|
ものを食べられないクジラさんの上で自分だけごちそうにあずかるのは
ネコくんはなんとなく悪い気がしましたが
クジラさんがえんりょはいらないというので
ありがたくちょうだいすることにしました
「クジラさんはどうしてちっちゃな魚しか食べないんですか?
そんなに大きな口なら
ぼくよりもっとでっかい魚でも食べられそうなのに」
お腹がいっぱいになったネコくんは、またクジラさんに質問しました
「ぼくらの口の中にはえているヒゲはね
ちょうど海水から小魚をこしとって食べるのにつごうよくできているんだ
クジラの神さまがそういうふうに決めたのさ」
ネコくんはときどきマグロやカツオの缶詰を食べます
それなのに、クジラさんはまわりに魚がいっぱい泳いでいても
夏以外の季節は見向きもせず
大きな図体に似合わない小さな魚やエビばかり食べているなんてふしぎです
「・・・ぼくが人間の船にいたといったら
クジラさんはおもしろくなさそうだったけど
やっぱり人間はきらいですか?」
「うーん・・・」
クジラさんはむずかしそうな顔をしてうなってしまいました
|
|