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クジラさんをたすけるのをあきらめてすることがなくなり
どこまでもうねる波ばかりながめているのにもあきてきたネコくんは
たいくつになってクジラさんにたずねました
「ねえ、クジラさんはいつも海の中でどんなふうに暮らしているんだい?
陸には山や川や森があって、いろんな生きものも住んでいるけど」
「ハハ、ぼくは海から出たことはないから陸のことはよく知らないが
海の中だって陸の上に負けないくらいおもしろいと思うね
たとえば、海には川はないけれど 海流といって
温かい水や冷たい水を運ぶ流れが決まったところを通っている
それから、木の森や林のかわりにサンゴの森や海藻の林がある
そこにはとてもたくさんの生きものが住んでいるよ
スイスイと泳ぐもの、プカプカと浮かぶもの
海の底をノソノソとはうもの、じっとしてぜんぜん動かないもの
ぼくのように大きいのから 目に見えないほど小さいの
美しいかざりやもようのついたもの、毒を持つもの
おおぜい群れて暮らすもの、ひとりでいたがるもの
どうもうなもの、いつも逃げまわっているもの・・・というぐあいにね
それから、海の中はさまざまな音で満ちている
ぼくらクジラは声で仲間どうしの連絡をとりあっているんだ」
なるほど、いったんもぐれば海はおもしろい素顔を見せてくれるようです
でも、ネコくんはさっきみたいなぬれネズミになるのはごめんだと思いました
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