ということで、ささやんが弾いているときに私が音量をいじり、また逆に私が弾いているときに、ささやんに音量を調整してもらうというのを高松での残り1ヶ月の間にやってみたわけです。
絃はフォークギター用ライトゲージ以上。ピックはエクストラ・ヘビーのおむすび型で、全く同じものを使ってたのがうれしい。これより丈夫なのは900円のべっ甲製で私は買うのをためらったが、ささやんは買っていた。その900円が「えぐれて」くれれば、自分を誉めるんだそうです。
違うのは、アンプを大分離してドラムやベースより後に置いている。「それじゃ自分の音が聞こえないじゃないか」と言ったら、「これで自分が聞こえなきゃ客席に聞こえるわけがない」と言う。
自分の音が離れた所から、それも大音響に混じって聞こえるのはなかなかやりにくい。第一、自分でアンプが調整できない。ギター付きのピックアップだけで調整するのは難しいものである。
ところが、そのかわりに自分の音がドラム、ベースと同じ方向から聞こえてくるからか、ドラム、ベースと自分との「ちぐはぐ感」があまりない。NSOでは背中に置いたアンプからの音と、その後のドラム、左のベースと、バラバラの方向から音が来てタイミングが合いにくかったのかもしれない。
しかし困ったことには、客席でなんとかギターが感じられる程度までボリュームを上げると、ベースが、すぐ隣でギターがガンガン鳴って弾きづらいという。
この問題のほか、こんなことが分かった。
@ フォルテシモ(全員演奏状態)でギターが客席になんとか聞こえる(体で感じる)音量とは、ギター単独で鳴らしてデカ過ぎる音量よりまだ大きい。
A とはいえ、フォルテシモでもギターが聞こえるような音量に設定すると、ほかの部分でうるさい。つまり、途中でピックアップを絞りたくても手が一本足らないし、ピッキングを弱くするとフレディー・グリーンの「あの音」からかけ離れてしまうからである。このため、誰かのソロの時にギターがなんとか聞こえる程度に設定して、フォルテシモは捨てるしかない。
B アンプに頼りすぎるとボワっとした音になるので、ギターのピックアップを最大にし、かつ、力の限りぶったたき、アンプは極力絞る。ただし、ピックアップは打撃音を拾ってくれない。フレディ・グリーンのギターにはピックアップは付いていないので、生音だけで「あの音」を出しているとささやん信じている。いくらフル・アコよりも共鳴箱の大きいギターを使っているからといっても、マイクで拾っているとしか考えられない。
所詮、大音響の中で普通のフル・アコースティック・ギターが「自分だけで」できることといったら、フォルテシモでは力の限りぶったたき、それもハイポジションで1弦も鳴らすことで音量不足を補い、誰かのソロでは手加減して「チャッチャッチャッ」でいくしかないようです。
ところが、ささやんはあくまでも、なるべく生音で「あの音」、つまり「ベンベンベン」という泥臭い音を出したいとこだわる。フレディーのように1弦をミュートし、低音域でピッキングしていると、アンプではボワっとした音になってしまう。代わりにマイクを使い、客席の誰かが全体の音量に合わせてギターの音量も調節するしかないようです。
共に練習したのはわずかだったのに、ささやんとコンマスのS夫妻に送別会をしてもらい、四国に別れを告げたのでありました。普段の練習ゼロの自分がこういう人達と音楽を話し合うというのは全く厚顔無知だけれども、やはりそうしてきてよかった。
さて、名古屋の辞令は3月1日付け。当初、3月末には女房の後遺症認定が済むだろうと思って1月だけ単身赴任し、その間、前任者との引き継ぎや本社などとの打ち合わせのため東京出張し(3月8日のこと)、またまた"That's warm Feeling"ならぬ”雑音腐萎淋”してしまった。
その後、女房に再び寝込まれてしまって毎週名古屋/高松を往復し、家事と荷作りと壁塗りに追われながらなんとか家族の引っ越しが済んだ。手続き、口座開設、荷物の開放・収納、引っ越しゴミの処分、医者探し、タナの増設、延長コードの増設、壁塗りなども片付き、一段落した。
名古屋の職場は、毎日よくもまあ体がもつなと思うぐらい酒好きが多い。四国では家事に追われるたびに加害者を怨んでしまう毎日でとうとう慢性胃炎になってしまったので、来月の人間ドックが済むまでは好きな酒の付き合いをほどほどにし、完全復調を目指す。
区役所のイベント・チラシの中から、ついに「スィンギンガイズ・ジャズ・オーケストラ」を見つけ出した。クラリネットの名人がいる。ピアノが今度も若い主婦というのがよい。お祭り会場でリーダーに自己紹介したところ、ギターがいないので一緒にやりませんか、と言われ、来週から参加することになりました。名古屋にはビックバンドが10ぐらいあるそうで、唯一SWJOしかない香川県とは大違いです。