西村屋トップメニュー>小澤さとるのUndersea Would>新サブマリン707教室(気楽にメッセ−ジ・ボードへ/検索エンジン)
ちなみに、「涙の粒の形」というロマンチックな名前だが、実際の落下中の水滴は、丸くなろうとする表面張力と空気抵抗がバランスして、「ぶたまん」のように底面が平ら又は凹状になった扁平型になっている。蛇口から水滴がまさに切れて垂れ落ちる瞬間のみ、涙滴型になるのかもしれない。
円筒形の部分が長い船形を「葉巻型」といい、船内スペースを取りやすく、建造コストも安そうだ。ジョージ・ワシントン級はスキップ・ジャック級に円筒部分を挿入したもの。米原潜では、スキップ・ジャック級のような理想的な涙滴型から、スレッシャー級へと意外に早く葉巻型に移行している。日本では最新のおやしお型で初めて葉巻型になった。
洋上で十分な乾舷を確保することを狙った船形を、まれに「鯨型」ということもある。船首がまっこう鯨みたいな形。英国の原潜にこのタイプが多い。
こうして見ると、707二世のような先の尖った葉巻型に水上船形が複合した船型は現実には存在したことがない。フィクションでは、青の6号一世(復刻版上巻p.15)と、サイボーグ009のブラック・ゴーストの潜水艦と、「ふしぎの海のナディア」の「ノーチラス号」がある。
・翼面積同じ、バンクなしで旋回すると考えると、十字舵では上下の縦舵2枚で舵を切る。X舵では4枚全部を使うから2倍。ただし45度傾いてるから迎え角でcos(45度)減少(1/ルート2)、揚力の水平方向成分もcos(45度)減少。結局、総合的には{(1/ルート2)^2×2=1(「^2」は2乗のこと)だから、十字舵と同じはず。
・ところが、潜水艦は水中では内側にバンクする。バンク角=B度で旋回する場合を考えると、十字舵の場合、上下の方向舵しか使わないから流入角がcos(B度)で減少、揚力の水平成分もcos(B度)で減少。つまりcos(B度)^2で旋回力が減る。
一方、X舵だど傾きが立つ方の2枚ではcos(45度-B度)^2で増加、傾きが平らになる方の2枚はcos(45度+B度)^2で減少。合計ではcos(45度-B度)^2+cos(45度+B度)^2
={cos(45度)cos(B度)+sin(45度)sin(B度)}^2+{cos(45度)cos(B度)-sin(45度)sin(B度)}^2(加減定理)
=cos(B度)^2+sin(B度)^2=1(ピタゴラスの定理)
つまり、バンクしても旋回力(の水平成分)は減らず、十字舵よりも操縦性がよい。
・舵が1〜2枚損傷した場合、2枚づつ使って舵を切る十字舵では操縦不能になりやすいが、4枚全部使って舵を切るX舵では残りの2〜3枚でなんとか操縦できる可能性が高くなる。
・旋回時に尾翼で騒音が出るかどうか分からないが、出るとすれば2枚で舵を切るより4枚で舵を切った方が1枚当たりの負荷が少なくなって騒音が減るだろう。
・浮上中、十字舵だと上側の方向舵が海面上に出て効きが悪くなりそうだが、X舵の場合、海中に没している割合が多いので、浮上中でも操縦性の低下が少なそうだ。
・相手からアクティブ・ソーナーを受けた場合、X舵の方が反射を上下に反らせるかも。
・接岸・着底時に舵を岸壁や海底に当てないよう寸法制限する場合、十字舵よりX舵の方が、舵寸法を大きくできて、操縦性が向上する。
(問題点)
・十字舵の場合、プレーンズマンがセールプレーンと垂直舵を、ヘルムズマンが水平舵を担当している。X舵の場合、おそらく一人で舵を操作するように分担もシステムも変更する必要がある。
・曳航ソナーを繰り出す機構と舵との配置上の問題はよく分からず。
・高速航行時のセイルから出るカルマン渦と舵との干渉については分からず。
もともと氷海での行動が前提となっているロシアの潜水艦のほとんどは、セイル・フィンがない。