■水上船舶

 

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2005年5月3日更新

●「CVAN65(エンタプライズ)日本海に死す」(1973、光瀬龍、「丸」誌昭和48年7月号)
 濃霧に閉ざされた日本海。
 偶然発生したソ連長距離哨戒機の墜落を巡って錯綜する情報。
 先入観と情報の錯綜による混乱、突如として『エンタプライス』に加えられる攻撃。
 そして迎える恐るべき真相・・・。
 ちなみに、前半は各種報告書からの引用、後半は証言・著作からの引用と言う形を取っており、そのテンポとも相俟って作品世界に引き込まれて行きます。(by MOON○LIGHTさん)

●「飢えた海」(1978、ウィルバー・スミス、1995文春文庫)西村屋選
 技術者が主人公で活躍する海洋SFは少ないが、本作品はその貴重な作品のひとつ。海洋冒険モノではあるが、現実には存在しない100万トン・ウルトラ・タンカーが登場するという点ではSFといえる。
 主人公ニコラス(ニック)・バーグ39歳は、夏への扉の主人公ダニーと似た境遇。ダニーは良心的かつ革新的なロボット技術者として優良ベンチャー企業を起こしながら、恋人と共同経営者に裏切られて企業から放り出される。優秀な造船設計者でありサルベージ専門であるニックの場合も、小企業のサルベージ会社クリスティー・マリーン社を英海運業ビッグファイブに育て上げながら、美しい妻シャンテル・クリスティーの浮気相手の共同経営者ダンカン・アレクサンダーに会社から追われ、一隻(+建造中の1隻)のサルベージ・タグを所有するオーシャン・トウイッジ・アンド・サルベージ社の船長兼経営者に落ちぶれる。

 ところがこのニックが設計したサルベージ・タグ<ウォーロック>と姉妹船<シー・ウィッチ>が凄い。型鋼と強化ガラスで造られた上部構造物、タンカー火災に耐える防火構造と毎時1500トンの放水銃、ミニ・ヘリポート、ディーゼル主機2基、可変ピッチ・プロペラ2軸、2万2000馬力、荒天中で28ノット。
 さて、クリスティー・マリーン社のアドヴェンチャー・クルーズ船<ゴールデン・アドヴェンチャラー>(船員235人、船客368人)が南極ウェッデル海で氷山と接触し、機関室に浸水、漂流状態となる。このままでは南極沿岸に座礁し、乗船者は南極という極寒の海に救命艇による脱出を余儀なくされる。<ウォーロック>は先行する老練な仏タグ・マン、ジュール・ルヴォワザン船長の<ラ・ムエット>を出し抜くという無謀な賭けに挑む・・・。
 サルベージ・タグと漂流船の船会社との駆け引きが面白い。サルベージ・タグにとっては漂流中の船を曳航する場合なら”救助なくして報酬なし”ロイズ・オープン方式が有利であり、失敗するリスクが高い座礁した船の救助なら日雇い契約を狙う。一方、船会社としては逆を狙う。いよいよ危険な状態になった場合は、船長が船会社の判断を仰ぐことなくサルベージ契約を結ぶことができる。
 <ゴールデン・アドヴェンチャラー>には24歳のマイアミ大海洋生態学特別研究員のサマンサ・シルヴァー博士が特別ガイドとして乗り込んでいた。サマンサと乗客を乗せた救命いかだは氷の断崖の崩落に巻き込まれ、氷海からただ一人ニックに救助される。
 ニックが設計した百万重量トンのウルトラ・タンカー<ゴールデン・ドーン>は、コンストリュクシオン・ナヴァル・アトランティック造船所で建造。全長1マイル半近く。船体の高さは五階建てのビルに匹敵。積載能力25万トンの自力航行可能なタンク・ポッドを四つ主船殻に結合し、4つの推進器、8つのボイラーと冷却器を有する。しかしダンカンはコスト削減のため、単一ボイラー、推進器も固定ピッチ1軸とした。最高経済速度22ノット。この<ゴールデン・ドーン>で2千から4万ppmもの高濃度カドミウム硫化物を含有する原油100万トンをペルシャ湾奥のエル・バラス油田から喜望峰、メキシコ湾ガルヴェストンまで運ぶこととなった。そこに巨大なハリケーン”ローナ”が・・・。

