■海洋モンスター/生物進化/恐竜

 巨大なサメ、タコ、イカなど海洋モンスターは、もう一方の海洋SFの花である。

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2007年9日24日更新

=「人魚姫伝説」へのショートカット
=「深海の知的存在」へのショートカット
=「自然環境派(イルカとクジラ)」へのショートカット
=「地球外生命探査・惑星改造」へのショートカット
=「星野之宣」へのショートカット

●「白鯨」(1851、ハアアーマン・メルヴィル):『モビイ・ディック』という名の巨大な白鯨が登場=イルカとクジラ

●『海底2万里』(1869、ジュール・ヴェルヌ):大蛸『クラッケン』が登場。西村屋選ノーチラス号とネモ船長

●「失われた世界−ロスト・ワールド」(1912、アーサー・コナン・ドイル、ハヤカワ文庫SF)
 南米秘境の断崖絶壁に囲まれた場所に生き残っている恐竜や原人。

●「マラコット深海」**(1923、コナン・ドイル、漫画版:1978、桑田二郎、主婦の友社)西村屋選
 「シャーロック・ホームズ」シリーズのコナン・ドイルが「失われた世界」など4冊のSFを書いており、その一つ。
 マラコット博士らが海洋調査船<ストラッドフォード>から吊した鉄製の箱で大西洋の海底の噴火山の上、水深540mを探検中、巨大なザリガニ状生物マラックスにケーブルを切られ、8113mの海底に落下。8000年前に沈んだアトランティス大陸の末裔たちに出会う(水棲人ではなさそうだ)。
 アトランティス大陸の沖合いで海底火山が大噴火し、その巨大津波に襲われた後、大陸が徐々に海溝の方へ滑り落ちていったが、水密の避難所に逃れた数十人が生き延びたもの。ある深さ以上は圧力を打ち消す作用が働き、分厚く堆積した有機物の分解に伴う燐光で明るいという設定。
 ひどく妙な格好の「ブランケット・フィッシュ」、半有機体、半気体性で知性のある「プラクサ」、海なめくじ属で電波で相手を殺す「クリックスコック」、ピラニアのような「ハイドロプス黒小鱒」、長さ60m以上の海蛇、半エーカーほどの大きさの大ヒラメ、深海の竜巻などが登場。マリン・スノーなど深海底の描写が驚くほどリアル。海底で測深錘の落下を目撃する視点がおもしろい。

●「霧笛」(1951、レイ・ブラッドベリ、短編集『ウは宇宙船のウ』に収録、創元SF文庫)
 わずか16ページの短編だが、多くの人に愛されている作品。絶滅した首長竜の生き残りが、灯台の霧笛を仲間と間違えて会いに来るが・・・。
 1953年『原子怪獣現わる』“The Beast From 20000 Fathoms”として映画化された。
=>『霧笛』レイ・ブラッドベリ(由里葉さんのNEW ATLANTISより)
=>百万年の孤独(川端裕人「未来は霧の中」より)

●『原子怪獣現わる』(1953年、The Beast From 20,000 Fathoms.米映画)
 本作品がヒントとなって日本の『ゴジラ』が誕生したんだそうだ。北極での水爆実験で恐竜『レドサウルス』が蘇り、マンハッタンに上陸するというパニック映画らしい。もともとブラッドベリの「霧笛」が原作とのことだが、かなり雰囲気は違うようだ。

●『海底からの怪物』(1954年)
=>SFシネ・クラシックス(エロの冒険者さんの素敵なあなたより)

●『水爆と深海の怪物』(1955、米映画)
 海洋で水爆実験を行ったため、ミンダナオ海溝にいたタコが巨大化する。やがて、怪物ダコはサンフランシスコを襲撃しゴールデン・ゲート・ブリッジを破壊する・・・。1)
=>generalworks

●『海底五万マイル』(Taina Dvukh Okeanov、1956、ゲレゴリー・アダモフ)
 大うみへび、大いか、バラクーダ、大タコ、大カニ、プレシオサウルスが登場。=ノーチラス号とネモ船長

●「海底牧場(1957、"The Deep Range"、アーサーC.クラーク『海底パトロール』):大イカ登場。西村屋選アーサー C.クラーク

●「大怪獣出現(大怪獣メギラ)」(1957)
 大地震によって海底地殻に大きな割れ目ができ、そこから放射能の影響で巨大化したイモ虫状の怪獣が出現する・・・。
=>SFシネ・クラシックス(エロの冒険者さんの素敵なあなたより)

●『最後の海底巨獣』(Dinosaurus!、1960、映画)
 カリビア海の海底爆破工事中、岩の下から仮死状態の恐竜2頭が発見される。落雷で2頭が蘇生し、島はダイパニック・・・。原始人も登場。ショベルカーかなにかで退治するそうな。
=>SFシネ・クラシックス(エロの冒険者さんの素敵なあなたより)

●『呪われた海の怪物』(1961、映画)
=>SFシネ・クラシックス(エロの冒険者さんの素敵なあなたより)

●「マグラ!」(1963、光瀬龍、河出文庫『怪獣文学大全』1998)
 日本海溝に投棄された放射性廃棄物でマグロが突然変異。

●「その顔はあまたの扉、その口はあまたの灯」**(1965, ロジャー・ゼラスニイ、ハヤカワ文庫、短編集『伝道の書に捧げる薔薇』より)
 ネビュラ賞受賞。金星のミンダナオ海溝に棲む体長100mの板顎魚竜『イクティザウルス・エラスモグトナス』(通称『イッキー』)を捕獲するため、ある百万長者が<テン・スクェア号>(原子力推進の巨大な筏)を建造する。6たび捕獲に失敗するたびに持ち主は破産し<テン・スクェア号>は他の金持ちに買い取られていく。
 新しい持ち主、ルハリック産業のジーン・ルハリックは、元夫で、2度目の持ち主として破産したカールトン・デヴィッツ(釣り狂のプレイボーイ)を餌つけ人として雇い、イッキーの捕獲に挑戦する・・・。

●「なぞの海底怪獣」("Secret Under the Sea"、Gordon R. Dicksonディクソン 作/亀山竜樹 訳、SF名作シリーズ29、1967〜72偕成社)

=>SF名作シリーズ偕成社

●『ゼロの怪物ヌル』(1967、畑正憲、原題「海から来たチフス」**、角川文庫、1969、少年少女21世紀のSF 5巻、金の星社)
 科学技術庁の1万数千m深海作業船<グループ3号>が日本海溝の調査を終えて大島に立ち寄って数日後、大島ではトコブシを中心とした貝類が全滅し、不思議なかたまり「ヌル」が出現する。そしてチフスのような熱病が大島を襲う。
 大島に別荘を持つ海洋生物学者の息子で中3のケンが主人公。いとこで中2のまり子に淡い恋心を抱くが、そのまり子も熱病に襲われる・・・。
 <グループ3号>は、冷却装置を槽略した小型原子炉(自然循環型原子炉のこと?)、「測線スクリュー」という名の水ジェット推進装置を持つ。DNAやATPや生物進化の話も登場。

