
 8800年前に一昼夜で地底に沈んだとされるアトランティス。1914年、古代言語学者のマイロ・サッチはそこに至る道を示す「羊飼いの日誌/シェファードの航海日誌」がアイスランドにあることを発見。しかし考古学会から資金が得られないところ、大富豪の実業家プレストン・B・ウィットモアが探査手段と探検チームの提供を申し出る。親友だったマイロの亡き祖父サディアス・サッチがすでに羊飼いの日誌をアイスランドで発掘していたのだ。
 探検船の船内ドックには装甲潜水艦<ユリシーズ>が搭載されている。目的の海域で<ユリシーズ>が潜航。そこは多くの沈没船が沈んでいた。巨大な海さそり型の守護神である自動機械レビヤタンに襲われ、脱出艇で逃れ、アトランティスに向かう海底洞窟に逃げ込む。
 地底世界を地底戦車で進み、ついにアトランティスの世界に到着する。
 <ユリシーズ>:船首に大型展望室があるのがうれしい。全長約114.6m、排水量18,750トン、速力19ノット、乗員201名。主機SG-28蒸気タービン(2軸、36,000馬力)、バッテリー(12時間持続)。120DH-11高性能近距離魚雷を発射する180度可動発射機12基を搭載。小型高速戦闘潜水艇<サブポット>数隻、緊急避難用潜水艦<アクア・エバック>を搭載。上陸車両は装甲掘削車両<ディガー>、避難用飛行船<ジャイロ・エバック>など。
 アトランティスの世界はこれまでの定番だったギリシアに似ないように、アンコールワットやインカ遺跡をモチーフにデザインしたとのこと。
 「天空の城ラピュタ」や「ふしぎの海のナディア」を思わせるシーンが沢山出てくる。日本アニメへのオマージュと思いたいところですが、キャラクター盗用にうるさいディズニーさんがやったんじゃ許せない!
=>ディズニー映画「アトランティス」に関する問題同盟

●「ノーチラス号の冒険」(2006-07ヴォルフガンク・ホールバイン、創元社)
 ドイツのベストセラー海洋冒険ファンタジーのシリーズ。ドイツの子供向け作品というと、なんか生真面目なイメージを持っていたのですが、なかなかのぶっとびストーリー。なんとヴェルヌの『海底二万リーグ』の続編なんです。
第1巻「忘れられた島
 ネモ船長の息子(王子)が、某王国で秘密裏に育てられ、英国の寄宿舎に暮らしている。父がネモ船長であることなどまったく知らない主人公は、ネモ船長の秘密を探ろうとするドイツの某艦長らに付け狙われる。寄宿舎の仲間とともに拉致されたところ、ネモ船長の元部下シンに救出され、ヨットで秘密の火山島に向かう。

 そこには長き眠りについていたノーチラス号があり、世界大戦が迫る情勢の中で兵器として悪用されることを恐れた主人公らはいったん火山噴火でノーチラス号を自ら葬る決意をするが・・・・。

第2巻「アトランティスの少女
 なんとノーチラス号による世界一周探検をともにしたアロナクス教授が登場する。同教授と深海潜水球を拉致したドイツの某艦長のレオポルド号は、ノーチラス号の誕生の秘密にかかわるアトランティス海底遺跡を探し出そうとする。

 ノーチラス号を操る元副長トラウトマンは木船時代の感覚のままレオポルド号に体当たりして損傷を与えようとするが、逆に損傷を受けて浮力を失い、かろうじて海山にひっかかるが、そこになんと海底ドームが存在して、そこに不思議なネコと数千年の眠りについていたと思われる美少女がいた・・・・。

第3巻「深海の人々
 ノーチラス号が超巨大クラゲに捉まり、深海のアトランティスの世界に連れていかれる。超巨大クラゲには圧力を保ったまま深海に運ぶ能力があり、そこには昔から難破船とともに連れてこられた人々と魚人が棲み分けて暮らしていた。アトランティスの王女である尊大な美少女セレナは、住民を魚人との戦いに駆り立てるが、魚人たちの領域には実に恐ろしい怪物が・・・・。

第4巻「恐竜の谷
 救難無線をキャッチしてある島に急行したノーチラス号。そこは恐竜の世界であり、しかも知性を持つ恐竜人も存在した・・・・。アトランティスの世界と同じように時空の狭間的な島でのエピソード。

第5巻「海の火
 ついに海洋大循環コンベアベルトと中央海嶺の海底火山が登場する。宿敵、レオポルド号のヴィンターフェルド艦長は息子パウルを失った悲しみと戦争を憎むあまり、気候変動を起こして戦争をやめさせようとする。大西洋中央海嶺の北部にある海底火山を大量の爆薬で噴火させ、それによって海洋大循環コンベアベルトを停止させ、それによって全ヨーロッパを寒冷化させるというものだ。中軸谷での深海の描写が迫力満点。

第6巻「黒い同胞団
 海洋大循環コンベアベルトを止め、寒冷化させるという企みを阻止する際に、宿敵ヴィンターフェルトのレオポルド号の爆発に巻き込まれたノーチラス号がかなり損傷。今回はその修理をアレクサンドリア港沖合の海底で余儀なくされる間、主人公らがカイロのホテルで休日を過ごす間に、新たな事件に巻き込まれる。
 カイロというからにはギザの大ピラミッドが登場。謎の女性レディ・グランダスミスと不吉な2人の従者が主人公らを大ピラミッド内の知られざる部屋に案内。ある場所に沈んだ重要な積荷を、ある期限内にエジプトの地下水路を通って、大ピラミッドのこの部屋に運び込まなければならないという。
 ある場所に沈んだ積荷とは、タイタニック号に積まれたものだった・・・・。

第7巻「石と化す疫病
 

第8巻「灰色の監視者
 全巻で自らの魚雷により損傷・浸水したノーチラス号。アトランティスの王でセレナの父と名乗るヴァイザー/アルゴス。前巻に登場した石化した乗組員のいる沈没船。巨大な深海鮫を含む鮫の大群。

●「コケの島」(ヴェルヌ)(「幻島の謎 : 北極奇談 (7)」(1972、近野不二男著、社会思想社、東京堂書店の現代教養文庫、ノンフィクション)で紹介されているが翻訳はないかも)
 北極海の氷山島を扱った長編。いかにもヴェルヌらしく、アラスカだかの岬と思えた場所が漂流をはじめ、漂流とサヴァイヴァルが展開って話ですね。(by 永瀬唯さん)


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