■クライブ・カッスラーのNUMA(国立海中海洋機関)シリーズ

 国立海中海洋機関NUMA(National Underwater & Marine Agency)の特殊任務責任者ダーク・ピットを主人公とするシリーズ。毎回、必ず、財宝を積んで沈んだ船、半裸の美女、クラシックカー、カッスラー本人が登場する。カート・オースチンを主人公とするシリーズも2作あり。
 その他の常連は、相棒のアル・ジョルディーノ、長官のジェームズ・サンデッカー、副長官のルディ・ガン、コンピュータの天才のハイアラム・イェーガー、下院議員でダークの愛人のローレン・スミス、海事古文書学者のサン・ジュリアン・パールマター。
 NUMAは5000人の科学者・技術者ほかを抱え、深海地質学、探鉱、海洋生物学、海洋考古学、気候学を研究を行っている。CIAや海軍の所属としなかったところにかえって作品としての自由度が広がったといえよう。

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2005年6月4日更新

●「スターバック号を奪回せよ」(1982、クライブ・カッスラー、新潮文庫)

 1985年、最新鋭の原潜<スターバック号>(与圧船体、潜航深度600m、巡航速度255キロ!、乗員160名)ほか37隻の船舶が、ハワイ諸島の東方”太平洋の渦”で行方不明。米海軍の偽装サルベージ船<マアーサ・アン号>(ヘリ搭載、12000トン前後、プロトン磁力計、水中カメラ、サイドスキャンソーナー)が捜索する・・・。
 サマー・モーランがヒロイン。フラートン断裂帯(フラクチャー・ゾーン)近くの水深4500mの海域に、頂部の水深48mの海山(非火山性)の海中洞窟が登場する。

●「海中密輸ルートを探れ」(1982、クライブ・カッスラー、新潮文庫)
 1986年、ギリシャのタソス島沖でNUMAの調査船<ファースト・アテンプト号>が二億年前に絶滅したはずの海洋生物ティーザーの調査(海洋古生物学計画)を実施・・・。
 テリー・フォン・ティルがヒロイン。

●「氷山を狙え」(1976、クライブ・カッスラー、新潮文庫)
 1987年3月、海底探査で世界屈指のファイリー社の調査船<ラックス>が氷山に閉じこめられた状態で発見された。<ラックス>は、人工放射性元素セルティニウム279が放出する中性子を利用して、海底のジルコニウム大鉱床を探索する海中探査機を搭載していた・・・。
 コースト・ガードの最新鋭の監視船<カトーバ号>が登場。NUMA海洋学者ウィリアム・ハネウェル、深海流の研究者レン・マタジクが登場。

●「タイタニックを引き揚げろ」(1976、クライブ・カッスラー、新潮文庫)西村屋選
 映画名「レイズ・ザ・タイタニック」。1987年9月、百万倍も増幅した音波によるミサイル防衛システム「シシリアン計画」が米大統領の秘密資金で進まれている。それに不可欠な希少鉱物のビザニウムは、ロシアのノバスゼムリヤで採掘された後、1912年に沈没したタイタニックに積まれていたという。NUMAの調査用深海艇<サッフォー1号>(7人乗り、ペイロード:2トン、潜航深度:24000ft、潜航可能時間:2ヶ月、航続距離:1500マイル)は、ローレライ海流漂流探検においてついにタイタニック号の手掛かりを発見・・・。
 引き揚げ法は、ウェットスチールで破口を塞ぎ、船内に圧搾空気を送り込み、電解質の化学薬品で底泥と船体の密着を離す。水深約4000mまで圧搾空気を送るのはかなり厳しそう。
 「海中密輸ルートを探れ」のNUMAの研究船<ファースト・アテンプト号>が再登場するほか、引き揚げ作業に用いる洋上船舶は、海軍の深海引き揚げ船<モドック号>、圧搾空気を海中に送り込む補給船<カプリコーン>、深海作業用<ボンバーガー>、補給船<アルハンブラ>と<モントレー・パーク>の5隻を使用。海中作業はNUMAの潜水艇<サッフォー1号>と姉妹艇<サッフォー2号>、米海軍の深海引き揚げ・救助用潜水艇<シー・スラグ号>、ウラヌス石油会社の潜水艇<ディープ・ファザム>の4隻を使用。引き揚げ後の曳航には米海軍のサルベージ用曳船<トーマス・J・モース>と<サミュエル・R・ウォーレス>を使用。
 深海作業中にタイタニック号上で浮上不能となった<ディープ・ファザム>救難のため、急遽、タイタニック号ごと引き揚げる場面は秀逸。
 ダナ・シーグラムがヒロイン。

