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2004年12月31日更新
赤字は「潜航!−ドン亀・潜水艦幹部への道」(2000、山内敏秀、かや書房)より
- ■艦内の区画の呼び名
- ・「メンタンク」:メインバラストタンク。上部に空気を抜くベント弁が、下部に海水の流入するフラッド・ポートがある。このほかナガティブ・タンク(潜航時に満タンにする)、セイフティ・タンク(通常は海水で一杯。非常時に高圧空気で排出)
・前部に「潜舵」、艦尾に「横舵」と「縦舵」がある。
・「発令所」(水上艦のCombat Information Centerに相当)
- 発令所内は右舷側「ナビゲーション・セクション」と左舷側「ダイビング・セクション」に分かれている。ナビゲーション・セクションには航法関係と魚雷発射関係の機器が配置されている。
ダイビング・セクションには前方からジョイ・スティック・パネル(艦首に向かって中央寄りの席が第一スタンドで潜舵と縦舵を、左側の席が第二スタンドで横舵を受け持つ。)、バラスト・コントロール・パネル(「バラコン・パネル」と呼ぶ。スノーケル制御部もここ。油圧手が操作する)、空気弁柱がある。
・セイルの上は「艦橋」(哨戒長+水兵2人)。水上艦でも艦橋は見張りのための場所であって、本当の中枢部は下方にあるCICであるのと同じ。艦橋から艦内まで昇降筒が通じている。艦橋にはジャイロ・レピータ、警報のスイッチ、艦内各部との通信装置など最低限の機器しか装備されていない。
・「ソーナ室」
・「電信室」
・「士官室」(士官食堂を兼ねる)
・士官の居室は「士官居住区」、その他は「科員居住区」。個室なのは艦長だけ。
・CPO室:先任伍長を始めとする海曹の先任者のための居住区
・科員の食堂は「科員食堂」
・「前部/後部発射管室」
・「機械室」:ディーゼル機関がある。
・「運転室」:主電動機(モーター)がある。
- ■艦内生活
- ・夜間浮上時のみ発令所を赤灯にする。それ以外は昼夜を問わず白灯
・シャワーは1人1分、3〜4日おき。今ではそれほど厳しくないが3日おきとなる場合はあるとのこと。シャワーやトイレや調理室の汚水はサニタリー・タンクに溜められ、それが満杯になると高圧空気で海中にブローするが、残った圧力を抜くには艦内に放出するしかない。匂い除去にはスノーケル航走が最も簡便。
・禁煙となったことはない。酸素が不足気味になれば火の付きが悪くなってみんな自主的に喫煙を止める。浮上したらディーゼルによる艦内吸気と外気の取り入れでたちどころに空気の入れ替えが可能。
ただし、2005年1月よりついに艦内全面禁煙になるとのこと。時代の流れか。(by HMSさん)
・食事は一日4食。「金曜定食」:カレーライス。各艦、秘伝の味がある。
・「イントラ」:取扱説明書
・防水措置はマニラ・ロープとゴム板と、先の尖った木栓とハンマーを用いる。
・スタンキー・フード:脱出用のフード。膨張式救命胴衣と一体になっている。
- ■操艦と艦内での号令等
- ・艦長の呼び方は、「浣腸」と同じイントネーション(「か」で下がらない)
・艦長は担当者に直接命令する(副長は伝言しない)。副長は船長見習い的立場であり、場を仕切らない。
・時刻8:30は「まるはちさんまる」、8:15は「まるはちひとご」
・主機の出力:「最微速」、「微速」、「半速」、「原速」、「強速」、「第一戦速」・・・「最大戦速」、「一杯」
・後進への切り替え:「機関停止、後進一杯」
・舵:「おも・かーじ」(何も言わなければ面舵15度のこと)、「と・りかーじ」
・方位:右○度/左○度(相対方位)、方位○度(絶対方位。何時方向とは言わない)。210度は「ふたひゃくじゅうど」と言う。
- (潜航まで)
- ・「合戦準備」:潜航準備のこと。
・「艦橋、発令所」:「艦橋へ、こちら発令所」の略
・「突入」:潜航時に艦橋から昇降筒を降りること。ラッタルに取り付けられた手すりに両手、両足を掛けて滑り降りる。