(ガメラ)
●「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」(1968, 映画)
 いたずら好きの正夫とジムは海洋研究所に忍び込み潜水艇のモーターを逆につないでしまう。

●「ガメラ対深海怪獣ジグラ」(1971、映画)/「大怪獣ガメラ1−大怪獣深海戦ガメラ対ジグラ」**(1995、コミックス、原案:高橋ニ三、作画:槙村ただし、徳間書店、少年キャプテンコミックススペシャル)
 鴨川シーワールド内・国際海洋生物学研究所の所員、石川洋介とトム・ウォレス。『ジグラ』はバチスカーフを一万二千メートルの海底に運び去る・・・。
(コミックス版)
 海洋生物学研究所の科学者の石川とトム。それぞれの息子・娘の健一とヘレンは宇宙船の海中落下を目撃。調べに行った4人はジグラ星人の宇宙船内に物質転移される。彼らは東京でマグネチュード8.5の地震を起こし、それがジグラ星人の力によることを石川らに証言させる。彼らは公害汚染によって住めなくなったジグラ星の海を捨てて地球にやってきた。降伏しなければ地球全体にマグネチュード15の地震を起こすと世界を脅迫する。
 水圧の異なる地球ではジグラ星人が巨大化し、ガメラとの戦いが始まる。ガメラはジグラの細胞停止光線を浴びて海中に沈む。ガメラを電波で目覚めさせようと4人は深海調査用バチスカーフでガメラに近付くが、ジグラの光線を浴びてしまう。落雷で目覚めたガメラはバチスカーフを救出する。ジグラの破壊光線、細胞停止光線、背びれ攻撃で苦戦・・・。

●「ガメラ3 〜邪神(イリス)覚醒〜 GAMERA3」(1999、金子修介監督、大映・東宝映画)
 前田愛, 中山忍, 藤谷文子, 山咲千里出演。海洋科学技術センターの無人深海探査機「かいこう」が沖ノ鳥島沖海底で『ガメラ』の墓場を発見するところから『ガメラ』誕生の謎が解き明かされて行く・・・。

=>ガメラ公式ホームページ
=>ギロネム(ギロンとガメラと特撮色々HP)
=>大映特撮映画だ!


●「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ/決戦!南海の大怪獣」(1970、東宝)
 謎の宇宙生命体がイカ、カニ、カメに乗り移り、巨大化する・・・。
=>ポスター

●「ガブラ−海は狂っている」(1971、香山 滋、河出文庫『怪獣文学大全』1998)
 ゴジラの原作者の作品。原爆実験の影響で『エベス(ジンベイザメ)』が突然変異して『ガブラ』に。『イトマキエイ』の一種も『モブラ・エレクトリカス』になって戦う。
=>香山 滋(よしだまさしさんのガラクタ風景より)

●「湾の主」(1971、ガンソフスキー)New
 映画撮影技師が、西イリアンで目撃した瀕死状態の鮫は、胸鰭から体の後半部全体がペシャンコに押し潰され平板状になっていた。地元の住民は「湾の主」の仕業だという。「主」は、海のように巨大になり、時にはアリのように小さくもなる。調査するため数人の白人が向かうが、まもなく、銃や爆弾が無力である事を思い知らされる・・・。(by sayalautさん)

(ゴジラ)
●「ゴジラ対メガロ」(1973、東宝映画)
 ゴジラ・シリーズ第13作。 シートピア海底王国は人間の行った核実験の報復に、メガロとガイガンを地上に送る・・・。

●「ゴジラ2000〜ミレニアム〜 GODZILLA2000」(1999、大河原孝夫監督、東宝映画)
 村田雄浩, 阿部 寛, 西田尚美, 佐野史郎出演。危機管理情報局(CCI)はゴジラの出現をいち早く予測するため、海洋科学技術センターの深海潜水調査船「しんかい6500」、調査母船「かいれい」で日本海溝にGセンサーを設置した。 しかしそこで発見されたのは・・・。
 発見された謎の物体を引き揚げるため「かいれい」型が5隻ぐらい登場する。

●「ゴジラ モスラ キングギドラ−大怪獣総攻撃」(2001、金子修介監督、東宝映画)
 クライマックスで無謀にも特殊潜航艇<さつま>(全長6m。基準排水量880トン、水上12ノット、水中20ノット、乗員2、Mk17魚雷搭載、D-03(削岩弾)に装備変更も可能)がゴジラと対決する。
●「ガメラ対ゴジラ
=>ガメラ対ゴジラ


●「モモ」(1973、ミヒャエル・エンデ)
 時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語。その第三章「暴風雨ごっこと本物の夕立」より
 ファンタジー小説の、しかもごく一部なのですが、実に濃い海洋でSFな描写がありました。もしかすると、リストにあるものを見落としていたり、あるいは検討の上リストにあげられなかったものかもしれませんが、報告します。
 研究船「アルゴ号」は、南洋の「さまよえる大旋風」を調査し、安全を確保するために、特別にアラモント鋼の一枚板で作られた船である。
乗組員は、勇気あるゴルドン船長、経験豊かなドン・メルー一等航海士、アイゼンシュタイン教授と、超記憶力を持った二人の助手マウリンとサラ。教授だけが理解するフーラ語を話す現地の娘モモザン。世界的にも名の通ったスポーツダイバーの女性三名(うち一人はザンドラ)。百人のカエル部隊を率いるフランコ隊長(通称イルカ)など。
 一行は、生物を異常成長させる海域で、巨大なオバケクラゲの危機を突破し、さまよえる大旋風に接近していく。
 落雷につぐ落雷! 荒れくるう風雨! 山なす大波と白くあわだつ水しぶき! アルゴ号は、エンジンというエンジンをフル回転させて、ついに到達した台風の目には、巨大な「シュム=シュム・グミラスティクム(通常は、トマトソースやみどり色のインクの中に見つかる微生物)」がいた。この巨大微生物が、台風を作り出していたのだ。
 一行は、苦難の末、巨大微生物を倒し、海に平安をもたらしたのだが、ただ一人教授だけは、この貴重な生物を失ったことを、残念に思うのだった。
 ・・・って、子どもたちが夕立の間に行ったゴッコ遊びなのですが、エンデ、ここまで作りこみますか!(by 細江ひろみさん)

●「JAWS ジョーズ」(1975、スピルバーグ、映画)  海洋生物学者が登場。SFとアクション・スリラーの境界上の作品。78年に「ジョーズ2」。1)

●「地底怪生物マントラ」(1975、福島正美、朝日ソノラマ)New
 鳥島南方で漁船団が無人で発見され、各国の最新鋭艦が一瞬で海の藻屑と化し、津波が都市を襲う。地底で進化した超高密度生物マントラの仕業だった。
by 少年少女海洋冒険物語(sayalautさん)

