西村屋トップメニュー>小澤さとるのUndersea Would>新サブマリン707教室(気楽にメッセ−ジ・ボードへ/検索エンジン)
最近の数百万年でみると、4.1万年又は10万年周期で寒い氷期と暖かい間氷期が繰り返され、それによって海面が150m上昇したり、下降したりする。2万年前の最終氷期では、現在よりも海面が150mも低く、「大陸棚」と呼ばれる部分が海面上に現れていた。このため、海の割合は66%に減っていた。
1億年前の白亜紀にさかのぼると、マントル活動に伴う海底面の上昇によって、海面が現在よりも250m高かったらしい。これによって、現在の平野(陸地の7割を占める)は全て水没し、海の面積は90%を越えていた。
地球誕生までさかのぼると、46億年前は海は海でもマグマの海(マグマ・オーション)に覆われていた。40億年前に本物の海が誕生し、27億年前に最初の大陸が誕生、ウル超大陸(南ア、インド、オーストラリア)、ネーナ超大陸(ローレンシア、パルティカ)、アトランティカ超大陸と離散集合を繰り返し、9億年前にロディニア超大陸が形成。
マントルの温度の低下につれて、7.5億年前に海水が上部マントルに流入するようになり、海面が600mも低下して、一気に大陸面積が拡大している。
その後、全球が凍結する「雪玉地球」を経て、5.4億年前より、多細胞生物、硬骨格を持つ多様な動物が一斉に出現する「カンブリアの大爆発」が起こる。一方、大陸は離散集合を繰り返し、ゴンドワナ超大陸、ローレンシア超大陸、パンゲア超大陸を経て、現在の大陸配置となっている。
=>大陸の離合集散
遠い将来、マントルの温度がさらに低下して、海水が下部マントルまで流入するようになると、海面はさらに数百m以上も低下するかもしれない。
=>地球史資料館>地球史年表−海水の逆流開始(丸山茂徳教授)
SFでは、海に沈んだムー/アトランティス帝国が定番。ふしぎの海のナディア、コナン・ドイルの古典「マラコット深海」のアトランティス、サブマリン707のムー帝国、カッスラーの「アトランティスを発見せよ」では南極大陸の古代文明が登場する。
大陸周辺には氷期には平原であった土地が、温暖化によって水没した大陸棚(水深200mまで)がある。
その外側には緩やかな大陸斜面がある。斜面といっても、せいぜい数度までである。この斜面には、メタン・ハイドレートと呼ばれる氷状のメタンを多量に含む地層があり、海底から150m下は地熱によってガス化したメタンのフリーガス層が存在する。メタンハイドレートとフリーガス層の境界を「海底疑似反射面」(BSR;Bottom Simulated Reflector )という。
大河川の沖合には広大な海底扇状地が広がる。大陸斜面や海底扇状地では時々海底地滑りが生じ、数十km以上にわたって土砂が高速で流れることがある。この現象を乱泥流といい、それが生じた跡にタービダイトと呼ばれる地層を形成する。
小沢さとる「スキップ・レッド」ではこの乱泥流を起こしてアトム戦車を海溝に沈めている。
=>中央海嶺
=>トランスフォーム断層
=>プレートテクトニクス
=>Wikipedia
1億年前、巨大な火成活動(スーパープルーム)により大量の玄武岩の噴出があった。それにより形成された巨大な海台を「巨大火成岩岩石区」(LIPs)という。オントン・ジャワ海台がその代表である。
太平洋には北のアリューシャン海溝(7,679m)、太平洋西岸沿いに、千島・カムチャッカ海溝(9,550m)、日本海溝(8,020m)、ここでフィリピン海盆を取り囲むように二手に分かれて、南方に伊豆・小笠原海溝(9,780m)、マリアナ海溝(10,920m)、ヤップ海溝(8,946m)、パラオ海溝(8,054m)。もう一方は日本南岸沿いに相模トラフ、南海トラフ、南西諸島(琉球)海溝(7,460m)、フィリピン海溝(10,057m)でパラオ海溝と合流。
ニューギニア島の西からニューブリテン海溝(8,940m)、サンクリストバル海溝(8,322m)、北フィジー海盆を取り囲むように東メラネシア(ビチアス)海溝(6,150m)、北ニューヘブリデス海溝(8,340m)、南ニューヘブリデス海溝(7,570m)、ちょっと離れてサモアからニュージーランドの間にトンガ海溝(10,800m)、ケルマディック海溝(10,047m)がある。
