この作品を書くため、作者は関東大震災、阪神大震災などのたくさんの資料を調べており、情報が来ないということ、行政機能の喪失、指揮命令系統の混乱、その他さまざまな事態のなかで、いかに機能する救難組織を再構築し、首都を再建していくか、これを支配者である皇族の唯一の生き残りの若い女性をヒロインに、また若くして重い責任を負わされた行政官を主人公に描いている。必読の作品である!
ただ教訓めいた作品とは違って、この作品はエンターテインメントとしても十分楽しめる作品。なんせ地震の原因というのが旧地球文明の遺した・・・・・・であり、また、皇帝の唯一の継承者となった18歳の皇女と、復興省総裁という重責を担った28歳の内務省高官という反発しあう2人の関係がまたいい。
・皇帝:今上カング高皇、その4女でただ一人の生き残り皇女スミル/姫さま/ハルハミア内親王18才。帝国の摂政となる。
・元老:ただ一人の生き残りヨーシュ・クロノック公爵
役所
・中央官僚:内務省
・ジャルーダ総督府:帝国高等文官イェーツ・シマック提督58才の後継セイオ・ランカベリー(ジャルーダ総督代理、)28才。もと民生参事、のちに復興院総裁。総督府船<アマテル・フレイヤ>(1万3千トン、乗員200名あまり。グラファス・ゴント法制大参事)
・地方官僚:トレンカ帝都庁:都令ジュロー・シンルージ男爵、帝都消防庁
国会
・万民院議員:ジスカンバ・サイテン議員59才
軍
・天軍:軍令部総長カクト・ザグラム少将、ハーヴィット・ソレンス少佐27才
・陸軍:参謀本部スーザック・グレイハン臨時大将
その他
・司祭
・新聞記者
他の星系
・ダイノン連邦権統国:惑星ダイノン。首都ハリオン、レンカ帝国の仮想敵国。多数の人種が共存する民主政治。
・サランガナン専領国:惑星ドラハン、デルガン、バイネルハン、星府サランガナン。タマーリャ・ベローカ第一主席。
・バルカホーン航民国:小惑星マルカット。イル・アシュル・ハーラット国王、
・古イングレス及びゴランティス連合帝国:メイスン卿
・指揮系統を超えた連携
・共用無線周波数の設定、指揮系統を超えた連携
・所轄救助区域を越えた中域救助区域の設定
・地震直後の第一報による初動の一時保留(地震直後に連絡可能な場所の被害はむしろ軽く、そこで出動してしまうと、あとでより深刻な被害の場所に派遣する要員が足らなくなるため。)
・十時間半にわたる報道規制
・中央組織では事前の救助計画は立てず(現場から遊離する恐れあり)、現場からの要請をもとに行動する。ただし救助の前段階である要員・物資・設備の手配と移動は強力に統制する。
・5分間の静粛時間の設定:埋没者の助けを求める声が聞こえるように交通機関と動力機械を止める時間帯を設ける。
・篤志会による救助活動(特に準備段階と復興段階でより有効)
・補強工事
・火災対策としての旗竿と鐘。
・防災活動者(消防隊員、救急士、医師、警察官、軍人)の横断的な会合
・ライフライン指定建築物の規格制定。
・震災の経験と教訓についての小冊子の全戸配布(配給チケット付き)