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「ネコくんは陸のけものなんだから
死ぬときもやっぱりおかの上でなきゃおかしいものね」
クジラさんは弱々しい声で笑いました
「クジラさんは陸の上で死んでもいいんですか?」
「ああ、海のそばからはなれるのでなければね
死んだクジラが浜辺に打ち上げられるのはめずらしいことじゃない
むかし、人間がまだ自然にはない力を持たなかったころ
浜で死んだクジラを見つけると、みんなでお祭りをして
人間の神さま、クジラの神さま、海の神さまに
感謝の気持ちをこめて祈ったものだ
そして、ぼくたちのご先祖の肉は
大切な食べものとして村のみんなに配られ
骨や油も人びとのためにいろいろと役に立った..」
クジラさんはそれきりだまりこんでしまいました
あんまり長くクジラさんがおしだまっているので
ネコくんはクジラさんがほんとうに死んでしまったのかと思い
心配になってたずねました
「クジラさ・・ん?」
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