●「海の牙(1975〜76、星野之宣、巨大シャコが登場)=星野之宣

●『極底探検船ポーラボーラ』(1976、日米合作映画)
 《最後の恐竜》を求めて人類史上最大のSFハンティングが始まった!
=>generalworks
=>極底探検船ポーラーボーラきまぐれムービーシアターより。側面図まである)

●「テンタクルズ」(1977、映画)
 海底トンネル工事の震動で目覚めた巨大ダコが暴れる。1)

●「オルカ」(1977、映画)
 シャチが人間を襲う。1)

●「怒りの大洋(わだつみ)」/「大海神」/「大漂流(1978〜、田中光二、巨大な何物か、"海水生命"、古代ザメ<カルカドン・メガロドン>が登場)西村屋選田中光二

●「静かの海(Quiet Sea)」(1978、グレン・クック(Glen Cook)、翻訳:酒井昭伸、S-Fマガジン1990/9)
 全て海に覆われた惑星に住む、元地球人と「難破した地球人」。原住民である蛟人。竜のような深海の巨大生物。それぞれの生きるための戦いが続く。
by 少年少女海洋冒険物語(sayalautさん)

●「メデューサの子ら」("Medusa's Children"、1977、ボブ・ショウ、サンリオSF文庫)New
 クラゲ−群体のメデューサの支配する海の惑星が舞台。人間たちの厳しい海での生活が描かれているらしい。
by 木戸英判さんボブ・ショウ

●「タイムスケープ」(1980、グレゴリイ・ベンフォード、ハヤカワ文庫SF)=グレゴリイ・ベンフォード

●「恐竜クライシス」(1984、ハリー・アダム・ナイト、創元推理文庫)
 DNA操作による恐竜の復活。マイクル・クライトン/スピルバーグの「ジュラシック・パーク」より6年早く発表され、「ジュラシック・パーク」よりもエキサイティングな内容でありながら、発表が早すぎて恵まれなかった作品。地球科学の点では特記する点はない。

大海神(1984.3、田中光二、角川文庫、"メガロドン"が登場)=田中光二の海洋SF


●「幻の動物たち」(1985、ジャン=ジャック・バルロワ、ハヤカワ文庫NF)
 コモロ諸島のシーラカンス(Latimeria chalumnae)、大海蛇、モササウルス、カルカロドン・メガロドン(Carcharodon megalodon)、ホオジロザメ(Carcharodon carcharias)、リュウグウノツカイ(Regalecus glesne)、ステラーカイギュウ(Hydrodamalis gigas)、キタユウレイクラゲ(Cyanea capillata)、ダイオウイカ(Architeuthis princeps)、オクトプス・ギガンテウス(Octopus giganteus)、ネス湖のネッシー(ウミウシ説、長首アシカ説)、セイレンが登場。
 潜水船ち海洋モンスターの遭遇例のあるのが興味深い。
1969.10: アルヴィン号がバミューダ諸島海域海底900 ftで柔軟な長い首、爬虫類のような顔、4つのヒレのある動物を発見。
1966、ディープスター4000、サンディエゴ沖、体長10m巨大なハタ類を発見。高さ1.2mの尾びれを見ている。
1980、仏アルシメードがカナリア諸島水深3000mでイカに攻撃されてマニピュレータをもぎ取られた。

●「遠い海から来たCOO(クー)」(1988、景山民夫、角川文庫)
 直木賞受賞作品。フィジー諸島の中のパゴパゴ島で暮らす海洋生物学者の小畑徹郎、息子で小学校6年生の洋助、ゴールデン・レトリーバーのクストー、バンドウイルカのブルーとホワイトチップ。ある日、洋助が生まれたばかりの『プレシオザウルス』を見つける・・・。
 1977年にニュージーランド沖で日本のトロール漁船が網にかかった首長竜のように見える巨大な腐った死体を引き揚げ、写真を撮った後で海に棄てたことがあった。写真鑑定の結果、顎から下の骨と肉が失われた『ウバザメ』の死体と発表された。この事件がモチーフとなった作品。6500万年前のデカン高原(大陸洪水玄武岩台)の形成と恐竜絶滅との関連などが紹介されている。

●「シーナイトを救出せよ」(初刷1988、大石英司、講談社/ハードカバー、ノベルズ、文庫、<ブロッケンの怪物>登場)西村屋選大石英司

●「リバイアサン」(1989、米映画)
 ソ連の沈没船を発見した海底採掘基地。そこで残されたウォッカを飲んだ潜水隊員が突如怪物に変身し、他の隊員に襲いかかる。そのウォッカには遺伝子操作の試薬が入っていた・・・。チューブ・ワーム型のエイリアンが登場する。
=>generalworks

●「新リバイアサン/リフト」(1989、スペイン映画)
 「ダネキン・リフト」と呼ばれる未知の海溝(「リフト」は中央海嶺の意味なんだが)で消息不明となった潜水艦。救助艇が向かうがそこには猛毒の海草が立ちはだかる・・・。

●「ザ・デプス」(1989、Deep Star Six、映画、ビデオ)
 深度1万メートルの海底有人基地<Deep Star Six>において、ミサイル基地を建設中、建設予定地の海底下に巨大な空洞が発見される。爆破作業を強行したために、海底が陥没して空洞が開き、未知の生物が襲う。
 水深1万mでの飽和潜水は無理がある。夢の水素混合ガスでも1000mが限度。
 原題”Deep Star Six”のうち”Deep Six”には6尋の深さに沈めるという米海軍の水葬の意味があるという。

●「アルガ(1990、星野之宣、白亜紀末期の海藻<アルガ>が登場)=星野之宣

●「ビースト」(Beast、1991、ピーター・ベンチリー、1993、角川書店)
 未知の深海で漂っていた生き物が、環境の変化のため獲物を求めて浮上する。それは、巨大なダイオウイカだった。同題TV映画の原作・ > by 少年少女海洋冒険物語(sayalautさん)

●「ブルーホール(1992-93、星野之宣、ミスターマガジンKCデラック、講談社)西村屋選星野之宣の地球・海洋SF

●「さよならダイノサウルス」(1994、ロバート・J・ソウヤー、ハヤカワ文庫)
  星雲賞受賞。古生物学者で恐竜研究家のブランドン・サッカレイ博士(ブランディ)と地質学者のマイルズ・ジョーダン教授(クリックス)は、チン=メイ・ファンが発明したタイムマシン<チャールズ・ヘイゼリアス・スターンバーク号>で6500万年前に突然恐竜が絶滅した謎に挑む。ところがそこで出会ったのは、半分になった重力、2つ目の月、話す『トロエドン』だった・・・。

