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クジラさんが網にからまって動けないでいることも
かれが人間をこころよく思わない理由のひとつかもしれません
しかし、なんといっても 人間はクジラの敵でもあるのです
こんなに大きくて 歌ったり飛んだりいろんなことができる
物知りのクジラさんでさえ
人間にはとてもかないません
「でもね、食べられることがいやだというんじゃないよ
ぼくらだって、小さいうちや年をとったり病気になったりすると
サメやシャチにねらわれるからね
シャチというのはぼくらのしんせきで
“どうもうでかしこい海のかりうど”のクジラと呼ばれている
体はぼくらより小さいけど
仲間どうしで協力して狩りをして、えものを分けあうんだ
かれらはおそれられているけれど、尊敬されてもいる
ぼくらをみんなほろぼしてしまうようなことはしないからね」
「ふうん、海の王さまみたいなクジラさんにも苦手な敵がいるんだ」
「ぼくらは別に、ぼくらが食べている魚たちよりちっともえらくはないよ
どれか1種類だけが栄えすぎて、みんなが迷惑することのないように
神さまはとりはからっているからね
たとえば、ぼくらはたしかに敵が少ないけど
そのかわり生まれるこどもの数もとても少ない」
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