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「どこかぐあいでも悪(わる)いんですか?」
「網(あみ)にからまってしまって動(うご)けないんだ」
ネコくんはクジラさんの鼻(はな)すじを伝(つた)いながら
コブのある頭(あたま)のいちばん前(まえ)のほうへ歩(ある)いていきました
見(み)ると、たしかにところどころやぶれかけた網(あみ)が
頭(あたま)の先(さき)から胸(むな)ビレにかけて びっしりとからみついています
「なんとかぬけだそうとしたんだがね
 よけいがんじがらめになって身動(みうご)きもできなくなってしまった
 ヒレは傷(きず)つくし、泳(およ)ぐ力(ちから)もない
 こうして波間(なみま)をただようにまかせて もう10日(とおか)ほどになる」
「10日(とおか)も!? その間食(あいだた)べものはどうしたんですか?」
「ぼくらは夏(なつ)の間(あいだ)にたくさん食(た)べて体(からだ)の中(なか)にたくわえるんでね
 いまは食(た)べなくても平気(へいき)なんだ」
とにかく命(いのち)をすくってもらったことですし
ネコくんはなんとかしてクジラさんを自由(じゆう)にしてあげたいと思(おも)いました
そこで 網(あみ)をかみちぎろうとして口(くち)にくわえて引(ひ)っぱりました
牙(きば)のするどさには自信(じしん)のあるネコくんでしたが
この網(あみ)はどうしてもかみ切(き)ることができず
しまいにはとうとう歯(は)ぐきが痛(いた)くなってしまいました
「むりだよ、人間(にんげん)が作(つく)った網(あみ)は ぼくらの力(ちから)じゃどうにもならない」
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