 映画「レイズ・ザ・タイタニック」:小説にわりと忠実。タイタニックの捜索には架空の<スターフィッシュ>のほか、<ディープクエスト>、<シークリフ>、<タートル>という実在の潜水調査船が登場。

●「QD弾頭を回収せよ」(1978、クライブ・カッスラー、新潮文庫)
 1988年9月。特別な海中技術は登場しない。

●「マンハッタン特急を探せ」(1981、クライブ・カッスラー、新潮文庫)
 1989年2月。画期的な海底資源探査船<ドゥードルバッグ号>が登場。「シシリアン計画」の成果である高エネルギー・ビームを使って岩盤を20kmも見通し、41種類の鉱物と金属の痕跡を確定する能力がある。小型の潜水船で、航空機の主翼の内側半分を逆さに立てた格好、又は、潜水艦本体から切り離されたセイルのような格好だという。アルミニウム合金製。
 その他、NUMAの調査船<デ・ソート号>(全長17m)、<オーシャン・ベンチャラー号>(耐氷構造、船体中央に50トンデリッククレーンを持つ。曲線の多い美しい船)、「タイタニックを引き揚げろ」のNUMA潜水艇<サッフォー1号>が再登場、大気圧潜水服「JIMスーツ」が登場。

●「大統領誘拐の謎を追え」(1984、クライブ・カッスラー、新潮文庫)
 1989年7月。「氷山を狙え」のコーストガードの監視船<カトーバ号>が再登場。クライン・ハイドロスキャン・ソナーを装備。探査幅:左右600mずつ。

●「ラドラダの秘宝を探せ」(1986、クライブ・カッスラー、新潮文庫)
 1989年10月。ジェシー・ラバロンがヒロイン。

●「古代ローマ船の功績をたどれ」(1988、クライブ・カッスラー、新潮文庫)
 1991年10月。砕氷調査船<ポーラー・エクスプローラー号>がクライン・サイドスキャンソナーを使い、海底の隕石クレーターの内側にアルファ級原潜を発見。
 その他、ロボット潜水船<シャーロック>、NUMA調査船<サウンダー号>(曳航式)、潜水船<ディープローバー>、物質精査電磁気反応プロフィーリング装置(大地探査レーダーユニット”ジオレーダー・ワン”)が登場。
 人類学者リリー・シャープがヒロイン。

●「ドラゴンセンターを破壊せよ」(1990、クライブ・カッスラー、新潮文庫)
 1993年10月、英海洋科学船<インビンシブル>及び深海潜水艇<オールドガート>(3人乗り、11000m級?、速力8ノット!、チタン繊維を織り込んだ透明重合体による180度視野)が水深5700mのメンドシノ断裂帯を調査中、洋上での核爆発に巻き込まれる・・・。
 今回の目玉は水深5400mに設置された海底資源探鉱基地<ソギーエーカーズ>(水浸しの土地)、DSMV(深海探鉱車)<ビッグジョン>と<ビッグベン>(空中重量15トン、小型原子炉!、海底移動速度15km時、レーザー・ソナーによる立体水中画像装置を搭載。)。
 マンガン団塊、ブラックスモ−カー、チューブワーム、1万m有人潜水船<ディープ・クエスト号>(空中重量12トン)、水中ビジュアル技術<ザ・グレート・カーナク>(サイドスキャン・ソーナーのマップ化技術か?)も登場。海溝斜面の海底断層上で核爆弾を爆発させ、島を地盤沈下と津波で壊滅させる。
 ステイシー・フォックスがヒロイン。

