ペットボトル製水中グライダー工作マニュアル(2021年版)

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2021年5月8日更新


●概要
 塩ビ菅を心棒にしてペットボトル2本を接続し、塩ビ管の後端にブイ字型尾翼を接着する。ペットボトル上面にプラバンを切り抜いた翼をゴムバンドで固定する。
注1)翼は一般論としては胴体の下面に固定した方が、滑走路との鏡面効果により揚力で有利なものの、横転しやすくなので、胴体の上面に浮力材を貼り付ける必要がある。代わりに翼を胴体上面に固定すれば、浮力材が省略できる。
翼の付き方
翼の取り付け位置
注2)ペットボトルは細長い(内容量が少ない)方が有利。また、円筒形だと翼を取り付ける台を接着しておく必要があるが、角型だと台の接着を省ける(350mlの角型スリムボトルがお薦め)。

ペットボトルのいろいろ

●材料
@ 胴体(ペットボトル):ヘルシア緑茶またはヘルシア紅茶スリムボトル 350ml(ポリエチレンテレフタレート(PET)製。1機で2個使用):amazon:ヘルシア緑茶ヘルシア紅茶

A 心棒:硬質塩化ビニル管/塩ビ厚肉管VP13(呼び径13、外径18mm、ポリ塩化ビニル。1機で長さ40cm):amazon

B 翼など:楽しい工作シリーズ プラバン1.0mm厚 (タミヤ、B4サイズ、スチロール樹脂/ポリスチレン、1機で1〜2枚):amazon

C オモリ:板おもり/板鉛(釣り用具、厚さ0.25mm、1機で30〜45cm):TAKATA第一精工共栄

D ゴムバンド:塩ビ管とV字型尾翼を接着する際の補強。釣り糸の先の安全ピン(材料H)を引っ掛ける所にもなる。

E 接着剤:塩ビとPETとポリスチレン(プラバン)の接着:ボンドウルトラ多用途SUプレミアムソフト(KONISHI、強粘着型。Amazon):3種類の材料に有効かつ水にも強い接着剤はほかに見当たらない。

F ビニルテープ:厚み0.2mm以上。主翼と胴体の固定やオモリと胴体の固定に使う。また、塩ビ管に巻いてペットボトルの口がぴったりはまるようにする。耐水性。

G 釣竿とリール:競泳用プールに投入する水中グライダーの回収用だが、釣り糸を操ることによって進路不安定なグライダーの方向を調整することも可能。組立式小型プールなど容易に改修可能な場合は不要。

H 安全ピン:釣り糸の先をグライダーのゴムバンドに取り付けるために使う。釣り具でもっと着脱が便利なものがあるようだ。

●工具
@ ノコギリ・ハサミ:ペットボトルの切断用。プラバンの切断に使うと細部でプラバンが割れる。

A プラカッター/プラスチックカッター/Pカッター:amazonオルファ:プラバンの切断用

B カッターマット/カッティングマット:amazon:Pカッターを使用する時は必須。

C 刃が細くて短く、持ち手は持ちやすい大きさのプラスチック用ハサミ/万能ハサミ:クラフトチョキデザイン鋏プラ用ハサミクラフトはさみ:ペットボトルの切断及びプラバンの細部の加工用。フラワーアレンジメントにも使われている。

D 塩ビパイプカッター又は塩ビ管ノコギリ:塩ビパイプは普通のノコギリでも切断できるが、塩ビ・プラスチック用のノコギリ(Zパイプソー:amazon)がある。大量に切断するなら、塩ビパイプカッターだと一瞬。