●「ノーラの箱船」**(1979、御厨さと美、奇想天外コミックス)
 1991年、ペルシャ湾上、世界最強の巨大空母<魔王号(アーティフィーンド)>(通称ビッグ・アーティ)にDNA(米国防総省防衛核兵器局)査察官ノーラ・スコラ中尉たちが乗り込む。<ビッグ・アーティ>は衛星軌道MIRV(各個誘導多弾頭)ミサイル15基、衛星高度戦闘機36機、偵察機5機、通常型戦闘攻撃機67機、哨戒機16機、レーザー連動式レーザー砲、対電磁防御ECCM、対潜ミサイルを搭載。さらに、全軍指揮機能をも持つ「ブラック・ボックス」−超伝導利用の巨大電子頭脳−がが密かに設置されていた。
 ノーラたちはその<ビッグ・アーティ>をシージャックするが、全軍指揮機能を発揮し始めたブラック・ボックスはデータ導入が途切れると自爆することがプログラミングされていた。ノーラはブラック・ボックスに自爆させないよう会話を続ける・・・。
=>NORA(御厨さと美私的ホームページ)

●「ウェーブライダー(Wave Rider)」 (1979、ロイ・トーゲンスン、Chrysalis、翻訳:中村 融、S-Fマガジン、1990/9)
 世界最速の帆走船・人工知能ヨット<ウェーブライダー>でスピード記録に挑む男は、パーフェクト巨大風波に挑み、伝説と化す。
by 少年少女海洋冒険物語(sayalautさん)

●「ファイナル・カウントダウン」(1980、米映画、カーク・ダグラス、キャサリン・ロス出演)New
 一言で言うと「グラマン社の宣伝映画」もしくは「アメリカ版戦国自衛隊」。
 ハワイ沖で訓練中の空母『ニミッツ』が突如妙な嵐に遭遇。数刻後、何も無かったかのように海は穏やかさを取り戻す。けれどもデータリンクは沈黙し、入って来るのは短波の懐メロ特集ばかり。パールハーバーに飛んだ偵察機の撮った写真には旧式艦が多数停泊する姿が写し出されており、傍受したベルリン放送は「クレムリンを望む地点まで侵攻」と伝えている。
 そして哨戒中の<F-14>は、旧式のクルーザーを攻撃する悪鬼の如き形相の日本人が操縦する2機のSNJに似た零戦を発見。指示を求められた艦長は遂に零戦攻撃を下令する。救助されたクルーザーの乗員はF.D.ルーズベルトの後継が確実視されながらパールハーバー攻撃直前、行方不明になった上院議員とその秘書。更に零戦の操縦士の持ち物などから『ニミッツ』が航行しているのが1941年のハワイ攻撃直前であると判断されることとなる。
 『二ミッツ』の戦力を以ってすれば日本機動部隊の攻撃は容易いことではあるが、それでは歴史に介入することとなってしまう。対応に悩んだ艦長の下す決断は・・・、そして『ニミッツ』は元の時間に戻ることができるのか・・・?
 この時点では新鋭艦であった本艦もいつの間にやら30年前になってしまいました。(by MOON○LIGHTさん)

●「硫化海流」(1980-81、御厨さと美、月刊マンガ少年連載、NORA<ノーラ>(サン・コミックス朝日ソノラマ、全2巻)に収録)
 ノーラ・シリーズ。その他「ノーラの流れ星」、「トゥインクル・ノーラ <THE TWINKLE NORA>」(1984、笠倉出版社、全1巻)がある。
 「硫化海流」は海洋が異常によって硫酸化する話らしい。<ゼノビア号>が登場するらしい。

●「電子帆船ジェットウインド」(1981、A Ravel of Water、ジェフリー・ジェンキンズ、ハヤカワ文庫NV、1982)
 17000トン、船長150m、幅21m、深さ9m、高さ53mの中空円筒形の無索具回転式マスト6本。翼型帆装(エアロフォイル・リッグ)。ダクロン製の帆は縦方向に5段分割されているが、展帆した状態では1枚の翼のようになる。風力9で22ノット。展帆・縮帆作業は人手に寄らず水圧装置で30秒以内で遠隔操作できる。人工衛星を用いた気象航法(ウェザールーティング)を採用。

