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うっすらと目を開くと、太陽が正面でかがやいていました
ネコくんは空気の中にいましたが、どうやらちゃんと息が吸えるようです
心臓もたしかに動いています
かれはまだくらくらする頭を起こして、あたりを見まわしました
どちらを向いても青い海がはてしなくつづいています
ネコくんはやっと 自分がどうしてここにいるのかを思いだしました
そうだ、ぼくはクジラを見にきて、船から落っこちちゃったんだっけ
どこかのはなれ小島にでも流れついたのでしょうか?
それにしてはどうも様子がへんです
かれの下の黒くてなめらかな地面は なんだか上下にゆれているのです
“ ブ シ ュ ー ッ ”
突然、近くにネコくんの体がすっぽり入れそうな2つの穴が開いて
そこから白い水けむりが噴水のように吹き上がりました
生ぐさいにおいがたちこめ、ネコくんの鼻をつきます
ほんのつかのま、空にちっちゃな虹がかかりました
「やあ、お目ざめかい?」
声はネコくんの四方から聞こえてきたようでした
かれはキョロキョロとあたりを見まわしましたが、だれの姿も見えません
「ここだよ、ここ。きみの足の下さ」
ネコくんはおそるおそる海のそばにはいよりました
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