●「死のサハラを脱出せよ」(1992、クライブ・カッスラー、新潮文庫)/「サハラ」(2005、映画)
 1996年5月、西アフリカ沿岸で、何者かが赤潮(渦鞭毛虫)の爆発的増殖をもたらす有機金属化合物−合成アミノ酸とコバルトの結合体を投入した。際限なく増殖する赤潮・・・。
 NUMA調査船<サウンダー号>(建造費8000万ドル、全長120m、地震探査装置(地震探知器と訳されている)、ソナー、深海測深用機器類が搭載)が再々登場。ほか、NUMA高速調査艇<カリオペ号>(最高70ノット、自動式微生物培養器、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS。「ガスクロマトグラフィー兼質量分析器」と訳されている)、誘導結合プラズマ質量分析計(SC-ICP-MS。「電磁結合したプラズマ兼質量分析器」と訳されている)を搭載)が登場。
 グッドウィン海洋科学研究所の主任海洋毒物学士ダーシー・チャップマン、NUMA海洋生物学部長ミュリエル・ホーグ(女性)、NUMA環境化学者エバン・ホランド、NUMA衛星分析者チップ・ウェブスター、NUMA主任海洋学者キース・ホッジ(60代)が登場。エヴァ・ロハスがヒロイン。

 「タイタニックを引き揚げろ」以降の映画化第一弾の「サハラ」はU-571艦長役のマシュー・マコノヒーが主人公、ペネロペ・クルスがヒロイン。

●「インカの黄金を追え」(1994、クライブ・カッスラー、新潮文庫)
 1998年10月、NUMAの調査船<ディープ・ファザム号>(地震波による海底下構造探査船らしい)が登場。熱水活動域の深海微生物などによる新薬開発の話がちらっと出てくる。スキューバ・ダイビングによる飽和潜水と減圧時間についても詳しい。なぜか<ファースト・アテンプト号>が一般のヨットとして登場する。

●「殺戮衝撃波を断て」(1996、クライブ・カッスラー、新潮文庫)
 2000年1月、高エネルギー・パルス超音波を利用したタイアモンド採掘が、低周波の音響として海中を数千kmも隔てて伝播し集束することによって、太平洋の各地で生物の大量死が発生・・・。
 NUMAの双胴型極地調査船<アイス・ハンター号>、深海測量船<オーシャン・アングラー号>が登場。なんとヒューズ社のあの<グローマー・エクスプローラー号>が窮地を救う。海蛇伝説も登場。ダイアモンドが300億年前(凄い!)にマントル上部で形成されたとなっている。
 NUMA海洋地質学主任チャールズ・ベークウェル、海洋生物学者メーブ・フレッチャー、音響海洋学サンフォード・エイムズが登場。メーブ・フレッチャーがヒロイン。

=>Hughes社のGlomar Explorer号>CIAのProject Jennifer

●「暴虐の奔流を止めろ」(1997、クライブ・カッスラー、新潮文庫)
 2000年4月、ベントス社製自律式水中艇(AUV、長さ60cm)や大型AUVが活躍する。このほか、潜水艇<シードックII>(長さ6m、重量1450kg)、深海気圧潜水システム<ニュートスーツ>(大気圧潜水服のことか?)、潜水艇<サッポーIV>、ジオメトリックス海洋磁力計、クライン・アンド・アソシエイツ・システムズ2000ソナー(サイドスキャン・ソナー)、ベントス<ミニローバーII>ロボット艇(重量35kgたらず)、敵側の7500m潜水艇<シー・ロータス号>と<シー・ジャスミン号>が登場する。その他行方不明になっている北京原人の骨が登場する。
 ジュリア・マリー・リーがヒロイン。のちに”オレゴン・ファイル”シリーズとなる秘密工作船”オレゴン号”とファン・カブリーヨが登場するらしい。