●「クラゲが飛んだ日」**(1994、ブルース・スターリング&ルーディ・ラッカー、ハヤカワ文庫『タクラマカン』に収録)Newブルース・スターリング

●「プラスチックリトル」**(1994、うるし原 智志、ノーラコミックス、GAKKEN)西村屋選
 リュート太陽系第4惑星イエッタの「雲海」という雲深2万5000m以上の海が舞台。自然現象の青輝死雲(デス・ホール)に出会うと、一気に雲底まで引き込まれ、いかなる潜雲船も圧壊してしまう。
 人々はIDP重力システムによって雲海に浮かぶ浮遊都市を造り、リゾートと天然ガスの輸出、愛玩動物(雲クジラ、雲海コブラ、雲イルカ、雲ヘビクラゲ、雲海オクトパス、雲海シャチ、雲ザメ"ブラック・ウインド"・・・)の取引(ペット・ショップ・ハンター)を主産業とする世界。
 主人公の少女ティータは、深雲で遭難した父の跡を継ぎ、深雲漁船<茶々丸>でペット・ショップ・ハンター業を営む・・・。

●「海魔の吼える夜」(1994、井上雅彦)
 米国海軍が誇る最新鋭フリゲート艦に二人の男女が招集された。消息を断った原潜を操っていたのが、二人の親友だったからである。原潜は、高分子蛋白質から成る画期的な新素材「クラーケン」を使用した亜生物原潜。やがて姿を現した生きている原潜<クラーケン>は、軟体動物と恐竜と鯨を混合したような碧い怪物であり、更に人間をも融合していた・・・。(by sayalautさん)

●「クジラたちの海−2万マイルの探索」(1995、カメクジラネコ、評論社、百本足の巨大イカなどが登場)=自然環境派(イルカ・クジラ)

●「アキレス浮上せず(1995、大石英司、角川ノベルズ/新書判、『ギガマウス』とそれを捕食する巨大生物が登場)=大石英司

●「アルガ(1990、星野之宣、白亜紀末期の海藻<アルガ>が登場)=星野之宣

●「恐竜レッドの生き方」**(1996、ロバート・T・バッカー、新潮文庫)西村屋選
 1億2000年前の白亜紀、パンゲア超大陸のうち今の北米ユタ州が舞台。メスの『ユタラプトル』を主人公とする山あり谷ありの半生記。
 作者のバッカーは、恐竜温血動物説と恐竜が鳥類の先祖とする説の提唱者で、「ジュラシックパーク」に登場する恐竜博士のモデル。ラプトルが高度な知能を持っていたとの説に沿って、感情豊かな生活と、ジュラ紀から白亜紀への移行期の動物、植生、気候のリアルな描写が素晴らしい。

●「ブルーワールド(1996-98、星野之宣)西村屋選星野之宣の地球・海洋SF

●「メガロドン(MEG)」(1997、スティーヴ・オルテン、角川書店、角川文庫)=スティーヴ・オルテン

●「氷の帝国」(1998、ウィリアム・ディートリッヒ、徳間書房)
 1938〜1944の物語。独の水上機母艦<シュヴァーベンラント号>が南極を探検し火山島アトロポス島を発見する。そこに眠る細菌胞子が訪れた探検隊員を襲い、空気感染で数日以内にほぼ100%死亡に至らせる。洞窟の地下湖に日光に依存しない藻のような生物(海綿?)があり、それが特効薬となることが明らかになる。敗戦間近の独は戦況を逆転させるため<U-4501>をアトロポス島に派遣する・・・。

ソリトンの悪魔」**(1998、梅原克文、朝日ソノラマ、ビデオ・アニメ化)西村屋選
 日本推理作家協会賞受賞。
 2016年、音波をエネルギー源とする海中の巨大な存在『サーペント』が、与那国島の沖合に完成したばかりの海上情報都市<オーシャンテクノポリス>を破壊し、日本初の海底採掘プラットフォーム<うみがめ200>を危機に陥れる。ヘリオス石油の開発部主任の倉瀬厚志、別れた妻でソーナーとオーディオの専門家の劉秋華、7才の娘の劉美玲の3人の運命やいかに・・・。
 <オーシャンテクノポリス>は5km四方の正方形デッキ4層、浮力タンク付きの脚柱1万本で海底に軟着陸させた多脚式軟着底型。寺井精英さんの海洋都市開発研究会の構想そのもの。
 <うみがめ200>はヘリオス石油が開発費2000億円を投じて水深270mに設置。双胴船型の海上支援船<うみねこ130>から電力や呼吸ガスが供給される。TOV(テレプレゼンス・オペレイテッド・ビークル:光ファイバーによる疑似遠隔存在型潜水機)、OMS(一人乗り潜水艇)、AWS(多機能潜水艇)、深海用潜水服(ジム・スーツ)などが装備されている。テトラミックス飽和潜水(「アビス」と同じヘリウム・窒素・アルゴン・酸素)が使われ(水素・ヘリウム・窒素・酸素ではないのか?)、脱窒素ベクター剤で減圧時間が48時間に短縮されている。海底石油掘削プラットフォームについて、海上型と浮遊式と海底式の間の技術論争もおもしろい。
 潜水艦救難艇(DSRV)<いるか4>に装備されているホロフォニクス・ソーナー(立体音響視界)がSFで初めて登場。その他、SOSUS(海底敷設ソーナー網)、地質探査ソーナー<アース・アイ>、ブルーグリーン・レーザー海中〜衛星通信、超電導フラーレン電池など海中工学オンパレード。
 超音波フォグ、音響発光(超音波気泡放電)、ソリトン(粒子性を持つ孤立波。波の非線形性と分散性が釣り合って半永久的に存在する孤立波)、高圧神経症候群(HPNS)、ポリウォーターなどの用語が登場。

=>Book Rebiew

●「ザ・グリード」(1998、Deep Rising、映画)
 海溝から浮上してきたチューブワーム状生物が豪華客船<アルゴノーティカ号>を襲う。実は巨大タコ状生物の腕。結構エグい。
=>wad's 映画メモ

●「ワンの絨毯」(1998、グレッグ・イーガン、SFマガジン 1998_1)=グレッグ・イーガン

●「ディープ・ブルー(DEEP BLUE SEA)」**(1999、Village Roadshow Film、ダンカン・ケネディ、ドナ・パワーズ&ウェイン・パワーズ、徳間文庫)
 海上基地<アクアティア>で、アルツハイマー病の治療薬の研究が行われていた。サメの脳から分泌されるある種のタンパク質に着目し、その分泌量を増やすために脳を通常のサメの5倍に発達させられたサメたちによるパニック映画。

=>generalworks

●「ザ・アビス」(1999、AVALON BEYOND THE ABYSSNS、ビデオ)
 キャメロン監督の「アビス」とは別作品。『メキシコ湾の小さな島が大爆発!その時できた深海の溝から猛毒のバクテリアが発生し“死の湖”として世界中の海へ拡大し始めた。世界規模の大惨事は果たして防げるのか?そして深海に住む謎の正体は?島が大爆発を起こすSFXや、スリリングな海中シーンをふんだんに盛り込んだサスペンス・アドベンチャー』。

=>movienet

●「オクトパス」(2000、監督ジョン・エアーズ)
 巨大なタコが、原子力潜水艦<ルーズベルト>(背中に潜水艇を積んでいる。なぜか女性リサも乗っている)を襲う。破口から足が侵入。実はこの海域に昔沈没したロシアの潜水艦<レニングラード>になんらかの液体物質が積まれていて、人工的な炭素菌でタコが突然変異を繰り返した。不安定になった原子炉の爆発が迫る。間一髪で脱出するが、さらにタコは豪華客船も襲う・・・。
=>オクトパス(wad's 映画メモより)

