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「ぼくらクジラの仲間は
毎年 季節がくると 北の海と南の海の間を旅するんだ
ちょうど渡り鳥が海の上を大陸から大陸へと渡っていくようにね
夏の北の海には 小さな魚やエビの仲間がたくさん集まってくる
それを食べるために ぼくらははるばる北へ行く
そして 冬がおとずれると
暖かい南の海へ移動して こどもを生み育てるんだ」
クジラさんはむかしを思いだしながら
ひとことひとことかみしめるようにネコくんに話して聞かせました
「たまにははみだしものがいて
決められたコースをはずれてよその海をたずねたりもする
ぼくもこんなふうにならなけりゃ
まだ一度も見たことのない海へ行きたかったんだけど…」
そういってクジラさんは 少し悲しそうな顔をしましたが
気をとりなおして先をつづけました
「ぼくらの一族は岸辺に近いところを泳いでいくんだ
ときどきのび上がって陸の地形を見て覚えておくと
帰り道のときに便利なんでね」
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