●「コロンブスの呪縛を解け NUMAファイル・シリーズ」(1999、クライブ・カッスラー&ポール・ケンプレコス、新潮文庫、上下巻)
 カート・オースチンとホセ(ジョー)・ザバーラのシリーズ第1作。2000年6月、NUMAの新鋭調査船<ネーレウス号>がメキシコ湾ユカタン半島の小天体衝突跡で調査する。衝突由来のテクタイトなんて言葉も登場。
 NUMA深海地質学者ポール・トラウト、その妻でNUMA海洋生物学者ガメー・トラウト、海洋考古学者ニーナ・キーロフ(マリタイム・リサーチ社)が登場。下巻では1956年にナンタケット海峡でストックホルム号(2万9000トン、52名死亡)と衝突して沈没したアンドリア・ドリア号(乗客1200人以上)の探索に<ディープ・フライト二号>と大気圧潜水服<シーニック・ハードスーツ>と潜水鐘による飽和潜水が登場する。

●「アトランティスを発見せよ」(1999、クライブ・カッスラー、新潮文庫)西村屋選
 紀元前7120年、彗星がハドソン湾に衝突して地殻転位が起こり、高度な海洋都市国家同盟アメネス(アミーニース)が滅びたとする、グラハム・ハンコック「神々の指紋」をモチーフとした作品。面積約64万平方km、厚さ170〜370kmのロス海棚氷を切り離すことで自転軸を狂わせるというトンデモない計画が登場する。
 2001年、謎の潜水艦<U-2015>、米砕氷船<ポーラーストーム>、米原潜<ツーソン>のほか、巨大な洋上都市船が登場する。
 <ウルリヒ・ヴォルフ号>は、全長1800m、幅450m、高さ32階、排水量350万トン、91万馬力のディーゼル推進、12万5000人を運搬。<カール・ヴォルフ号>はスーパータンカーで、5万エーカーの耕作地と5万人、<オットー・ヴォルフ号>は何十万もの食用と飼育用の動物と5万人を、<ヘルマン・ヴォルフ号>は貨物船兼整備船。5万人を収容。総数27万5000人。
 GPSは南極から1600km以内は測位精度が悪いとなっているが、本当だろうか?

●「白き女神を救え」(1999、クライブ・カッスラー、新潮文庫)
 オースチンとザバーラのシリーズ第2作。クジラの集団死に遭遇。NUMA海洋調査船<シー・ロビン>、小型潜航艇<ブローガン>、<シー・バス>が登場。淡水資源問題が絡む。

●「ロマノフの幻を追え」(2002、クライブ・カッスラー、新潮文庫)
 オースチンとザバーラのシリーズ第3作。海洋考古学ミッションにチャーターされた原子力潜水調査船<NR-1>がシージャンクされた。NUMA調査船<アルゴ>と姉妹船の<シー・ハンター>、アタマンの豪華ヨット<カザチェストヴォ>、石油掘削リグ<アタマン・エキスプローラー一世>が登場。メタン・ハイドレートが絡む。

●「マンハッタンを死守せよ」("Valhalla Rising", 上下巻)西村屋選
 豪華客船<エメラルド・ドルフィン号>が謎の陰謀で大火災を起こし、2000人を超える乗客・乗員を全長70mの支援母船<ディープ・エンカウンター号>で救助するシーンは秀逸!

・豪華定期客船<エメラルド・ドルフィン号>:全長225m、総トン数5万トン、乗客1600人、乗員900人、自己持続型の磁気流体力学MHDエンジン、43km/h、ブルーシーズ・クルーズ海運)
・NUMA海洋調査船<ディープ・エンカウンター号>:全長70m、幅15m、定格最高速度28km/h(実質36km/h)、3000馬力ディーゼル・エレクトリック推進エンジン2基、全方向Z駆動装置2基、船首ジェットスラスター、水路測量学調査用ランチ(全長10.5m)2隻、2基の伸縮式デッキクレーン、潜水艇<アビス・ナビゲーター号>(チタン合金の耐圧球、4人乗り、)、AUV<シースルース号>(高さ2.1m、幅1.8m、全長2.1m)
・豪華双胴式クルーザー<ペリウィンクル号>:クライブ・カッスラー船長、全長20m、
・水中クルーズ船<ゴールデン・マーリン号>:全長120m、幅12m、自己持続型MHDエンジン、最大潜航深度300m、700人、50人乗り脱出ポッド
・深海潜水救助艇<マーキュリー号>/母船<アルフレッド・オールトマン号>
・62万トンタンカーUULCC<パシフィック・トロージャン号>
・LNGタンカー<モンゴル・インベーダー号>:全長558m、幅108m(おかしい)、独立型球形タンク8基(現存では6基が最多か)。6万軸馬力2基、搭載ガス量12万1969立方m。
・<コーラル・ワンダラー号>:全長26m、水上80km/h、水中45km/h、排水量400トン、深度360m、航続距離360km、11名の乗客と乗員。オーシャンダイバー・シリーズ(これがモデルか=>Nomad 1000
ノーチラス号>:全長約75m、幅7.5m、英海軍大佐キャメロン・アマースト船長がスコットランドのある断崖の中にある水中洞窟で建造、米実験潜水艦<アルバコア号>に似ている。30年経った1901.6.10にエンジン停止。

