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これでネコくんにも、町でクジラの肉が売られているのを
見かけなくなったわけがわかりました
「人間たちはもちろん
自分でそんな遠くまで泳いでいくことはできないから
石油という“燃える水”で船を動かすらしい
それは大むかしの生きもののしかばねが海の底につもって
気の遠くなるような年月をかけてできたものなんだがね
人間はそれを地面の下からどんどんくみ出している
どんな使い道があるのか知らないけれど
船だけじゃなくて陸の上でもたくさん使っているんだろう
ところが、その石油を運ぶためのタンカーという大きな船が
あちこちの海で事故を起こしてそいつをこぼしている
これがまた迷惑千万なんだ
なにしろ、ぼくらはヒゲがねばついてえさがとれないし
海鳥たちも羽がベタベタになって飛べなくなるし
羽づくろいをすれば、今度は石油をのみこんでお腹をこわして死んでしまう
アザラシやラッコは毛皮がだいなしになってこごえてしまうし
魚たちも息ができなくなって水底におおぜい身を横たえる
魚がいなくなっちゃったら それを食べているたくさんの動物が困るわけだ」
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