イメージが沸かなくて困る人のためにモチーフを掲げます。あくまでも参考例ですので守る必要はありません。
・海中航行船
海中航行船については以下を基本仕様とする。ただし実際に作動するものではなく、たんなるギミックでもよい。従来の戦闘艦という機能だけではデザインが固定化されてしまう傾向があるため、観測船として必要な機能を列挙しました。
・無寄港・単独で世界一周する能力がある。それなりの人数の乗員が乗っている。
・北極海の氷海下を浮上せずに横断することができ、1m程度の厚さの海氷なら割って浮上することもできる。
・海中を展望する窓がある(不合理ではあるがSFには欠かせない)。チタン合金に匹敵する透明材料が存在すると仮定してよい。マニピュレータは必須ではない。
・少なくとも1000mの潜航能力がある。空を飛んだり地底を掘ったりできなくてよい。
・小型潜航艇(有人)が搭載されている。
・ダイバーがロックアウト可能(水深300mまで)。つまり船内にムーンプールがある。<
・舵を用いずに(つまり前進力がなくても)方向転換する能力がある。
・潜航浮上が投下バラストなしに繰り返し可能。
世界一周海底探査を行える船とはどんなものか自由にイメージを深めて下さい。
ちなみに、ヴェルヌの<ノーチラス号>は衝角(しょうかく、Ram)を持った戦闘艦のイメージが強いが、全訳を読めばさまざまな海洋観測を行っていたのが分かります。
・海底基地
・海中観測船の補給・メンテナンスが可能なこと。
・深海の研究機能があること。
・乗員と研究者の生活が可能なこと。
・洋上との通信・交通手段を有すること。
・メンテナンス、研究用小型潜水艇が出入できること。
・海中展望室があること。
・洋上浮遊都市
・自然エネルギーと天然資源を最大限利用できること。
・海洋研究所機能と海中航行船の母港機能があること。
・飛行機(VTOL又はSTOL)及び補給船による人員と物資の輸送が可能なこと。
・研究所員と海中観測船乗組員とその家族が暮らせること。
・台風等暴風雨下で安全が確保できること。
・浅瀬に接近しすぎた場合に回避する自航能力があること。
・クルー
通常の船舶の船員は、1日8時間労働で3交代制、3ヶ月乗船して1ヶ月ちょっと休暇を取ります。24時間連続運転の石油掘削船の船員は、1日11時間労働で2交代制、1ヶ月乗船して1ヶ月休暇を取ります。
・船長/キャプテン:海中航行船の最高責任者
・一等航海士/チーフオフィサー/チョフサー/セーフティーオフィサー:海賊・テロ対策の責任者。チョフサーが兼務する場合が多い。
・二等航海士/セコンド・オフィサー/セコンドッサー
・三等航海士/サードオフィサー/サードッサー
・事務長/パーサー
・通信長/ラジオオフィサー:1人が兼務する。コンピュータとネットワークのメンテも担当する場合が多い。
・音響航法士:潜水艦ではないのでソーナーマンは不要だが、海洋調査の場合、水中音響の専門家がいるばあいがある(かも?)
・観測士官;観測作業を指揮する。チョフサーが兼務する場合が多い。
・甲板長/ボースン:甲板作業を指揮する。
・機関長/チーフエンジニア/チェンジャー
・司厨長、司厨員/スチュワード又はスチュワーデス:ハウスキーパー役。コックを含む。
・船医/ドクター:水上船舶では船医の代わりに、衛生管理者(チョフサーが兼務することが多い)が陸上の医者と連絡しながら薬を処方したり注射したり傷を縫ったりする。しかし海中航行船では、海上から隔絶されているという点で、おそらくドクターが必要だろう。
・ダイバー
・首席研究者:研究者のトップ
・研究者
・観測技術員/マリン・テクニシャン
・海洋生物
・海鳥:海でも鳥が元気。カモメ、ウミネコ、カツオドリ、アホウドリなど。魚を獲るために海中20mまで潜るとか。=>北海道海鳥センター
・昆虫:海を渡るチョウが有名だが、海上には意外と昆虫がいる。
・海棲哺乳類:クジラ、イルカ、オットセイ、アシカなど。最大はシロナガスクジラで体長20以上。オキアミが主食だがイワシを食べる場合もある。
・プランクトン/浮遊生物:水流に逆らうほどの遊泳能力を持たない海中生物をプランクトンと総称する。