●「オデッセイの脅威を暴け」("Trojan Odyssey", 2003、新潮文庫2005、上下巻)
 ダーク・ピット・シリーズ。2002年以来、カリブ海で褐色汚濁が広がり、生物が死滅。
 NUMA気象予報官のハイジ・リシャーネス博士はハリケーン"リジー"の発生に気付く。その頃、ドミニカ共和国の北東110キロあまりのナヴィダド浅堆礁の水面下15mに設置された水中研究所ピシーズ(魚類、魚座の意味。重量50トン、奥行き11.5m。現実の水中ハビタット<アクエリアス>がモデルであろう。)ではサマー・ピットとダーク・ピットの兄妹がカリブ海で広がる海棲生物被害をもたらしている褐色汚濁の原因調査を行っていた。1876年、ハリケーンで沈んだ客船<ヴァンダリア号>の近くで謎の洞穴を発見。その奥には・・・。

 ハリケーン"リジー"はドミニカ共和国南岸カブロン岬先端から3キロ余り沖に係留されているオーシャンワンダラー海中リゾートホテル(宿泊客1000人)を襲う。それを超多目的海洋調査船兼潜水支援船<シースプライト号>(全長92m、元砕氷タグ、電磁流体力学エンジン2基)が救出に向かう。
 褐色汚濁の発生源と思われるニカラグアの沖合いにNUMA観測船<ポコボニト号>(2000馬力ディーザル機関2基)が派遣されるが・・・。
 以上はイントロ。本題は、メキシコ湾流を太平洋側に流すトンネルを掘って欧州と米東海岸を寒冷化させてしまう陰謀が描かれる。

ドライスーツのヴァイキング・プロターボ1000、フルフェイスマスクのAGAマークII

●「オケアノスの野望を砕け」(2003、新潮文庫、2006.7)
 カート・オースチンのシリーズ。今回登場するのは、過激な環境保護団体〈海の番人(SOS)〉の〈シー・センチネル〉と多国籍の海産物流通業者〈オケアノス・コーポレーション〉。たぶんはじめて遺伝子組み換え生物の話題が扱われる。

 ハードウェアでは潜水救助艇〈シー・ランプリー〉(定員:操縦士2名+8名)と大気圧潜水服(ADS)ハードスーツ(全長7 ft弱, 水深2000 ftで6時間稼動、スラスター付き)が登場。

 序盤で、水深260 ftの海底に沈んだ巡洋艦に乗組員が閉じ込められ、〈シー・ランプリー〉をヘリMi-26(全長100ft強)と大型輸送機アントノフN-124で運搬して救助する。