 なぜか日本無線製の衛星航法装置とか日本電気製の深海用音響測深機とかも登場。

 ストーリーは、フォークランド紛争(この本の出版直後に戦争が勃発)を英国側、西側から書いていて、アルゼンチン/ソ連の陰謀に巻き込まれ、それを打ち破るみたいな話。
 これに南極大陸から棚氷が切り離された巨大氷山トロールトンガが絡む。また、ヨット単独航海で新記録を樹立した直後の新任船長と、美しい女性縫帆長の関係も盛 り込まれている。

●「レッドサン・ブラッククロス 死戦の太平洋」(1993-2002、佐藤大輔、中央公論新社、徳間書店)New
 ナチス・ドイツと日英同盟が世界を巻き込んだ戦争を行っている世界。既に英本土はドイツに蹂躙され、英王室と政府はカナダに逃亡。それを追うドイツ軍は反英のフランス系カナダ人を扇動、大西洋を渡ってカナダ国内で日英軍と激烈な戦闘を繰り広げていた。また、ドイツの反応弾攻撃により政府機能を喪失した合衆国は混乱の極みにあり、既に国家としての呈をなしてはいなかった。
 そんな中、日本からカナダに戦略物資を輸送する船団と、その護衛を担当する型も大きさも異なる英日混成の4隻の駆逐艦と1隻の護衛空母。一方、その船団を阻止すべく占領下のパナマから出撃する狼群。かくして北太平洋上で両者は互いの死力を尽くして対峙することとなる。
 架空の世界で、かつ護衛部隊指揮官の階級が1巻では大佐のはずが何故か2巻では中佐ときされるなど変な混乱はあるものの、日本人の手になるものとしてはかのフォレスター著「ソナー感度あり」にも匹敵する作品となっている。(by MOON○LIGHTさん)
=>佐藤大輔ページ

●「第七の空母」(1993-95、ピーター・アルバーノ、トクマ・ノベルズ、全5巻)New
 『大和』型4番艦として何故か最初から空母として建造された『米賀』は、これまた何故か1番艦よりも先に就役し、ハワイ攻撃に旗艦として参加すべく指揮官の藤田大将座乗の下、出撃する。しかし船体が巨大すぎたため、機動部隊の集結地点である単冠湾ではなく特別に指定された待機地点であるカムチャツカに向かったが、そこで氷河の崩落に遭遇、単艦湾内に閉じ込められてしまう。
 40年程経った頃、地球温暖化の影響で海面が開け『米賀』は任務遂行のため行動を開始する。いろいろあった後、『米賀』が東京湾に帰還するのと時を同じくして、中国が打ち上げた人工衛星が故障でジェット・ロケット等の熱源に向けて片っ端からレーザーを発射するようになったため、世界の軍事力バランスは一気に変動してしまう。
 そこに目をつけたのがリビアのカダフィ大佐。各国の軍事博物館からレシプロ軍用機を買い集め一挙に中東制圧を企む。一方、多数のレシプロ機を有する『米賀』は世界屈指の軍事力として君臨することとなる。天皇陛下の命を受けて『米賀』はカダフィの機動部隊と対決するため出撃する・・・。
 タイムスリップが絡まないので、100歳を超える藤田提督以下乗員はじいさんばかりですが、みんな「真の日本人」であるため勇猛果敢に戦います。また、最近は「悪の枢軸」にも入れてもらえずすっかり影の薄いカダフィ大佐ですが、この作品では堂々と敵役を張ってます。(by MOON○LIGHTさん)

●「生存の図式」(ジェイムズ・ホワイト作)
 沈没船SF。
=>復刊ドットコム

●「オイル・タンカー炎上す」』(ブライアン・キャリスン、ハヤカワNV)
 作者は『無頼船長トラップ』シリーズで有名な海洋冒険モノのオーソリティ。
 イギリスの港に停泊中のタンカーが、嵐で構造崩壊し爆発するまでを克明に描いた異色のフィクションです(実際にあったタンカー事故を調査して書き上げたとか)。
 登場人物が織り成すドラマは全くなく、ただひたすらにタンカーの構造を解説し、それが経年劣化から崩壊して行く過程を克明に描写しています。船に関する物理的なドラマ以外なにもありませんが、『渇きの海』などと共通するハードSF風味のインパクトにグイグイ引っ張られると思います。
 高校時代に読んだのですが、創作においても役に立ってくれています(by エスねこさん)
=>amazon