●「深海の悪魔」**(2000、大石英司、中央公論新社 C★NOVELS、上下巻、『スピードフィッシュ』登場)西村屋選大石英司

●「七つの封印7 深海の魔物たち」(2000、カイ・マイヤー、ポプラ社2003)
 七つの封印をもつキラ、リーザ、クリス、リーザの兄ニールスの4人。その宿敵、魔女たちによる世界規模の秘密結社アルカーヌム。魔女たちは大魔術師アバクスを復活させようとして、4人に阻まれてきた。アルカーヌムは闇の母、涙の母、嘆きの母の三人の母に支配されている・・・という経緯のあるシリーズもの。
 4人とキラの父親で超常現象の権威ラーベンソン教授、調査隊長ビショフ博士の6人は謎の億万長者サイモン・サイモンズの招待で東太平洋沿岸に浮かぶ人工浮島<SIM-1>から深海カプセルに乗って巨大海底山脈の斜面、水深5000mに設置された深海秘密基地<カルタゴ>に向かう。その先には直径1kmの巨大な輪をなす28個のブラックスモーカーのリングの中で石化したバイキング船があった。
 行く手には1千万年前に絶滅したはずの全長18mものカルカロドン・メガロドンが、そして魔女たちが放った空飛ぶ怪魚が。一方、<SIM-1>には魔女たちの巨大な黒船が接近。その中では三人の母の一人である”嘆きの母”が深い眠りから目覚めようとしていた・・・。
 はやりの魔法モノにも深海が取り入れられたのが興味深い。
=>amazon

●「海のオーロラ」(2001、ビデオ)
 日本テレビ自社制作のフル3D-CG、声優:いしだ壱成、奥菜恵ほか。
 地球温暖化による海面上昇で世界の沿岸に被害が生じている21世紀初頭、南鳥島沖の水深4000mを越える海底で地下6500mのマントルまでの掘削が行われている。6億年前の古代バクテリアがマントルで原油を生成しているという学説を立証しようというもの。
 ところが、この計画の提唱者である王春露(ワン・チュンル)は、この古代バクテリア『オーロラ』が地球環境に重大な脅威となる恐れがあると計画を中止させようとしたが、除名されてしまい、ついに地殻が掘りぬかれ、『オーロラ』が流出してしまう。
 『オーロラ』は金属を腐食させ、また、酸素に反応して爆発する性質があった。洋上支援船<はるしま>は爆発沈没し、海底掘削基地も崩壊に危機に・・・。
 深海域に6億年前の地層というのは存在しない点に無理があるが、地殻内に眠る古代微生物をテーマにした作品は、「深海の悪魔」に次ぐもの。

=>公式サイト

●「ダイナソー」(2001、フル3D-CGのディズニー作品)
 6500万年前の小天体衝突による環境変動の中で、幻の楽園を目指して過酷な旅に就く恐竜たちの物語。

●「−パンゲアの娘−KUNIE」(2001、ゆうきまさみ、少年サンデー連載)
 アルビン型潜水調査船が光ファイバー接続(UROVモード)で潜航するシーンが登場。『プレシオザウルス』、『オフタルモサウルス』も。

●「腐海」**(2001、ジェームズ・ポーリック、徳間書店)西村屋特選!
 殺人プランクトン、渦鞭毛虫の新種『フィステリア・ジャンカージ』を題材にしたSF。海洋調査船<エクセター号>、曳航式海中環境観測システム「メドゥーサ」、「ベティー」、セラミック製の潜水艇<シプリド号>と<ゾエア号>が登場する。
 JGOFS(Joint Global Ocean Flux Study、全球海洋物質収支国際共同計画)とその東部亜寒帯域の定点観測海域Papaと、ATOC(The Acoustic Thermometry of Ocean Climate、海洋気候音響温度測定学)プロジェクトの名が出てくるSFは初めてのもの。"Ocean Flux"を「海洋物質収支」ではなく「海洋潮流」と誤訳しているが、無理からぬところがある。
 ニセササノハケイソウなどの有毒珪藻類が作るドーモイ酸(神経を撹乱させる強力な酸)、フィステリア・ピッシータ、フィステリア・ピッシモーチュア、魚を麻痺させるヘテロシグマ、えらの組織をずたずたにするツノケイソウ、ディクチオカ、食中毒を起こすビブリオ菌、麻痺性の貝毒を作るアレクサンドリウムなど、恐ろしいものが紹介されている。

=>日経サイエンス1999.10(米国東海岸で発見された淡水にすむ単細胞生物フィエステリア・ピシシーダ(Pfiesteria piscicida)は,有毒な渦鞭毛藻類)>米サイト

=>Acoustic Thermometry of Ocean Climate

●「オクトパス IN N.Y.」(Octopus II, 2002、米ビデオ)
 ニューヨークのハドソン川に巨大なタコが出現。人を殺し小型船を沈め、自由の女神を襲う・・・。
=>wad's 映画メモ

●「群青神殿(2002、小川一水、コバルト文庫、『ニューク』登場)西村屋特選!小川一水

●「メガロドン」(2002、米ビデオ、パット・コービット監督)
 「MEG」とは別の作品。「シャーク・ハンター」と姉妹作品。
 世界最大の石油掘削リグ<コロッサス>は北極海縁辺の水深1500m海域で掘削中、パイプラインが詰まった。詰まったパイプを切断したところ、そこから凶暴な魚が作業員の腕に噛み付き、96針の重傷。その魚は4000万年前に絶滅したとされる『ダンクロウステウス』の稚魚とみられた。
 その後、掘削地点の地下に発見された巨大な空洞が崩落。海底に穴が開き、無数の『ダンクロウステウス』が解き放される。さらにその後、体長20m、速度25ノットで泳ぎ、6500万年前に滅んだとされる『メガロドン』が出現し、潜水艇やリグを襲撃する・・・。

●「シャーク・ハンター」(2002、米ビデオ、マット・コッド監督)
 やはり「MEG」とは別の作品。主人公スペンサーは、幼い頃、両親とヨットでクルージング中、巨大な怪物にヨットを粉砕され両親を失うという過去を持つ。
 20年後。スペンサーは大学で深海艇のエキスパートとなっていた。ある時、マリアナ海溝の深海にあるバートン社の深海研究所の施設が破壊され、300人以上の研究員が犠牲になる。スペンサーは自分が設計したバートン社深海捜査艇<アルゴス>で事故の跡を調査するうちに、9インチの大きさの鋭いサメの歯を発見する。それは、4000万年以上も生き長らえた『メガロドン』。スペンサーはメガロドンが棲息する場所を突き止め、捕獲するべく深海へと向かう・・・。
 <アルゴス>は魚雷を装備し、船内のムーンプールから潜航深度1000mチタン製小型潜航艇を発進させることのできるかなり大きな潜水船。メガロドンは全長25m、重量40トン以上。