・植物プランクトン:水中30m前後の有光層にいる。珪藻類と円石藻類など。栄養塩の豊富な深層水が上がってくる湧昇域や海流沿いで渦が発生する場所に多い。大量発生するのをブルーミングという。
・動物プランクトン:植物プランクトンを餌とする。昼間は中層、夜間に表層と日周運動をする。擬似海底反射(BSR)となる。オキアミが有名だが、でっかいエチゼンクラゲも動物プランクトン。クシクラゲは繊毛に照明が当たると七色に輝くのが美しい。=>Wikipedia/クラゲ
・ネクトン:水流に逆らって自力で遊泳する海中生物をネクトンと総称する。魚類、イカ、タコなどの頭足類、ウミガメやウミヘビなどの海産爬虫類、海棲哺乳類などを含む。=>世界イカ類図鑑
・魚類:イワシ、アジ、サンマ、トビウオ、マンボウ、マグロ、カジキ、サメ、エイなど。魚類で最大はジンベイザメで体長14m。=>Wikipedia/WEB魚図鑑
・ベントス:海底を這う生物をベントスと総称する。底棲生物。カニ、エビ、ナマコ、ヒトデ、貝類、ヒラメなどの底生魚類ほか
・化学合成生態系:チューブワーム(ハオリムシ)、シロウリガイ、シンカイヒバリガイなど。熱水噴出孔、冷水湧出域、鯨骨などに付随する。
・海中の世界
潮汐: 太陽と月の影響で海面が一日に二回上下する。海峡や湾内で潮流を引き起こす。
海流: 黒潮やメキシコ湾流が有名。
中規模渦: 直径100〜200kmの渦。
海洋コンベアベルト: 表層海水が大西洋の北部(グリーンランド沖)と南極のロス海、ウェッデル海で冷やされて深海まで沈降し、世界中の海を巡る。最後は北太平洋で表層に戻る。
中央海嶺: 海底が引き裂かれ、下からマグマが上昇している海底の大山脈。海底が引き裂かれる速度は年間数センチ〜10センチ。海嶺の頂上は水深3000mぐらい。両側に向かってだんだん水深が深くなって、離れた場所では水深6000mぐらい。東太平洋海膨、大西洋中央海嶺が有名。
海底山脈の頂上には、海底が引き裂かれることによってできた谷があり、中軸谷と呼ばれる。
中軸谷には熱水噴出孔があり、チムニーと呼ばれる煙突状のものから高温のもので300度もの熱水が噴出している。クリアスモーカー、ホワイトスモーカー、ブラックスモーカーのほか、最近、ブルースモーカーが発見されている。熱水噴出孔にはさまざまな愛称があり、ゴジラ・チムニー、モスラ・チムニー、ラピュタ、ロストシティーなどが有名。
海溝: 海底が地球内部に沈み込む場所。海溝の大部分は太平洋を取り囲むように存在する。マリアナ海溝が最も深くて10,920m。1万mを超える海溝はこのほかトンガ海溝(10,800m、ニュージーランド北方)、フィリピン海溝(10.052m)、ケルマディック海溝(10,047m、ニュージーランドとトンガ諸島の間)がる。日本海溝は水深8,020m。
海溝の大陸側斜面の地震断層にはメタンを含む冷水が湧出する場合があり(冷水湧出域)、そこにはシロウリガイやハオリムシなどの化学合成生態系が存在する。
島弧(弧状列島): 海溝の背後に弧状の列島ができる。アリューシャン列島、日本列島、マリアナ諸島などみんな弧状。熱水噴出孔を伴う場合がある。
背弧海盆: 弧状列島とその背後の大陸との間にできる海。ベーリング海、オホーツク海、日本海、沖縄トラフなど。沖縄トラフなど現在海底が引き裂かれて拡大中の背弧海盆には熱水噴出孔がある。
大陸棚: 大陸を取り囲む水深200mまでの棚状の部分。1万5千年以上昔の氷期には海上に顔を出していた。水深200mあたりを過ぎた斜面を大陸棚斜面といい、メタンハイドレートが眠っている。
海底扇状地: 大河川の河口から深海まで扇状に広がる場所。海底石油が眠っている場合が多い。
深海長谷: 大陸棚斜面や海底扇状地では時々、海底地滑りが起こり、乱泥流と呼ばれる泥と海水の混ざったものが長距離にわたって高速で流れる。それが繰り返される場所では深海長谷と呼ばれる蛇行する谷が形成される。
海山: 地球上の特定の場所に、ホットスポットと呼ばれる地球深部からマグマが上昇している場所があり、独立した火山を形成する。それがその後ホットスポットから外れて海中に沈んだのが海山。ハワイ諸島では天皇海山列という海山の列ができている。