●「ドス・アギラス号の冒険」(1991、椎名誠 作、たむらしげる 画、偕成社)
 ボクス船長と歴史学者・群島生物学者のコロンバス博士は、ドス・アギラス号(三羽の鷲の意味)で冒険の旅に出る。風を吸い込んで背後に激しく吹き出す<<オムの回転帆>>を動力とし、揺れをなくす螺旋舵、くいつきアンカーを装備し、4人の武装船員を率いている。
 目的地は南オクトパス諸島のヌル海峡に面するガブリエール島。秘境中の秘境として名高いその島の奥地に隠された翼のある卵「飛び玉」を探しに向かう。その行く手にはトパス海域の竜巻「怒れる海牛」、東ヌル海の高さ500mの隆起噴流「竜の衝立」などが立ちはだかる・・・。
 波乗り魚、あばれ手長藻、エンリケ・ベラの星まねし、舞魚、噴射イカ、ともしび貝などの海洋生物、ドリル・バード、さしわたし1800mの巨大な鳥などが登場する。
(その他の乗組員)
機関長:ドノバン
専任見張り役:ミルトソン
一等航海士兼船員コック:すり足マック
海釣り人:フック

●「海賊ジョリーの冒険」1 死霊の売人、2 海上都市エレニウム、3 深海の支配者(2003〜2004、カイ・マイヤー、あすなろ書房2005〜2007)
 1692年、海賊の巣窟として悪名をはせていたジャマイカ島のポート・ロワイヤルでは大地震で二千人以上が命を落とし、魔力が解き放たれ、ミズスマシと呼ばれる子供たちが生まれる。その14年後。 ジョリー:14歳。トルチュ島の奴隷市場で売られていたところをバノンに買われ海賊として育てられる。生まれつき水の上を歩けるミズスマシの一人。黒髪。
〈やせっぽちのマディ〉号→〈ジャンピング・ジョリー号〉 キャプテン・バノン:〈やせっぽちのマディ〉号の船長
トレヴィーノ:〈やせっぽちのマディ〉号のコック
クリストバル:操舵手
ケンドリック:ニュー・プロヴィンデス島の海賊の帝王。マスケ号
ダルトワ大尉:エイ飛行隊隊長
原初の父
アリストテレス・コンスタノブルス伯爵:エレニウム評議会議長を24年間務める
エベニーザー:巨大鯨ジャスコニウスの腹の中に30年間住んで回遊酒場を営んでいる修道僧
タイロン:人食い族の王。クアドリーガ号
建築家アゴスティーニ:百変化

海上都市エレニウム:〈大渦潮〉をショルフェン海溝の巨大な貝に閉じ込めておく番人。ヒトデ型(星型)、サンゴでできている。バージン諸島の北東のどこか、ショルフェン海溝から約三百キロのところ、水深1000mの海底に錨鎖で係留されている。人口は数千人。
小アンティル諸島
マルティニーク島
サン・セレスティーヌ島 ドルチュ島
ニュー・ブロヴィデンス島

ショルフェン海溝:水深1万m。
深海の一族クラバウター
マーレ・テネブロズム〈暗黒の海〉
マールシュトローム〈大渦潮〉:〈暗黒の海〉から我々の世界に通じる扉。
アケルス:〈暗黒の海〉からやってきた巨大な人のようなもの
海馬(ヒポカンプス)

〈カーフェックス号〉の乗組員
ウォーカー(船長):長髪をポニーテールに。金色の鼻輪。
犬頭男のブエナベントゥーレ(ピットブル・マン、アンティグア島生まれの穴掘りのベテラン、操舵手)
プリンセス・ソールダッド(海賊スカラべの娘):長い赤毛
ムンク:ミズスマシの一人。母メアリー、父はタバコ農園を経営。貝の魔法を使う。
グリフィン:ジョリーとだいたい同い年。〈やせっぽちのマディ〉号。ペテン師でおおぼら吹き。
死霊の売人:左目に眼帯。ひげは灰色。両肩にヒューとモーというオウム。想像を絶する年齢。
木食い虫/オラクル/マエストル・ポエティクス/奇跡の虫/妙なる歌うたいランスロット
霧の水夫たち

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