E 紙やすり:プラバン切断後のバリ取り用

F キリ:水抜き穴を開けるため。なるべく太めの物。

●製作方法
@ ペットボトルの加工:ペットボトルの底部を切り取る。まず角型ボトルの角の部分にノコギリで切り込みを入れ、そこにハサミの上の刃を突っ込んで切断する。

 次に、ペットボトルの肩の部分に水抜き穴を開ける。太目のキリで多数の穴をあける※。これは結構大変。
ペットボトルの切り方
A 塩ビ管の切断:塩ビ管の長さは、製作方法Cでペットボトルを取り付けた際に、尾翼取り付け部分が5cm確保できる長さに切断する(40cm)。寸足らずでは尾翼が取り付けられないし、長すぎるとダウントリムにするためのオモリが多く必要となるので、慎重に。  

B 主翼と尾翼の切断プラバンの裏面(光ってない方)にボールペンで作図する(翼型の例はこのpdfをダウンロードのこと:グライダー型、後退翼(ジェット機型)、前進翼(コウモリ型)、三角翼、逆三角翼(ムササビ型)X翼(トンボ型)、チョウ型の7種類)。
 キッチンバサミだと細部で割れてしまいやすいので、万能ハサミ(工具C)で切る。Pカッター(工具B)がお奨め。カッターマットとスチール製定規を忘れずに。
 あわせてV字型尾翼も切り出す(「翼型の例」の最後のページ)。
 切断後は、紙やすりを木切れに巻きつけたものでバリ取りする。  
C 胴体の組立て:Bで切断したペットボトル2個を塩ビ管に取り付ける。
まず、塩ビ管とペットボトルの口はぶかぶかなので、ビニルテープ(厚み0.2mmで31.5cm程度、材料F)を塩ビ管に巻いて、ペットボトルが塩ビ管にしっかりと固着するようにする。
 次にペットボトルの一方の四隅に切り込みを入れ、もう一方のペットボトルの中に差し込む。その際、2つの水抜き穴が対角線に位置する(一方が空気抜きになる)ように位置合わせするのを忘れないように。
ペットボトルの接続
D 心棒と尾翼の接着:塩ビ管がペットボトルから5cmほど飛び出している部分にV字型尾翼を取り付ける。
 まず切り出したV字型尾翼は、割れてしまわないように鉛筆などを当てながら折り曲げる(90度程度に塑性変形させる)。
 次にゴムバンド2本を2重巻にしたものをあらかじめ塩ビ管がペットボトルに掛けておく
 そのうえで、V字尾翼の谷の部分にウルトラ多用途SUを塗り、塩ビ管に掛けてあるゴムバンドに指を掛けたまま、尾翼を塩ビ管に接着してからゴムバンドを塩ビ管の残りの部分に掛けて尾翼を固定する。この作業は文章で書きにくく、なかなか大変。
 取り付け台とV字型尾翼の位置関係が正しくなるよう、接着剤が固まる前に素早く微調整する。
V字尾翼
E オモリ:水中では頭を下げる姿勢にしないと揚力ですぐに頭を上げてしまうので、先端にオモリを付ける。板鉛(厚さ0.25mで15cmぐらい)を折って(約6g前後)、ペットボトルの先端ネジ部分の直後のペットボトルの首の部分の下面にオモリをビニールテープで貼り付ける。この場合の重心位置は右図のとおり。これで本体は完成。
F 主翼の取り付け位置の調整:お気に入りの主翼形状をビニールテープでペットボトルの上面に貼り付ける。プールで実際に滑走させてみて、主翼の前後位置を最適にする。
 静止状態では尾翼の流体抵抗で頭を下げる(ダウントリム)ように進み始める。滑走を始めると主翼の前縁あたりに揚力が生じるので、主翼前縁が上手の重心位置より少し前方に位置するように取り付ければ、揚力モーメントが頭を上げる方向(アップトリム)に生じ、重力モーメントと釣り合ったところで滑走続けるようになる。
 ここで、主翼前縁が前すぎると、揚力モーメントが大きくなりすぎて、アップトリムになり、失速又は逆走してしまう。逆に、主翼前縁が後ろすぎると、揚力モーメントが重力モーメントに勝てずにそのままプール底に突っ込んでしまう



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