■固体地球−地球史

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2001年11月13日更新


スーパー・プルーム」と「無氷河時代」と「超大陸」と「ウィルソン・サイクル
 大規模なホット・プルームを「スーパー・プルーム」と呼ぶ。スーパー・プルームが活発な時期は、プレート移動速度が速く、海洋底全体が現在よりも隆起し、地球内部からの熱・物質の放出も活発になる。この温室効果と海底隆起によって海面が現在よりも100m以上も高く、北極及び南極から海氷・氷床が消滅した時代を「無氷河時代」と呼ぶ。
 プレート運動によって大陸が離散集合を繰り返すうち、大陸が集合したものを「超大陸」と呼ぶ。超大陸の分裂時期にスーパー・プルームが活発であり、超大陸の形成がスーパー・プルームの形成に関係していると見られている。もっとも最近の超大陸は、約2億年前の「パンゲア超大陸」である。その前は「ゴンドワナ超大陸」。
地質年代表
 超大陸の形成と分裂のサイクルを「ウィルソン・サイクル

巨大火成岩岩石区」(LIPs:Large Igneous Provinces)と「大陸洪水玄武岩
 かつてスーパープルームが地球表面に噴出してできた玄武岩の巨大な岩体のうち、海洋にあるものを「巨大火成岩岩石区」(LIPs:Large Igneous Provinces)という。シャツキーライズ海台、オントンジャバ海台などが有名。陸上にあるものを「大陸洪水玄武岩」といい、インドのデカン・トラップが有名。

オフィオライト
 地球上の造山帯に産する玄武岩・斑れい岩・かんらん岩などの層状複合岩体。過去の海洋性地殻が造山運動によって大陸地殻に衝上したものと思われている。

=>オフィオライトのページ(金沢大学理学部地球学科 石渡 明)

地磁気(磁場)逆転」と「スーパークロン」と「地磁気イベント」と「地磁気エクスカーション
 地球磁場は、過去、10〜100万年ぐらいの不規則な間隔で何度も南北が逆転している。それを「地磁気(磁場)逆転」 (Reversal of geomagnetic field) という。白亜紀半ばのスーパー・プルームの活発な数千万年もの間、磁場逆転がなかった時期のことを「スーパークロン」と呼び、マントルと核との間でなんらかの相互作用があることを示すものと考えられている。
 最も最近の地磁気逆転は、約69万年(文献によっては73万年又は78万年)前であり、それ以降の期間を「ブリュンヌ(正磁極)期」(Brunhes epoch) と呼ぶ。その前の逆転は、約243万年(文献によっては250万年)前で、その間を「松山(逆転磁極)期」 (Matsuyama epoch)、さらにその前の期間を「ガウス期」 (Gauss epoch)と呼ぶ。
 地磁気逆転の期間内には数万年程度の周期で「地磁気イベント」(events)と呼ばれる短期的な逆転時期があり、さらに、数百〜数千年の周期で「地磁気エクスカーション」と呼ばれる俯角の変化が見られる。
 有孔虫の殻が融けてしまう海域の堆積物コアについては、地磁気逆転、地磁気イベント、地磁気エクスカーションから年代を決定できる。

=>竹田雅彦さんのサイト(京都大学大学院理学研究科付属地磁気世界資料解析センター。地磁気用語集など)

海洋貧酸素(無酸素)事変(事件)」(OAE)
 白亜紀に海洋の100m以深が貧酸素状態になる状態が何度か発生している。これを「海洋貧酸素(無酸素)事変(事件)」(OAE)という。スーパー・プルームの上昇によって大気中に大量の温室効果ガスが放出され、極域に海氷が生成されなくなったために、その周辺での海水の沈降がなくなり、貧酸素状態が出現したと見られている。この時期に石油の60%が形成されている。