●「ディープ・ライジング−コンクエスト」(2002、米ビデオ、デビッド・ワース監督)
 シャーク・アタック3。メキシコの高級リゾートビーチの監視員が、海底光ケーブルがサメに囓られた形跡を発見。そこに刺さっていた歯をネット上で調べるが、合う歯が見付からないため、ネット上で情報を求める。それを見付けた古生物学の女性研究者はその海浜に急行。ついに体長4.5mの6500万年前に滅びたメガロドンの子供を発見し、発信器を取り付ける。しかしメガロドンの発見を隠していたせいで、何人もの海水浴客が犠牲に。監視員と女性記者は被害を防ぐために協力する。
 調査の結果、海底光ケーブルがチャレンジャー海溝(海淵ではない。架空の海溝か?)を横断して敷設され、海溝底で棲息していたメガロドンがケーブルの漏電による微弱な電磁波によって導かれてきたらしい・・・。
 潜水艇<A3M-IE>が体長22mの親メガロドンと対決。
=>メガロドン(HookさんのShark Oceanより)

●「クトゥルー」(H・P・ラブクラフト、暗黒神話大系シリーズ)
 H・P・ラブクラフトはアメリカの怪奇小説家。
=>クトゥルー(Cthulhu)(関平さん)
=>クトゥルー神話(Amemiyaさんの翻訳作品集成より)

●「ウルトラレディ」(2003, 難波六, オンライン小説)
 日本近海で謎の遭難が17件も相次ぐ。巨大生物の目撃証言も。これまで未確認巨大生物(UMA)は米国、欧州、ロシアに出現。。KDDの海底ケーブル敷設船<てんよう>が消息を絶った。沈没船体を調べるためJAMSTEC(「海洋技術研究所」となっている)の「しんかい2000」と「なつしま」が調査に向かう。船上シーンが結構詳しい。なんと「しんかい2000」のコパイロットの相原孝幸が主人公城野エミと・・・。
 エミは国立海洋生物学研究所の深海生物研究室で助手を務め、その後、相原とともに環境庁特殊災害対策局の特殊災害隊SDF(Specail Disaster Force)にスカウトされ、平行世界から地球に派遣されて来た怪獣ハンター「レディア=マイロス」と合体・変身して怪獣と戦う。
=>ウルトラレディ

●「フロム デプス」(2003、Dark Water、米映画、ビデオ)
 水深3800ftの海底基地で作業中の2人のダイバーが巨大なサメに襲われ、基地内の1人も死亡。4隻の商船と潜水艦が襲われ、犠牲者は280人以上に。民間の潜水調査船<Resolve>(6人?乗り、最大潜航深度3800ft)が雇われ、現場調査に。実は大型の調査原潜<リプライザル>の中で兵器として開発されていたサメの仕業だった・・・。
=>amazon

●「ディープ・ショック」(2003、米映画UFO/SPO-X、ビデオ)
 北極海のポラリス海溝から高熱が上昇し、北極海の氷が融け始める。USS<ジニー・カーター>が電磁パルスに襲われ、「ヒュブリス研究基地」から2発の地震波魚雷(1Mトン核魚雷)を発射して海溝を塞ぐ決定がなされる。核魚雷を発射したヒュブリス研究基地は電気大ウナギに襲われ・・・。ヒュブリス研究基地は海氷上にダクトを突き出し、そこからぶら下がるようになっている。

●「海の底」(2005.6.10、有川 浩(ありかわ・ひろ)、メディアワークス単行本)西村屋選
 題名は「海の底(から来た奴ら)」の意味。そして「潜水艦で十五少年漂流記」というコンセプトだそうな。
 突如、巨大甲殻類の大群が横須賀港から上陸し、人々を襲う。横須賀基地の市民開放日に遊びに来ていた13人の子供たちのグループが取り残され、2人の新米自衛官と潜水艦<きりしお>に立てこもる・・・・。

 特に横須賀近辺に住む者にとっては、汐入ダイエー、横須賀プリンスホテル、ヴェルニー公園などお馴染みの場所に巨大ザリガニの大群が侵攻し人間を食っていくシーン状況がありありと目に浮かぶようです。
 また、巨大ザリガニの正体として、相模湾の冷水湧出生態系とかアルビンIIとかが絡んでくる。シナルフェウル・レガリスという女王エビで繁殖するエビがモチーフとなったようだ。参考文献に藤崎慎悟さんらの「深海のパイロット」や広大長沼先生の「深海生物学への招待」が挙げられているのがうれしい。もっとも研究者で活躍するのはJAMSTECではなく零細研究所の「相模水産研究所」の若手研究員ですが。

 潜水艦に立てこもる子供たちは高3女子が最年長、中3〜小1男子。潜水艦内での料理、トイレ、シャワー、洗濯の苦労、艦内の臭いの問題なども実情に即して書かれている。潜水艦を最後まで動かすことも魚雷発射することもなく、まさに「潜水艦で十五少年漂流記」というドラマがよく描かれている。
 著者はかなりの軍事オタクのように見えるんですが、女性のこともずいぶん詳しいのであれっと思ったら女性でした。登場する男性がかっこよすぎるんで、やっぱり女性が書くとこうあって欲しいという男性像になるんですかねぇ。
=>海の底

●「蟲師
(登場する蟲)
4巻(2003)
「虚繭取り」:二匹で作る”玉繭”、”虚穴”に取り込む”ウロさん”
「一夜橋」:谷戻り、蔓状の”ニセカズラ”
「春と嘯(うそぶ)く」:”春まがい”、木に咲く花のような”空吹”
「籠のなか」:白い竹/”間借り竹”
「草を踏む音」:滝壺にいる滑頭(なまず)”ヌシ”、”光脈筋”

5巻(2004)
「沖つ宮」:”生みなおし”、生き物の”生きた時間”を食う蟲
「眼福眼窩」:見れば眼が良くなる”眼福”
「山抱く衣」:羽織に棲む”産土”(うぶすな)
「篝(かがり)野行」:”陰火”の中に人の熱を吸って生きる”ヒダネ”
「暁の蛇」:記憶を食う”影魂”

6巻(2005)
「天辺の糸」:蟲の生まれる前の姿のモノが群れをなして泳いでいる”光酒”、”天辺草”/”迷い星”
「囀(さえず)る貝」:”貝の唄”/ヤドカリドリ/サエズリガイ、ヒトが声の出し方を忘れてしまう
「夜を撫でる手」:生命の素である”光酒”が腐ってしまったもの”腐酒”、獲物を引き付け酔わせたやすく狩ができる。
「雪の下」:”雪蟲”、ヒトの足跡を消してしまう”雪ならし”、雪玉を作って移動する”雪団子蟲”、とりついた固体の体温を奪う”常雪蟲”
「野末の宴(うたげ)」:”光酒”だけを巣に持って帰る”猩々髭”、糖を食って酒とする”吸蜜糖”