一方、大西洋東岸には、中米海溝(6,662m)、ペルー海溝(6,262m)、チリ海溝(8,170m)がある。太平洋はこれらの多数の海溝で取り囲まれている。
これに比べて、インド洋にはジャワ海溝(7,125m)、大西洋にはプエルトリコ海溝(8,605m)と南サンドウィッチ海溝(8,325m)しかない。
房総沖には「房総海溝三重点」といって、そこで日本海溝と伊豆・小笠原海溝と相模トラフが合流している。太平洋プレートと北米プレートとフィリピン海プレートの接点でもあり、何かがありそうで、時々、海洋SFの舞台となる。
海溝内の最深部を「海淵」という。プレート沈み込みによってできた地形「海溝」の最深部を発見した観測船の船名が付けられたもので、地学的に特別な意味はない。測深当時の数値に誤りも見られ、「海淵」は1968年より国際的な水路測量用語から抹消されている。
地球最深部は、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵が1993年のIOC-IHO GEBCO合同指導者会議で水深10,920m±10mと確定された。最も正確な数値は、「かいこう」が到達した10,911m。なんせ現場の海面から海底までの水温・塩分・圧力プロファイルを実測して水深を求めている。
その近くのビチアス(ビーチャン、ビーチャジ)海淵はもっと深い数値が報告され、少し前までの文献には地球最深部と記載されていたが、現在では測深に誤りがあったと見なされている。マリアナ海溝が深いのは、プレート沈み込み角度が他の海溝に比べてなぜか大きいという特異性と関連があると思われる。
=>最深部の決着(海上保安庁海洋情報部(旧水路部))
=>海溝3次元表示図をみる(同上)
順位 | 最大水深 | 海溝の名称 | 海域 | 備考 |
1 | 10,920m | マリアナ海溝 | 日本のずっと南。マリアナ諸島(サイパン、グアムなど)の東沿い | チャレンジャー海淵、ビーチャジ海淵 |
2 | 10,800m | トンガ海溝 | ニュージーランドのずっと北。トンガ諸島東沿い | ホライゾン海淵 |
3 | 10,057m | フィリピン海溝 | フィリピン東沿い | ケープ・ジョンソン海淵、エムデン海淵 |
4 | 10,047m | ケルマディック海溝 | ニュージーランドとトンガ諸島の間。ケルマディック諸島の東沿い | |
5 | 9,780m | 伊豆・小笠原海溝 | 日本南方 | |
6 | 9,550m | 千島・カムチャッカ海溝 | カムチャッカ半島〜千島列島東沿い | |
7 | 9,175m | 北ニューヘブリデス(サンタクローズ)海溝 | ソロモン諸島〜バヌアツ(サンタクローズ諸島〜バンクス諸島〜ニューヘブリデス諸島の西!沿い) | |
8 | 8,946m | ヤップ(西カロリン)海溝 | フィリピン東方 | |
9 | 8,940m | ニューブリテン海溝 | ニューギニア島東方 | |
10 | 8,605m | プエルトリコ海溝 | カリブ海と大西洋を仕切る西インド諸島の北沿い |
このほか、北極海や南氷洋では海氷で冷却された海水が深層まで沈降している。これが世界の深海をコンベアベルトのように循環していて、場所によっては1ノット以上になることもあるとか。最近知られたものとしては、日本海溝の陸側斜面の中・深層に2ノット程度の流れが知られるようになってきた(一種の西岸強化流)。
このほか、不定期な現象ではあるが、前述のタービダイトによる流れは、非常に高速だとのこと。これによって掘られた蛇行した海底渓谷のなかでも、富山深海長谷はなんと500kmにもわたる(富山湾から日本海北部まで)。
はたして、707に登場するジェット海流はあるのだろうか?
=>ブロッカーのコンベアベルト(1989年)/ブロッカー
=>ストンメルの深層循環(1958年)
=>海洋の大循環−何がそれを決めているのか
=>深層循環(日本海溝〜南海トラフの3000m以深に2ノット以上の流れ)>日本近海の深層循環マップ
=>日本海の深層循環(2000m以深で、最大15cm/s(0.3ノット)を超える流速)>日本海の深層循環マップ
Schmitz. Jr. 1996, Doney Schimel 2001