氷河時代」と「氷期
 よく混同される。「氷河時代」は億年のオーダーの周期で訪れる。反対に暖かい時代を「無氷河時代」と呼ぶ。超大陸の配置やスーパー・プルーム活動と関係がありそう。
 一方、「氷期」は氷河時代にあって4万〜10万年の周期で繰り返される。同周期の暖かい時期を「間氷期」と呼ぶ。現在(「後氷期」又は「完新世」)は、氷河時代における間氷期にあたる。
氷期・間氷期サイクル

KT境界
 中生代末(白亜紀末)と新生代(第三紀)の境界となる地層で6500万年前に当たる。この時、小天体が衝突して恐竜を含む多くの生物種が絶滅した。小天体衝突説はアルバレイス父子が提唱したもの。この地層にイリジウムの濃集が見られることから、衝突したのは氷が主体である彗星ではなく小惑星と見られるが、地球マントル深部からも供給されうる。同地層からは、マイクロテクタイトというガラス質の小球やショックド・クォーツという衝撃で変成した石英結晶も見つかっている。
 衝突場所は、メキシコ湾ユカタン半島(チチュラブ・クレーター)である。同時期にインド亜大陸でホット・プルームが噴出してデカン高原が形成されている。

ミランコビッチ周期
 地球の軌道要素の変動によって南北それぞれの半球の日射量が変化する一方、大陸分布が北半球に偏っていることにより引き起こされる氷期・間氷期のサイクルを「ミランコビッチ周期」といい、
・「地球軌道の離心率」の変動(0.0005〜0.0543の間で変化。40万年、12.5万年、9.5万年周期)
・「地球自転軸の傾斜角」の変動(22〜24.5度の間で変化。4.1万年周期)
・「地軸歳差運動(みそずり運動)と軌道面歳差運動の結果に離心率変動が重なって日射量変化に利いてくるもの」(1.9万年、2.3万年周期)
がある。
 10.0万年周期については、歳差運動の1.9万年と2.3万年周期により気候システムが非線形応答して生じるとする説が主流だが、地球の公転軌道面と黄道面との角度が変化する周期であるとするMullerの宇宙塵仮説がある。
宇宙塵仮説

ハインリッヒ事件」(Heinrich Event)と「ダンスガード=オシュガー周期」(Millennial Cycle)
 氷山が流出し、それに付着した岩石が大西洋に広くまき散らされた事件を「ハインリッヒ事件」(Heinrich Event)という。大西洋深層水(NADW)の循環が弱まっている。
 この直後に生じる急激な温暖化となだらかな寒冷化を「Dansgaard(ダンスガード)-Oeschger(オシュガー)周期」という。「Millennial Cycle」ともいう。
 両者の関連を見出したBondの名にちなんで「Bond Cycle」と総称する。
Millenial Cycleのパラドックス

ヤンガードリアス(ドライアス)事件


=>恐竜パンテオン(金子隆一さんのサイト)

=>生命と進化(メールマガジンmelma, green-forestさんのサイト)西村屋選

=>地球の誕生(年代決定法、T.T.さんの競馬と世界史のサイト)西村屋選

=>恐竜大絶滅の謎を追え −進化論を考える(JOHOSリサーチファイル2000−真相究明マガジン)

=>用語解説地球のささやき(EPACS自然史博物館「神奈川の大地」より。地球の歴史、生命の歴史、地球の仕組み、地球地学紀行、地球の調べ方、地球と人と。神奈川県立生命の星・地球博物館の小出良幸さんのサイト)【相互リンク】西村屋選

=>霊長類の進化系統樹(京都大学霊長類研究所)

=>世界の衝突クレーターリスト

=>Global Warming(Answers to Frequently Asked Questions: How Does the Current Climate Compare with Past Climate?)

=>Global climate models, past, present and future: The Earth’s climate system and reconstruction of past climates

=>Exploring the Dynamics of Earth Systems

=>The long-term carbon cycle, fossilfuels and atmospheric composition(R. A. Berner)/Atmospheric oxygen over Phanerozoic time


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