・潜航時:艦長の「潜航準備」の指示を受けた油圧手がテレトークで「艦橋、発令所(こちら発令所の略)、潜航せよ」と艦橋の哨戒長に伝える。これを受けて哨戒長自ら「ウーガ、ウーガ」と2回鳴らす(潜航警報二声)。「ハッチ閉鎖」、「閉鎖確認」、「潜航開始」、「ベント開け」で、バラストタンク内に流入する海水の音が「ザザザー」。
- (潜航中)
-
・トリム姿勢:「ダウン○度」、「アップ○度」と言う。「ツリムよし(よろしい)」は水中で釣り合いが取れている状態のこと。単なる浮力だけでなく、速力が残っている間はトリム姿勢も釣り合わせる必要がある。
・ホバリング:停止状態で浮力を釣り合わせる。
・潜航深度:深度はキール深度で言う。最大潜航深度は艦内の全員が知っている。
・艦内呼び出しブザー「ビー!」。緊急事態ブザー「ビー!、ビー!」
- (戦闘)
- ・魚雷戦:「魚雷戦用意」、「○番発射管用意」、水上艦の場合、艦長が潜望鏡で「アングル・オンザ・バウ何度」(敵艦がどちら方向に進んでいるか)、相手速力など入力データを指示。水雷長がデータを魚雷に送る。水中戦の場合は水測員がデータを指示。「注水」、「前扉(ぜんぴ)開け」、「発射」、「打てー」で水雷長が発射キーを回す。
・「潜望鏡観測を行う」で艦長が帽子を後ろ向きにして潜望鏡の前にしゃがみ込む。「上げ!」で信号員が潜望鏡の油圧操作弁を操作。「マスト視認。方位マーク。下げ!」で、その間ほんの数秒。
- (浮上)
- ・浮上時:艦長の「浮上準備を行え」の指示により「浮上用意」の号令が艦内に流れ、各部からの報告をIC員が確認し、油圧手に「各区、浮上用意よし」と報告。油圧手がパネルを指差確認のうえ潜航指揮官に「浮上用意よし」と報告、潜航指揮官が哨戒長に準備完了を報告し、哨戒長が艦長に報告。
艦長が「浮上せよ/浮き上がれ」を命令し、それを受けて哨戒長が「浮上!/浮き上がれ!」を下令。これに被さるように油圧手が「ウーガ、ウーガ、ウーガ」と3回鳴らす(潜航警報三声)。鳴り終わったら潜航指揮官がすかさず「メンタンク、ブロー」と号令(「上げ舵一杯」の号令も?)。高圧空気管制装置についている士長が高圧空気弁を一気に開く。圧縮空気がバラストタンク内に注入する音が「キューーーーー」。
十分な浮力が得られたら潜航指揮官が「高圧、止め!」を号令、開いていた左手をぐっと閉じる。哨戒長は潜望鏡で艦体の浮上を確認、「艦橋ハッチ、開け!」と号令。哨戒長が艦橋に上がると、以降の操艦は艦橋で行う旨が達せられる。
無気浮上の場合はメインタンクブローせずに舵と推進器で急角度で浮上し、メインタンク内の海水を排出する。ただし、はるしお型以降は低圧排水(エンジンの排気をバラストタンクに入れる)が無くなり、高圧空気で完全ブローする方式となったので、無気浮上の方法では浮力が保たれず実施されなくなったと思われる。
- (帰港)
-
・「整列舷、左」:左舷側を向いて整列
・錨泊:艦首底にマッシュルーム・アンカーがあり、前進投錨する。水雷長が「錨入れ」を命ず。1節25mの錨鎖を水深の3倍+90mだけ繰り出す。投錨前にあらかじめ艦長又は副長から繰り出す節数を水雷長が聞いておき、錨鎖繰り出し操作を行う水雷科の先任下士官に伝えておく。前進速度を「行き足適当」など指示する。
- ■アルファベットの読み方
- ■艦内で聞こえる音
- ・測深器は音が出るので使わない。海底までの距離をどうして知るのかと思ったら、潜水艦は海底近くを恐れ、近付かないようにしているとのこと。
・自艦の音は、潜航中電気推進時はモーターの音も通風の音もプロペラキャビテーションもほとんど聞こえない。水上でのディーゼル推進では「ブルブルブルブル」
・水上艦のスクリュー音は「シャカシャカシャカ」、魚雷の推進音は「ギューン」
・遠方から低周波アクティブソーナーを打たれると、リリリリーンという巡礼の鈴のような音がするとのこと。
・ソノブイの発音弾の音が「ターン」
・イルカは「キュイーン」など、エビは「ピチピチ」。水中生物の出す音を「魚鳴音」という。
・水中聴音器の音を艦内スピーカーに流す場合もあるとのこと。
- ■(おまけ)潜水調査船の着水揚収号令詞
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