●「グエムル 漢江の怪物」(2006製作・日本公開、DVDは2007.1)
 日本では公開期間が短く、また、ネット上でパトレイバーのパクリと書かれたりしたのですが、実際には非常に高品質の特撮で、というか、日本の特撮にかなり差を付けてしまったと言っていいほどの素晴らしい出来だったのですが、どうも負けを素直に認める日本人が少なかったようで、日本での興行成績はよくなかったようです。よい作品はよいと認め合う関係になって欲しいと思います。

●「異形コレクション 進化論」(2006/8/10, 井上雅彦編、光文社文庫)
 短編なのであらすじ紹介すると即ネタバレになってしまうし、といって、フィクションの中の科学ネタや設定を紹介するのがこのMLでもあるし・・・・、ということでネタバレにはご容赦願います。

 ・「神の右手」藤崎慎吾
 地球上ではほんどのアミノ酸がL型であることを利用して、ある研究者が潜水調査船で熱水噴出域に潜航し、D型アミノ酸を使ったタンパク質合成実験を行おうとするが、謎の妨害が・・・。

 ・「魚舟・獣舟」上田早夕里
 陸地の大半が水没した世界に適応するため、ヒトの遺伝子の98%を占めるトランスポゾンやノンコーディングRNAの領域を使って「魚舟」が創りだされる。魚舟は全長30mを超える巨大魚で、海上民はその背中の居住殻と上甲板で暮らす。〈操舵者〉を持てなかった魚舟は、魚とワニが混じりあったような体長17mの「獣舟」に変異し、陸の資源を食い荒らすようになる。それには秘密が・・・。

 ・「罠の前でひざまずいて」西崎 憲
 エーゲ海のある島に700人以上の研究者が集められ、そのうち進化論チームは、シーラカンスやゴキブリが何億年も形態変化しないで生き続けていることに対して、「変化というものが根本的な属性になっている生物」を創ることを試みる・・・。

 ・「量子感染」平谷美樹
 各地で生物が相次いで大量死する。大阪ではカブトガニ、琵琶湖ではブル−ギル、秋田県ではカエル、青森市では雀。いずれも血液中のヘモグロビンが酸素と結びつかないメトヘモグロビンに変質していることが判明。公安警察の特殊テロ捜査班が一人の研究者を現行犯逮捕するが・・・・・。

 ジャンクDNA、眠っている遺伝子を活性化する《プロモーター》、ウイルスを使ったファージ変換、EGFレセプター、リガンド/増殖因子、中間領域(メソ)量子論、量子の絡み合い(コーヒレント)、フェルミ凝集体などの用語が登場する。また、先カンブリア時代のエディアカラ生物群のスパタンゴプシス、ディッキンソニア、アルムベリア、イナリア、軟体三葉虫、スプリッギナ、チャーニオディスカス、バーバンコリナが登場する。

 ・「娘の望み」八杉将司
 先天性小児失語症の娘が5歳で絵と音楽に天才的な才能を発揮する。やがて母親が言葉を嫌うようになり、やがて娘とその作品が有名になるにつれて、既存の言語文化が変質しはじめる・・・・・・。文化的遺伝子『ミーム』という言葉が登場。

 ・「うしろへむかって」井上雅彦
 哺乳類/人類の大脳皮質を発達させた原因として、夜行性という能力を獲得したこと、形態が放射状ではなく左右対称で前方に対する感覚が発達した反面、背後への恐怖があることなどを論じている。

 ・「バード・オブ・プレイ」多岐亡羊
 陰陽師モノ。高層ビルからの転落死が相次ぎ、その現場には鴉(からす)の群れが。

 ・「希望的な怪物 hopeful Monster」小中千昭
 都心の地下鉄や下水道などの地下トンネルに迷い込んだ者が「白い肌で禿頭の者」に出会ったといういくつかの都市伝説。

 ・「読むべからず」飛鳥部勝則
 あらすじを書くと答えになるので。

 ・「ランチョウの誕生」
 すみません。この作品だけはパス。金魚の品種改良になぞらえているが、それ以上書くと答えになる。

 ・「この島にて」朝松 健
 室町時代、土佐沖の小島。えーと妖怪・陰陽師モノというか。

 ・「書楼飯店」蒼柳 晋
 紙魚(しみ)という小さな虫。さまざまな文字を食むことで、その文字に込められた姿形や現象などを吸収している。紙魚料理店では生きた紙魚を料理として客に饗する。会員制であり、会員となるには女性がある通過儀礼を通らなければならない・・・・。

 ・「貂の女伯爵、万年城を攻略す」谷口裕貴
 人間によって知性化されたという伝説を持つ動物たちの文明世界。そこでは人間は今や奴隷の身分に過ぎない。その人間が反乱を企てようとするが・・・・・。

 ・「個体発生は系統発生を繰り返す」竹本健治
 あらすじ書けず。

 ・「ヤープ」平山夢明
 知性化された猿の話。

 ・「楽園の杭」野尻抱介
 テロを企てて逮捕され、遷光速駆動の恒星間探査船のヒューマンファクターとして登場させられた女性主人公。到着した地球型海洋惑星にはなんと軌道エレベータが存在した。にもかかわらず地表面には技術文明が一切存在しない。軌道エレベータのテザーの基礎部分は地表面から1000kmまで達し、年間4mで移動するマントル・プルームに絡められていた・・・・・・。

 ・「逆行進化」堀 晃
 衛星画像から、熱帯林のはずれに、最も原始的な緑黄体が存在することが発見された。そこは小型のクレーター跡で、地表面に海苔か苔のようなものがべったり貼りついていた。それは現生代中期の葉緑体そのものであることが判明し・・・・・。

 ・「おもかげレガシー」梶尾真治
 他人に近付きすぎると、その人の記憶が自分に流れ込んでくる女性。以下あらすじは掛けませんが、ホっとさせてくれる話です。

●「パイレーツ・オブ・カリビアン/デンドマンズ・チェスト」(映画2006、DVD2008/06/04)
 ジョニー・デップとオーランド・プルームが出演。巨大オオダコのクラーケンが帆船を襲うシーンがたっぷり楽しめる。
 幽霊船フライング・ダッチマン号は普段は海中を航行し、船員もハンマーヘッドシャーク型とかいろんな海洋モンスター風。幽霊船の船長デイヴィ・ジョーンズはヒゲがクラゲの触手というか。そのヒゲで船内のパイプオルガンを弾いているシーンはネモ船長みたい。
 もっともこの作品、第一作目の「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊」からの登場人物が何人かいるようですので、それを観てからの方がよさそう。