●「Golden Buddha」(2003.10、未訳、カッスラーとクレイグ・ダーゴ)
 カブリリョもの。

●「Sacred Stone」(2004.10、未訳、カッスラーとクレイグ・ダーゴ)
 カブリリョもの。

●「極東細菌テロを爆砕せよ」("Black Wind", 2004、新潮文庫、2006.12)
 ダーク・ピット・シリーズ。NUMAの海洋調査船が5隻登場する。「ディープエンデバー号」(ヘリ、深海用コアリング艇「バジャー号」搭載)、同「マリアナエクスプローラー号」(曳航式サイドスキャンソーナー)、「シーロウバー号」(自動水中艇AUV「オードリ」、2000m潜水艇「スターフィッシュ艇」、それに搭載されたROV「スヌーピー艇」)、「パシフィックエクスプローラー号」、「ブルーギル号」。
 今回、終盤で大活躍するバジャー号はスクリプス海洋研究所とNUMAの共同開発、燃料電池駆動。熱水噴出孔周辺のコアリングを目的とした有人潜水艇。長さ3mのコアリング装置が装備されている。
 石油掘削リグ(セミサブ型)を改造したロケット発射台「オデッセイ号」、海洋研究開発機構の「深海」(24トン)

●「Lost City」(未訳、2004.7、Clive CusslerとPaul Kemprecos)
 オースチンもの。こちらのシリーズは特殊部隊出身の主人公カートのほか、海中工学エンジニアのザバーラ、地質学者と生化学者のトラウト夫妻の4人が常連。海洋研究機関の代表的な職種をカバーしています。といっても、いずれもヘリが操縦できるなど、およそ研究者離れしていますが。

 書名の「Lost City」は、大西洋中央海嶺の熱水噴出孔の中でも炭酸塩チムニーや蛇紋岩の存在で特異な場所。水深は比較的浅く、800m。
=>http://www.mypress.jp/v2_writers/miyu_desu/story/?story_id=948124
 ここが舞台というだけでも興味をそそられますが、もうひとつの題材が"Caulerpa taxifolia"、日本名:イチイヅタ、別名「キラー海藻」。
 水族館の水槽の強い紫外線で変異した種が地中海で猛威をふるっているとのこと。
=>http://www.ichiitsuta.com/
=>http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/01119/mokuji.htm
 このイチイヅタがLost Cityでさらに変異して、大西洋の海面を覆い始めるという内 容。
 それに「賢者の石」、「死の商人」、「ドラキュラ伝説」、「ドクター・モローの 島」、「エドガー・アラン・ポー」などが絡む、盛り沢山のストーリー。

●「Polar Shift」(未訳、2005.8、Clive CusslerとPaul Kemprecos)
 オースチンもの。

●「遭難船のダイヤを追え!」(上下巻、2006.10、"Skeleton Coast", カッスラーとジャック・ダブラル、ソフトバンク文庫、2007.10)
 ファン・カブリーヨもの。

●「ハーンの秘宝を奪取せよ」(上下巻、2006.11、"Treasure of Kharn"、クライブ・カッスラーとダーク・カッスラー、新潮文庫、2008.4)
 ダークもの。まず1281年、神風の由来となった2度目の元寇/蒙古襲来から始まる。次に1937年、日本軍の南京侵攻。そして現在のバイカル湖。
 バイカル湖でM6.7の地震が発生。湖のほぼ中央にあるオルホン島の沖合いで海底地すべりが発生し、津波が一帯を襲う。ロシアの調査船ペレシチャーギン号で未確認の湖流を米ロ共同調査していたNUMAのダークらは、漁船で炭化水素漏出域を調査していた一行をからくも救助する。
 ペルシャ湾のラスタヌーラの石油積み出し基地でM7.3の地震が発生し火炎地獄に見舞われる。揚子江デルタにある寧波(ニンポー)港で火災を起こした貨物船が石油積み出しターミナルに突っ込み、冊子島ターミナルが壊滅する。さらにラスタヌーラから300km離れたイランのカーグ島の石油積み出し基地が地震で壊滅する。ラスタヌーラとカーグ島では謎の小型掘削船(バヤンスター号)の姿が・・・。
 パラメトリック音響装置による地震プロファイリング装置/音響地震装置が登場。「極東細菌テロを爆砕せよ」のNUMA調査船マリアナエクスプローラー号が再登場。

●「The Navigator」(未訳)


=>ダーク・ピット百科事典(SHIGさんのサイト"the MIDIcian and WRDist")*西村屋選

=>NUMA(National Underwater & Marine Agency)

=>クライブ・カッスラー(信兵衛の読書手帳より)


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