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すると、クジラさんはおもむろに口を開きました
いままでの疑問がふいに解けて答えが見つかったかのように
「思うに・・・
思うに、いまの人間たちは 天からさずかった
生きものとしての自分たちにふさわしい力や与えられた役目に
満足できなくなって、より多くを求めるようになった
もっと広くて快適な住みか
もっと多くの、いままで口にすることのなかった食べもの
それらをもっと楽にたくさん手に入れる方法・・・
そうやって自分たちのことばかり考えて自然に手を加えていくうちに
自分たちの神さまが ぼくらクジラをはじめ
鳥やけものや魚や虫や草や木や、そのほかさまざまな生きものたち
そして、海や空や山や川や、ぼくらをとりまくすべてのものをつかさどる
ほかの神さまとおたがいに相談しあい、取り決めをして
この美しいけどこわれやすい星のバランスを
うまく保つようにしているってことを 忘れちゃったんじゃないかな?
人間たちが自分のことを信じなくなったものだから
人間の神さまはたぶん、かれらを見はなして
どこかへかくれちゃったのかもしれない・・・」
ネコくんはクジラさんの話にじっと耳をかたむけます
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