●「地を穿つ魔<タイタス・クロウ・サーガ>」(1974、ブライアン・ラムレイ、創元推理文庫、2006/1/11)
 クトゥルー神話のひとつであるが、このシリーズでは邪神に対抗しているところが特徴的。
 196X年5月17日、英国イングランド中央にあるレスターシャーの広大な産炭地域であるコールヴィルを群発地震が襲う。この地震は震源が南から北への直線に沿った異常なものであった。
 坑道の崩落があったハーデン炭坑の西部廃校内部を検分したレイモンド・ベンサム調査員は、新しい人工的な横穴がいくつもうがたれているのを発見した。直径は約8フィート、その壁は黒いタール状の物質が固まったもので、奇妙な図像が描かれていた。その先に数十本の洞穴が接続した直径50フィートほどの広さの場所で、天井まで達する巨大な石筍が林立し、床面には直径4インチほどの4個の岩屋真珠(ケイヴ・パール)があった。ケイブ・パールを密かに持ち帰ったベンサムは。
 30年余りさかのぼる1933年、若き伝奇・怪奇小説家のポール・ウェンディー・スミスとその叔父で探検家・考古学者エイマリー・ウェンディー・スミス卿が奇怪な失踪を遂げる。ポールが残した文書は幻想小説の原稿とみなされたが、〈地を穿つもの〉と〈球〉 考古学者エイマリーは『グ=ハーン断章』と呼ばれる古文書の解読に取り組み、伝説の都市グ=ハーンの廃墟を見つけるためアフリカ大陸にわたった。
 スペイン領モロッコのハウエン→6月初旬スペインのカラオラ、チンチョン、ロンダ→アジャン地方→8月仏エーヌ地方→南海岸のテンダーデン→イングランド北部のヨークシャー州のグール→ハッティンドンシャーのラムジー→ 稀代の隠秘学者タイタス・クロウは・・・。
ネス湖のネッシー:実在のプレシオザウルス
 (邪神)
・旧神(エルダー・ゴッド):良性の神の一団。オリオン座に幽閉されつつ地球上の人類と邪悪なる神格群との闘争を監視し続けている。
・旧支配者(グレート・オールド・ワンズ):邪悪な神格群。天体間を流れる宇宙の川に幽閉されている。
・アザトース〈宇宙の中心で泡立つもの〉:旧支配者を統率(彼らを創造又は彼らの先祖)している盲目白痴の神。いやはての輝く不定形の原子の混沌。混沌の時空連続体に追放されている。ビッグバンのこと?
・ヨグ・ソトース〈全にして一、一にして全なるもの〉:すべての時間に存在しすべての空間に隣接する神。混沌の時空連続体に追放されている。
・ニャルラトホテブ〈伝えるもの〉:投獄をまぬがれて自由に動ける。〈旧るきものの大いなる使者〉。テレパシーのこと?
・クトゥルー〈深淵にひそむもの〉:太平洋海底の海底都市ルルイエの館に棲む/閉じ込められている。
・ハスター〈名状しがたきもの〉:星間時空の主元素にしてクトゥルーの半兄弟。カルコサのハリ湖に閉じ込められている。
・ショゴス/海棲(シー)ショゴス:クトゥルー眷属邪神群CCDの一種。グル=ホーから来る。
・シュブ−ニグラス〈千匹の仔を孕みし森の黒山羊〉:クトゥルー眷属邪神群の繁殖力の象徴
・〈深きものども〉:魚類型、原形質型、両生類型、亜人間型の総称。
・魚神ダゴン:〈深きものども〉の統率者、大いなるクトゥルーの盟友にして配下
・ティンダロスの猟犬
・イブ−ツトゥル:混沌の時空連続体に追放されている。
・ニョグタ
・ツァトグア:ヒューペルボレアの”眷属ども(クトーニアン)”の巣穴に封じ込められている。
・ロイガー
・ズハール
・シャッド−メル〈地を穿つもの/バロワーズ・ビニース〉:地下の失われた迷宮世界に落とされている。頭も眼もない蛸ともいうべき姿をした怪物。グ=ハーンに幽閉されていた。
・イタカ:北極地方の氷原の上空に閉じ込められている。〈雪のもの〉、〈風に乗りて歩むもの〉、ウィンディゴなどの異名を持つ。
・クトーニアン:
・ウボ・サスラ:
 (ウィルマース財団)
・ウィンゲート・ピースリー教授:米マサチューセッツ州アーカム市にあるミスカトニック大学心理学担当。
・ロシター・マクドナルド:スコットランド西岸沖のヘブリディーズ諸島のストーノウェイで隠者生活を送っている風変わりな老翁。
・教母クォリー:ブリストル近郊のマーシュフィールドに住む怪しげな霊媒師の老女。
・バーナード・〈ボンゴ〉・ジョーダン:石油掘削船〈海精シーメイド〉号の監督
・ゴードン・フィンチ:英テレパス
・ウィリアムズ:テレパス
・ハンク・シルバーハット:米テレパス
・エドワード・エリス:テレパス
 (迷宮世界)
・オクラホマ州の地底:クン=ヤンの青く輝く都ツァス、大洞窟ジン、赤く輝く都ヨス、暗黒の地ン=カイ
・オーストラリアのグレート・サンデー砂漠
・エチオピアのダナキル砂漠:モホール計画
・水草におおわれた都市イハ=ントレイ:大西洋岸沖合の〈悪魔の岩礁〉近海にある。

●「へんないきもの三千里」(早川いくを、バジリコ株式会社)
 まじない好きでオシャレ好きで生き物嫌いな小六の芦屋ユカリは、古書店で究極の呪法本を発見。そのまじないで異世界に放り込まれたユカリは、巨大なオオナガトゲグモ、クロヤマアリとサムライアリ、ヤマビル、アンヒューマ(ドブウナギ)、ランプシリス(魚に化ける二枚貝)、チョウ(ウラジラミ)、パロロ(環形動物イソメの一種)、住血吸虫(扁形動物の仲間)、マクロファージ、ナチュラル・キラー細胞、ヘルパーT細胞、イザリウオ、マツバギンポ、アカクラゲ、ウチワエビの幼生(ジェリーフィッシュ・ライダー)、オオサルパ(ホヤの仲間)、アミダコ、オオタルマワシ(ヨコエビの仲間)、カブトクラゲとウリクラゲ、オニカマス、アサヒガニ、モンガラカワハギ、ヒョウモンダコ、トラウツボ、テッポウエビとダボハゼ、フウセンウナギ、オニアンコウ、ウシナマコ、ハオリムシ(知恵者の森?)、深海魚に呑まれ、アリに奴隷にされ、免疫細胞軍と戦う羽目に・・・。

=>恐竜SF大特集

=>モンゴルの恐竜たち(サウロルニトイデスを含むトロエドン類は知的生物に進化したか?)

●「モノノ怪(もののけ) 弐之巻 海坊主」(角川エンタテインメント、2007、アニメ)
 モノノ怪を切ることができる「退魔の剣」を持つ謎の薬売りを主人公とするシリーズ。うち「海坊主」は全3話。新島、野島崎、南蛮の島の三点を結ぶ「三角の竜」、別名「アヤカシの海」と呼ばれる海域(古海図では山陰沖)。僧侶、虚空太鼓、空から舟幽霊が操る巨大な「迷い船」が空から降りてきて、そらりす丸を引き揚げ始める。 琵琶を弾く一本足の魚人「海座頭」
=>公式サイト
=>Studio Paralyze

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